10 救う者
「え?そうなのか?ハルが?」
「はい。あの時黒い力が暴走している状態のユウキ様を助けたのはハル様のお力です。」
〜〜〜
「ユウキ様!手を離して!力が暴走しています!!」
全身から黒いモヤが出ている状態。
そのまま水晶を手に持ったまま宙に浮いていく。
「う。ァァァァァ!」
「ユウキ様!!こんな、こんな力が!?」
「ガァァァァァァッッ!!」
吠えると同時に黒い力が全身から真上に向かって放たれる。
激しい音ともに建物の天井が吹き飛ぶ。
「この力はマズイですね…。封印を施すしか…。」
その時扉を激しく開けてハルが入ってくる。
「ユウキっ!!え。これは…?」
「ハル様!?危険です!離れてください!」
「ルーナさん?!これはいったい?ユウキはどうしちゃったの!??」
「ユウキ様の力が暴走してしまっているのです!こうなっては封印するしか…」
その間もまた黒い力が高まっていく。
「封印っ!?それってユウキはどうなるの!?」
「…封印の水晶の中で眠って頂きます。」
「それって…処理するってこと?」
「…ハル様はお部屋へお戻りください。私はこの世界を守る役目がございます。」
「ダメっ!ユウキを封印なんてダメっ!」
「ハル様…。時間がありません!このままでは世界が…世界が滅んでしまいます!」
「世界が…滅ぶ?ユウキの力のせい…で?」
「…お下がりください。後ほどどのような叱責もお受け致します。」
「ダメっ!ユウキの力が世界を滅ぼしちゃうなら…私が救う!私の役割は救う者なんでしょ!?」
そう叫ぶとユウキに向かって走り出す。
「ハル様っ!?ダメです!あの力は止まらない!」
そのまま黒い力に包まれてるユウキへ向かいユウキの胸へ飛び込み抱きしめる。
「ユウキっ!ユウキっ!私が…私が助けるから!私に救う力があるなら…ユウキを助けてっ!!…助けるのぉぉ!!」
ハルから眩い光が放たれる。
「これは…。ハル様の力?修練もせずにいきなり発動させたと言うのですか…。」
ハルから放たれる眩い光と、ユウキから放たれる黒い力がぶつかり合う。
「ガ…グガァァ…」
「ユウキ!ユウキっ!!封印なんてさせない!世界を滅ぼさせたりしない!」
ハルの身体から眩い光が放たれ、ユウキの黒い力を飲み込んでいく。
「ユウキ!ユウキィ!!ユウキィィ!!!」
光が収まると黒い力は消えていた。
「ハァハァハァ…ユウキ?ねぇユウキ?」
ハルの呼び掛けに応えるようにユウキが目を覚ます。
〜〜〜
「なるほど。そんな感じだったのか。」
ハルとルーナさんから意識を飛ばしてからの話を聞いた。
「ありがとうハル。ハルに助けてもらったな。」
「ううん。いいの。でもユウキのアレは何だったの?」
「…。」
…どうするか。こうなった以上話さない訳にもいかないんだろうけども…。
いやしかし俺の役割をハルに教えるのはなぁ。世界を滅ぼすモノは流石に…。ハルにとってのラスボスなのは…。
と。答えられず黙ってしまっていると…。
「ユウキがどんな力を持っていたって、ユウキはユウキだよ?私はユウキの事…、ユウキの事…す、ううん。信じるよ?一緒に居たいよ?」
「す?…ハル。ありがとう。」
「それに今回も私がユウキの暴走止められたってことはこの先も私が居れば大丈夫ってことだよ!私は世界を救う者だよ!世界ってことは人も動物も何もかも全てでしょ?だからユウキも含めてだよ!…きっと。」
「ハル…。」
その世界ってのはきっとこの世界のことで、俺はこの世界の人間ではない。って言ったら…泣くな。いや怒るか?でもそう言ってくれるのは嬉しいな。
「ありがとうハル。そうだな。ハルが居れば大丈夫かもな。」
最終的に俺がラスボスだったとしても今回ハルの力が俺の力より優ったのであればきっと俺を倒してくれる。俺が力をコントロール出来なかったとしても…。
「ハル…。俺の本当の役割は…」
ハルに伝えようとすると…
「待って!役割はいいの!」
まさかのハルからストップがかかる。
「ハル?」
「いいの!聞かないの!」
「いいのか?」
「…ユウキが本当の事を話さなかったってことは何か意味があるんでしょ?聞いたら今まで通りで居られなくなるかもしれない。一緒に居られないのはイヤ。イヤだから聞かない。聞かなくても一緒にいる!何かあっても私が止める!!」
「それでいいのか?」
「いい!…ユウキが一緒に居てくれるなら。」
「わかったよ。ハルありがとう。でも一つだけ伝えるね。」
「うん。なぁに?」
「…きっと俺の中にはさっきの黒い何かがいる。…あるって方が正しいのかな。自分でコントロール出来るように努力はしてみる。…暴走させておいてできるのかって話ではあるけど。また迷惑かちゃうかもしれないけどな。」
「いいよ!全然いいよ!私が助けられるならいくらでも助けてあげる!今までいっつも頼ってばかりだったから!いつも相談に乗ってくれてたでしょ!」
「そんな頼りになってたかは自信無いけどな…。でもまぁよろしくな。」




