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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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114/131

110 剣

「…威厳?そんなものは数千年前に置いてきましたね」

「いや…置いてくるなよ…まぁいいけどさ」


この精霊王はどこまでも軽い。

いや、そりゃ無駄に重たく威厳あるよりは接しやすくていいんだけどね。


「それでそのメインイベントってのは…その最後の剣か?」

ルーナさんの手元には最後の1本の剣がある。

美しい細身の白銀の剣。


「はい。その通りです。ハル様こちらへ」

ルーナさんがハルを呼び、ハルもその声に応え近づいていく。


「…凄い綺麗な剣だね」

「この剣はセイブ。聖剣セイブと言います。そしてこの剣に関しては私の意思で差し上げることはできません」


ルーナさんがここまでの軽さはなんだったのかと言うほど真面目な表情になる。

…いやできるなら最初からやろうよ。


「この剣は持ち主を選びます。ハル様。この剣に呼びかけてください。貴女がこの剣を必要としていることを」

そう言うと剣がルーナさんの手元から離れ宙に浮く。

ちょうどハルとルーナさんの中間ぐらいか。


「呼びかける…。聖剣セイブ。私は力が欲しいの。…大切な…とっても大切な人と一緒に居るための力。お願い私に力を貸して!」


ハルが聖剣に近づきながら呼びかける。

すると、聖剣がハルの言葉に反応して光を放つ。

そして手にする。


「…あぁ。やはりそう…なのですね」


ふと見るとルーナさんが涙を流していた。


「…ルーナさん!?どうしたの?どこか痛いの?」


ハルがそれに気づき声をかける。


「…いえ。大丈夫です。ハル様ありがとうございます。…すみません。その剣を手にすることができる人にようやく会えたので…」


聖剣セイブをハルが手にしたことに対するこの反応。

もしかして…


「ハル様。その剣に唯一認められたのは女神ルーナのみなのです。あれから数千年手にすることができる人は現れなかった…」


「ルーナさんそれは…つまり…」


「はい。ハル様は女神の生まれ変わりと言って間違いないでしょう」


ハルが女神の生まれ変わり…。

しかし、俺の魔王、ハルの女神。

なぜ違う世界の二人が…。


「ユウキ…。私なんか女神だったみたい…。あ!」

「どうした?ハル?」


ハルが俺に話しかけようとして何かに気づき慌ててルーナさんの方へ向き直す。


「ルーナさん!…その…えっと…」

「ハル様?どうしました?」


ルーナさんが首を傾げる。


「…ごめんなさい。私は…ユウキがいるから…」

「…えーと?はい。知ってますよ?」

「え?だってルーナさん女神様の事を…だから私…」


ハルがルーナさんによく分からないことを言っている。


「…あ!あぁ!なるほど!…ハル様大丈夫ですよ。すみません何か勘違いをさせてしまっていたようですね」

どうやらルーナさんはハルの言いたい事がわかったようで笑っている。


「…違うの?」

「もう一度女神に会いたいと思っていたのは間違いありません。ハル様が生まれ変わりだとわかり、ようやく会えたと嬉しくはなりました。ですが…」


「ですが?」


「ハル様と女神ルーナは別の存在ですよ。私は彼女が…彼女の存在がまだこの世界にあるってわかった。それだけでいいのです。それだけでこの世界を守っていけるのです…」


ルーナさんがそう言う。

それに対しハルが何か言おうとしたその瞬間。


聖剣セイブが眩く輝き…

光の中から女性の姿が浮かび上がってきた。


これは…?


「あ……。ルーナ……」


ルーナさんがその女性の姿を見て呟く。

この女性が女神ルーナなのか。

しかし…何が起きてる?


女神は言葉を発することはなく、

ルーナさんの事を抱きしめる。


「…ルーナ。はい。大丈夫です。…はい。」

ルーナさんが涙を流しながら何かを答える。


ルーナさんには何か聞こえているようだな。


女神は離れるとルーナさんに微笑みかけ、

こちらに向き直る。


俺と目を合わせ、なんとも言えない表情を浮かべる。

…なんだ?憐れむような寂しそうな顔。

その後優しく微笑みハルの方へ向かう。


そして光になりハルの元へ…剣に戻ると言うよりは…

ハルの中に入っていったように見えたな。


「…今のは?」


ハルが首を傾げている。


「女神ルーナです。恐らく聖剣セイブの中に残留思念が残っていたのでしょう。剣に認められる者が現れた際に反応するように…」


ルーナさんの言葉にハルが無駄自分の胸に手を当て…


「…そっか。うん。女神様が光になって私の中に入った時色々わかった気がする…」


「ルーナさんは何を言われたんだ?」

「…私は……1人にしてしまいごめんなさい…と」


ルーナさんが少し寂しそうに微笑む。


「そうか。大丈夫か?」

「フフフ。大丈夫です。もう一度会うことができましたから。しかし、ユウキ様へも何か伝えたがっているように見えましたね?」


確かに何か言いたそうな顔をしていたな。

ルーナさんと違い俺には声は聞こえなかったが…。


するとハルが…

「なんて言いたいのかはわからないけど、何となくの気持ちならわかる気がするよ」


「そうなのか?」


「うん。女神様はユウキの事を…心配してるように感じる」


心配か…。

それは俺が魔王の因子を持つ者だからか?

それとも…俺のやろうとしている事について…か?


「…色々恥ずかしいところをお見せしましたが…これで神器をお渡しすることができました。そして…今後の事ですが…」


「今後か…。戦力は整った。後はミナトを倒す…か。それで全て終わるのかな?」


「それについて皆様にお伝えすることがあります」

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