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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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112 決意

ルーナさんと俺の間に沈黙が続く。


「精霊王様。あまりユウキ様を責めないで下さい。ご存知だと思いますが、この方はどこまでも優しい方なんです」


「アクア…。ええ。分かっていますよ。だからこそ私は許せないのです。精霊王としてでも、大神官としてでもなく1人の存在としてユウキ様の事を許せないのです」


「許せない?俺の事をか?」


「はい。そこまで優しい貴方がなぜ、なぜご自身に優しく出来ないのですか?自分を犠牲にする事でしか人に優しくできない訳では無いでしょう?…なぜあの人と同じ事をするのですか?」



あ。なるほど。わかった。

ルーナさんが何故ここまで感情的になっているのか。


「あの人?女神か?」


「…そうです。お伝えした通り女神は、人を愛し、愛した人に力を与えるために自身を犠牲にしました。ユウキ様とは愛する対象が1人か全てかの違いはありますが」


やはりそうか。俺が女神と同じ選択を選ぼうとしてるからこんなに怒っているんだな。


「女神が何を考えていたのかは俺にはわからない。そして俺がやろうとしてる事が俺のエゴだってこともわかってる。…正直それでいいのかってのは悩んでる」


「…そうであれば、他の方法も考えましょう。私も協力します。精霊王としてではなく1人の友人として」


「…友人か」


ルーナさんの言葉に思わず笑みが零れてしまう。


「何かおかしいですか?」

「いや、この世界で俺が出会った人達はなんでこんなに良い人が多いんだろうなって。皆どこまでも良い人なんだよな」


今この神殿に居ない人達もだ。

トオルさん親子、宝石店の店員さん、門番の兵士さん、皆良い人だ。


だからこそ…

だからこそ皆には平和に暮らして欲しい…


「ルーナさん。ありがとう。結果どうなるかはわからないけど気持ちは伝わったよ。…友人として礼を言わせてもらう」


「願わくば皆が笑って迎えられる未来を選んで頂けることを…」

「……善処する」


「まぁ私はユウキ様がどんな選択肢を選んでも御一緒しますので…。お独りにするような事はしません」


「アクア…。その気持ちも受け取ってはおくよ。さて、これ以上遅くなるとハルが心配するかもな。俺達も行こう」


そうしてハル達の元へ向かう。


…皆が笑える未来か。

それは望む物ではある。

…例えそこに俺が…居なくとも。


~~ハルサイド~~


修練場にて。

「それぞれの神器を手に入れた訳じゃが、現段階ではちょっと強い武器と言ったところじゃのぅ」


「そうなの?今でも強い力を感じるよ?」


3人が神器を手にしている所でゼノンが声をかけ私がそれに返す。こうして手に持つだけでも強い力を感じるんだよね。


「これ以上になるってことか。…どうすればいいんだ?」

「それは…残念ながらこれと言ったものはないのぅ。神器と深く心を通わせる事が神器の力を引き出す事となる」


神器と心を通わすかぁ。

この聖剣セイブ…女神様の剣…

私は女神じゃないけど…


剣を見つめそんな事を考える…すると。

突然聖剣が輝き始める。


「えっ!えっ!?なに!?」


(…女神の魂を受け継ぐものよ)


「え!?誰?」

「どうしたハル?何か聞こえるのか?」


ゼノン達には聞こえてない…?

ってことはこの声は…


(そうです。今貴女が手にしている…)

「聖剣セイブの声…」


(貴女に問いたい事、伝えたい事があります)

「聞きたい事と教えたい事?」


(はい。まずは今一度問わせてもらいます。貴女は私…聖剣を手にして望むことはなんでしょうか)


「私が望むこと…それはさっきも言ったことだよ?…私が世界で1番大好きなユウキの隣に居る事。その為に聖剣の力を貸して欲しいの」


(なるほど…では、もう1つ聞かせて頂きます。貴女は世界を救う者ですね?…世界を救う代わりに愛する人を失うとしたらどうしますか?)


「…そんな事考えるまでもないよ!私はユウキを選ぶ!」


(…その代わりこの世界が滅ぶとしてもでしょうか?)


「…え。それは皆死んじゃうってこと?」


(そうだとしたらどうしますか?もう一度聞きます。貴女が愛する人を選べば世界が滅ぶ、世界を選べば愛する人を失う……貴女はどちらを選びますか?)


「私は……」


ルーナさんやゼノン、ジュリアさん、この世界の全ての人達とユウキ。どちらかを選ばなきゃいけないの…?

「そんな悲しい、辛い選択をしなきゃいけないの?」


(そうです。お伝えすることとはこの事です。このままであれば貴女はその選択を迫られることになるでしょう)


…そんなの嫌だ。

私の選択でどちらかが滅ぶなんて…。

世界と1人を天秤にかける…。

私の役割なら世界を選ばなきゃいけないんだよね…。


でもそんなのどちらも選べない……。


私はどちらも大切だから。


……そうか。違う…選べないんじゃない。


「私は…私は、どちらかを選ばなきゃいけないのなら選ばない」


(世界も愛する人も両方失うと?)


「違う!私は両方とも選ぶの!ユウキの居るこの世界を!私の役割は【世界を救う者】だよ!ユウキの居るこの世界を救ってみせるの!」


そうだよ。私はそう決めたじゃないか!

この世界の神様が私の役割を決めたからと言って、そうじゃなきゃいけない事はないんだ。


私は…私は…


「ユウキがこの世界に含まれないって言うのなら…私は全てを救う!!…ユウキが何を隠してるか、何をしようとしてるのかは知らない。…知らなくていい!それも全てひっくるめて私が救うんだ!そして…私も含めて皆で一緒にいる!」


私の叫びに呼応するかのように聖剣の光が強くなる。


(貴女は…女神と違う選択を選ぶのですね。全てを救う力…わかりました。私が貴女の支えとなりましょう)


その声とともに聖剣セイブの輝きが更に強くなった…

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