107 大神官?
翌日神殿に近い船着場へ到着した。
「さてここからは歩きだが…まぁこの辺りの魔物じゃ敵じゃないからな。1時間もあれば神殿に着くだろう」
この辺りに戻ってくるのも久しぶりだな。
召喚されて…まぁ色々あったか。
もうすぐ終わるかもしれないと考えると…ちょっと思うところがあるな。
…ハルとのお別れ…か。
「ユウキどうしたの?なんか寂しそうだよ?」
この子は…最近色々鋭いんだよな。
ゼノンも何か勘づいてるんじゃないかって言ってたしな。
「ん?いやこの辺りも久しぶりだなって。ここから旅が始まったんだなぁって思ってな」
「そうだね。この世界に召喚されて…ユウキと一緒で良かった。むしろ召喚されて良かったとまで思うなぁ」
そう言ってハルが小走りで進んでいく。
「ユウキ…私はこのままこの世界でユウキと生きていくこともアリだと思ってるよ。…ううん。そうであって欲しいと思ってる」
「ハル…」
「でもユウキは違うんだよね?私を元の世界に帰らせるって。…うん。ユウキが私の事思ってくれてるのわかってる。だから…」
ハルがこちらに近づいて来て上目遣いでこちらを見る。
「一緒に帰ろ?私と一緒にいて?」
「…あぁ。そうだな」
…俺はきっと最低な事をする。
こんなに想ってくれてる子を裏切ろうとしてる。
エゴなんだと思う。
それでも…
「話は終わったかー?出発するぞー」
ゼノンが声をかけてくる。
「はーい!今行くよー!」
ハルが駆け出して行く。
入れ違いにゼノンが近づいてくる。
「ユウキ。俺はもう何も言わん。けどな。選択肢は1つじゃ無いって事も忘れるな?」
「ゼノン…何の話だ?」
何となくゼノンにもバレてるっぽいな。
そんなにわかりやすいかなぁ。
「…まぁいい。ほら行くぞ」
そして神殿に向けて出発した。
~~
やはりこの辺りの魔物は苦戦することもなく神殿にはスムーズに到着した。
「皆様!おかえりなさい!」
ルーナさんが門まで来てくれて出迎えてくれた。
あー。何か凄い久しぶりな気がする。
「ルーナさん!久しぶりー!」
ハルが走りだしそのままルーナさんに飛びつく。
「ハル様!お元気そうですね!…ユウキ様とは…進展ありましたか?」
「んー。少しだけ?」
「後で詳しく聞かせてくださいね?」
何の話をしてるんだか…
ルーナさんに連れられ神殿の中に入っていく。
「そういえばマリクさんもゼノンも出てきちゃったんだよな?」
「そうですね。なかなか寂しかったですよ?このまま一人ぼっちかと。それにしてもユウキ様しばらく会わない間に…」
「なんだ?」
「立派な魔王になってません?約束通りあの力は腕輪で封印してくれてるようですが…」
ルーナさんにあの日俺が力を暴走させた後貰った腕輪はあれから一度も外していない。
まぁその封印してるリクとは話せるようになってるけどな。
…怒られるかな?
「ユウキは良い魔王なんだよ!大丈夫!」
「ハル様がそう言うなら…そうですかね?…ハル様の事はゼノンさん、ジュリアさんに話してあるんですよね?」
「あぁ。2人がバカップルなのは知ってるぞ」
「いやそうじゃないだろ…」
などと世間話をしながら神殿を進んでいく。
「さて、皆様ここに戻ってきたのは…」
「神器がここにあると聞いてな。いきなりで悪いんだけど…」
「はい。大丈夫です。ですがその前にお話するべきことがあります。まずは…神器の元へ行きましょう」
そうしてこれまで行ったことの無かった神殿の地下へ案内された。
修練室の隣何も無いはずの壁へルーナさんが手をかざすとそこに階段が現れた。
「こんな所に階段があったのか…」
「ふふ。神器については特別重要な物ですからね。あの階段は私がいなければ認識することも降りることもできません。知っていても無理に降りれば異空間行きです。ですので皆さんも私がいない時に無理して行くと行方不明者ですよ?」
笑顔で怖いことを言うなこの人。
そのまま階段を降りていく。
何か空気が変わってきたな…。
「さてこの扉の中です。…と。その前にアクアとマリクはいますね。ハル様。イフリート、シルフ、ノームを召喚してもらえますか?」
ルーナさんがハルに声を掛ける。
…なんだ?何か違和感が…。
「え?うん。わかったよ!」
ハルが念じて三体を召喚する。
イフリート、シルフ、ノームと続けて現れる。
「この4体とワシが揃ってここに集まる事がまたあるとはのぅ」
マリクさんがそう言うと4体の精霊と共にルーナさんに近づく。
4体の精霊はそれぞれの魔力を光として身にまとい、
マリクさんはその4体を従えるように…
そしてルーナさんに対し跪く。
…そうだ。さっきルーナさんはなんて呼んだ?
マリクさんの事を…。
「この日が来るということは喜ばしい事では無いのですが…。まぁ言っても仕方ありませんね」
「なんだ?ルーナ?どういう意味だ?」
ゼノンがルーナさんに問いかける。
見ればジュリアさんも不思議そうに見ている。
2人も知らないこと…。
そうだ。この世界の人間で役割を持つ人にはここまで出会わなかった。
来訪者が必ず最初に来るのはこの神殿。
様々な水晶を操る力。
来訪者を封印するだけの力。
ルーナさんが普通の存在では無いことは間違いない。
そして先程の呼び方、精霊の態度…。
「ルーナさん、貴女は…」
「ユウキ?何かわかったの?」
ハルが俺の顔を覗き込む。
「…精霊王」
「はい!正解です!」
…軽いんだよなぁ。




