104 四精霊
「魔剣ルイン…」
2人から同時に言われたその剣の名前を呟く。
すると魔剣が僅かに反応した感じがした。
「この剣は魔王にしか使えない剣と言われておるが、どうやらユウキ殿を持ち主と認めたようじゃのぅ。」
「つまり正式に魔王だと認められたってことか。んー。喜んでいいのか…?」
魔王にしか使えない剣を引き寄せ、手にして、剣に認められる。
もうそれは魔王だと認める以外ないんじゃないか?
「でもユウキ何も変わってないでしょ?大丈夫!手から伝わってくる温かさも変わらないよ!」
ハルが笑顔でフォローしてくれる。
「ハル。ありがとうな」
「どーいたしましてー!」
「イチャイチャするのは里に戻ってからにしよう。なんだかんだ時間かかったからな。急がないと日が沈んでしまうぞ?」
「わかった。じゃあ里へ戻ろう」
そして北の森を後にしてエルフの里へ向かう。
〜〜
「つまりあの森に魔王の遺物があった為悪霊の発生に繋がっていたと。そしてその剣が伝説の魔剣ルイン…。その剣がある所に悪霊が発生したりはしないのですか?」
里に戻り、翌日アメリアさんに話をしにきた。
結果を報告するとそう質問されてしまった
まぁ魔王の遺物が原因なら、この魔剣も遺物だもんな。そう心配するのも当然か。
「…恐らく大丈夫だと思います。あの地で何者かが掘り起こした遺物が原因だったようですし、ここに来るまで悪霊に遭遇していませんので。念の為あと数日滞在させていただき、森も含め確認します」
「わかりました。…人をここまで信頼する日が来るとは思いませんでした。しかもその人が魔王…とは。長く生きていても何が起こるかわからないものですね」
これまで感情をほとんど外に出さなかったアメリアさんが、ふぅ。と息を吐いたあと微笑んで話してくれる。
無表情からのギャップに…ドキッとしてしまった。
ジュリアさんも美人だけどアメリアさんも美人なんだよな。やはり金髪の美人エルフ…いいな。
「ユウキ…?何を考えてるのかな?手繋ごうね?」
ジト目のハルが近づいてきて俺の手を取る。
だからなんでわかるんだ?
って言うか、別に考えるぐらいよくね?
そしてまた手を繋ぐの?
「べ、別に何も考えてないって。手を繋ぐのは構わないけど…。どうした?こないだからずっとだな?」
「んー。ユウキが遠くに行っちゃわないように!それから私の充電!」
俺は子供か…。
「お前ら本当にどこでもイチャつくな。そのうち皆の前でキスとかし始めるんじゃないか?」
ゼノンがいつも通り呆れ顔で突っ込んでくる。
いやキスって…。
「ゼノン変なことを言うな。ハルとはまだ手を繋ぐ所までだ。キスなんてまだしていないぞ?」
「お、おう…。いや別にお前らがどこまで進んでるとかは…。って人前でする事自体は否定しねーのかよ?」
「フフフ。皆さん仲がよろしいのですね。人とエルフと竜人族、精霊、そして魔王。これまでのこの世界では有り得なかった関係です」
「確かにそうですね。私が里を出たのはこう在りたかったのです。…まさか魔王と仲間になるとまでは考えてもいませんでしたが」
アメリアさんとジュリアさんが話をしている。
しかし、もう俺は魔王確定なのね。
「数日滞在して頂けるとの事ですが、その間にノーム様の所へ行かれるといいでしょう。すぐ近くですし。もしこちらに悪霊が出ることがありましたら呼びに行かせて頂きますので」
「ありがとうございます。そうですね。ノームの元へ行ってみます」
そうして皆でノームの元へ向かう。
何だかんだ結構日数かかったなぁ。
~~
「どうやらエルフの信頼を得ることができたようだね」
ノームが笑顔で迎えてくれる。
「うん!そうだよ!だからユウキは良い魔王だって言ったでしよ?」
ハルがノームに対してドヤっている。
「まぁマリク様や他の精霊が精霊石を渡している時点でエルフの信頼を得ることができるだろうとは思ってたけど…。でもその剣…」
「…こいつか?」
ノームが魔剣ルインに目線を落とし続ける。
「またとんでもないものを拾ったね。この世界で最も価値のある二対の剣の1本だよ。それ」
「二対の剣?この剣に対する剣があるってことか」
「うん。これから神器を取りに行くでしょ?まぁ剣に認められるかどうかって所はあるけどね」
神器の中にこの魔剣ルインと対になる剣が存在していると…。
「さて契約を交わそうか。2人とも手を出して」
ノームに言われるがままに俺とハルが手を出す。
その手にノームが手を重ねて光が発せられる。
「…これでよし。そしてハルさんこれを」
ノームがそう言いながらハルに石を渡す。
「あ!精霊石!良いの?」
「うん。2人は信頼していいと思った。それにもしユウキが魔王として暴走するような事があった時、ハルさんが止める力必要になるでしょ」
…なぜハルはさん付なんだ?
「これで4精霊が揃ったな。…魔王を封印する力手に入るんだっけか?」
「うむ。じゃがミナトがどこまで魔王に近づいているかじゃのぅ、少なくともその剣は持っておらんからのぅ。封印せずとも倒せる可能性もあるのではないか?」
「だけどあの地でミナトの野郎が何を手にしたのかわからないだろ?」
俺とマリクさんの会話にゼノンが入って来る。
以前ミナトと戦った時は俺とハルの力の方が上回っていた気がする。
実際撃退した訳だしな。
あの時より俺は剣も手にして強くなってる…か。
…しかし封印か。封印するってことは倒す訳じゃないんだよな。
「倒せるなら倒す方がいいんだよな?封印だと今ミナトがしているように魔王の力を集められてしまうんじゃないか?」
「でも昔の人達は倒さないで封印を選んだんだよね?なんでなんだろう?」
「昔の魔王が強かったんじゃないか?今はユウキが魔王の因子を持つことで魔剣はこっちにあるし、ミナトが全て魔王の力を集め切れることはないだろ?」
ハルの質問にゼノンが応える。
確かにそうかもな。
「さてエルフの里へ戻って安全を確認できたら、今度は神器だな」
ジュリアさんが声をかけてくる。
「僕はこの地で世界樹を守るから何かあったらハルさん召喚してくださいね」
「うん!ノームちゃんその時はよろしくね!」
これで4精霊は揃い、俺の魔王としての剣が手に入った。
後は神器を手に入れて…
ミナトを倒して…
ハルの役割がどうなるか…。
そもそもミナトだけが災いじゃないかもしれないからなぁ。
それでもこの旅の終わりが少しずつ近づいているんだろうな。
ラスボスとしての終わりが…。




