9 もう1人の
真っ暗だ。
今俺はどうなってるんだ?
目を開いてるのかどうかもわからない。
黒い。思考も体も心も黒い。
何もかも黒い。
(ソレガ貴様ノ本質ダ)
誰だ。誰かいるのか。
(我ハ貴様ダ。ソシテ貴様ハ我ダ)
俺自身?
(ソウダコノ世界ヲ破滅サセ滅ボスノダ)
滅ぼす?何故だ?
(貴様ガ心ノ奥底デ望ンデイルコトダロウ)
そんな事は無い。全てを滅ぼすってそしたらハルも…。
(自分ノ物ニナラナイノナラト考エテイルノダロウ)
それは…それでも…でも!
(力ヲ求メロ、ソシテ飲マレロ、全テ滅ボセバラクニナレルゾ)
…楽に。
この黒い、真っ黒なモノに身を委ねて…
「…!…ウキ!」
この声は…
「ユウキっ!ユウキっ!!」
…ハル!
(邪魔ガ入ッタナ、マァイイ我ハ貴様とトモニアル)
〜〜〜
目を覚ますとハルの顔が目の前にあった。
「ユウキ!目を覚ました!?ユウキぃ!!」
めちゃくちゃ号泣してるじゃないか。誰だ泣かしたのは。
「ハル…?あれ?俺は?」
「俺は?じゃないぃぃぃ!何か凄い音がして目を覚ましたらユウキ居ないし、1人だし。何か凄い建物揺れてるし、もう怖いしユウキ居ないし!」
俺が居ない事何故2回言う?
あー。段々意識ハッキリしてきた。
そうだ。力のコントロールの練習で水晶触って…
何か黒い感覚で…。
その後…?
「ユウキ様申し訳ございません。」
声のする方に顔を向けると深々と頭を下げる大神官がいた。
「ルーナさん。何が起こったんだ?」
「恐らく…ですがユウキ様の力を水晶が吸い出した際に、一度に力が表面に出てきてしまい、暴走してしまったのではないかと。」
暴走…。周りを見渡して見ると修練場は見るも無惨に壊れていた。…屋根無くなってるじゃん。
「ルーナさん。申し訳ないです。建物壊してしまって…」
「いえ。お気になさらずに。そんなに畏まらないで下さいませ。先程までのお話し方で構いません。今回の件につきましても、まさかあの水晶でこんな事になるとは思いもしませんでしたので。」
「ユウキぃぃぃ!」
号泣お姫様が抱きついてくる。
「心配したんだからねぇ!!来てみたら部屋は凄いことになってるし、ユウキは何か黒いモヤモヤに覆われてるし!」
「黒いモヤ?」
「そうだよ!何か凄く怖い感じがしたの…。このままユウキが壊れちゃうんじゃないかって…」
黒いモヤ…。意識がない間に何か黒いってのは何となく覚えてるんだけどな。
「ルーナさん。黒いモヤって…。」
「恐らくお考えの通りかと。」
「なぁに?何かわかるのっ!?私にも教えて!!!!」
あ。何かめっちゃ怒ってないこのお姫様?
「ハル。落ち着け!落ち着けって。」
「落ち着けないっ!!ユウキなんか…なんか凄くヤバそうだったんだから!目を覚ましたら居ないし!!1人は嫌だって!言って…るの…にぃ、グスッ…」
あ、怒りながら泣き出した。
めっちゃ可愛いじゃないか…。って違う違う。
「ごめんな。」
「グスッ。ユウキが無事ならいい…。」
「あぁ。大丈夫だよ。ルーナさんも申し訳ない。暴走止めてくれたんだろ?」
「いいえ。ユウキ様。暴走を止めたのはハル様なのですよ。」




