103 遺物
ハルの放った光はその場にいた10体の悪霊を一撃で消滅させた。
「…え?」
「えへへ!ユウキと手を繋いでたからかめっちゃ元気!」
えーと。どういうこと?
俺と手を繋いだら強くなるのこの子?
「…愛か」
「愛だな…」
ジュリアさんとゼノンが後ろで何か言ってる。
「…羨ましいです。私も愛が欲しいです」
「主も懲りないのぅ」
アクアもなんか言ってんな。
「ユウキー!どう?私強いでしょ!」
ニッコニコのハルがクルクル回りながらドヤッてる。
うん。可愛いね。
愛なのかは知らんけど。
「まぁ…とりあえず悪霊はもう近くにいないようだからちょっと調べてみようか…って何かこの辺おかしくないか?」
森の中なのだが一帯に気は生えておらず、土も掘り返された…というか爆発した後?のような感じになっている。
「…これは何者かが何かを掘り起こして行った…のか?」
ジュリアさんも同じ考えのようだな。
ここにあったとするのは…魔王の遺物。
それを欲するのは…。
「もしそうだとしたら…」
「…ミナトか」
俺の言葉にゼノンが続ける。
「一足遅かったってこと…か。でも悪霊の発生が収まるのなら、良いのか」
そう。ここに来た一番の理由はあくまで悪霊の件だ。
魔王の遺物を手に入れることが目的じゃない。
「…ユウキのパワーアップは無いのー?」
「パワーアップするってことは魔王に近づくってことだぞ?」
心なしかガッカリしているハルに言う。
「んー。ユウキはいい魔王だから!問題なし!」
出た。ハルの謎理論。
「少しここで悪霊が発生するか確認しようか。居ないと思うけど、ここにミナトが来てたってことはまだ近くにいるかもしれない。警戒しながらだな」
「おう。ミナトと魔物の警戒は俺とジュリアに任せておけ。バカップルは悪霊をよろしくな」
…ゼノンのやつ2人まとめた呼び方をそれでいくつもりか。
まぁ嫌な気はしないから良いんだけどさ。
別にゼノンも俺達をバカにしてる感じではないしな。
「…とりあえず各自警戒しながら様子を見よう」
そこからしばらく様子を見た。
通常の魔物は現れたが、特に悪霊も現れず、ミナトに襲われると言ったことも無かった。
「これなら問題無い…かな?」
「そうだな。悪霊問題を解決したと長に言って良いだろう」
よし。これで心残りなくノームと気持ちよく契約できそうだな。
(少し待テ…)
(っと、びっくりしたないきなり声掛けるなよ。ってどうした?)
突然リクに声を掛けられる。
コイツから声掛けてくるのはいつぶりだろう?
(貴様の足しになる物が恐らく残っている)
(…なんだって?魔王の遺物…か?)
(恐らくな)
リクには何か感じ取れるものがあるってことか。
俺の足しになる物…。
それが目的では無いにしろ…気になるな。
「皆ちょっと待ってくれ。どうやらまだ何かあるみたいだ」
とりあえず皆に声を掛ける。
いきなり動き出すと、どうした?ってなりそうだからな。
「どういうことだ?…もしや、そのリクって存在からか?」
「あぁ。どうやらまだ残ってるものがあるみたいだ。ちょっと回収してくるよ」
ジュリアさんに答える。
「それって大丈夫なのか?俺達はリクってやつのことわからないが…信用していいのか?」
ゼノンが心配そうに声をかけてくる。
まぁそれはそうなんだけどな。
「多分大丈夫だ。この腕輪のおかげ外に出てくることはできないし、俺に何かあれば闇に戻らなきゃいけないって言ってるしな」
(クク。信用が無いナ。まぁ当然カ)
「ちょっと待っててくれ」
「ユウキ!私も一緒に行く!離れないって言ったでしょ?」
ハルが俺に駆け寄って来る。
んー。危険は…ないのか?
どうしようか悩んでいたらハルが手を繋いでくる。
「充電ー!これで何かあっても私の光でどうにかしちゃうよ!」
…可愛いすぎるだろ。
うん。このままでいいや。
「わかったよ…気をつけろよ?」
「はーい!」
何か離れた所で呆れてる人達がいるが気づいてないふりで行こう。
(それでどこにあるんだ?)
(左前の方ダ。そのまま進メ)
リクの指示通りに進んでいく。
少し移動したところ…
(この辺りダ。地中に何かあル。貴様の破壊の力を向けてみロ。魔王に関するものなら反応するはずダ)
本当に大丈夫なのか?
まぁやってみるか。
リクに言われた通り黒い力を発動して地面に向けてみる。
すると…
「ユウキどう?」
「…何かある…これはどうすれば?」
(来いト念じてみロ)
「…来いっ!」
俺の念に応えるように地中からそれが現れる。
そのままそれを手に取る。
「…これは?」
「剣?…真っ黒な剣だね」
地中から現れたのは刀身から持ち手まで全てが漆黒の剣。
(魔王が使っていた剣だナ。貴様の力に呼応したのダ。使いこなせるだろウ)
「おいおい…お前それ大丈夫なやつか?どう見ても普通じゃないぞ?」
「…わからん。だけど多分大丈夫だと…思う。なんて言うか…めっちゃ手に馴染むんだよな」
手にした時から凄いしっくりくるんだよな。
何ていうか昔から使っていた…ような?
(魔王の因子が反応してるんだろウ。貴様は最後の魔王に近いのかもナ)
(…それは喜んでいいのか?)
(ククク。知らン。だがラスボスには箔が必要なのだろウ?)
コイツ…俺の中にいるから俺の考えはわかってるってことか。
(本当に何を狙っている?)
(さぁナ。…望んでいるのは世界の破滅ダ)
「ユウキー?大丈夫?リクと話してるの?」
ハッと気づくとハルが心配そうに覗き込んでいた。
手は繋いだままだ。
「ごめんごめん。大丈夫だ。さぁこれでもうここは大丈夫かな?…エルフの里に戻るか」
「その剣そのまま持って行くの?」
あ、そうか。鞘が無いから抜き身のままになっちゃうな。
この漆黒の剣を抜き身で持ち運ぶのは…
完全にヤバい奴だな。
「どうするか…?」
「ユウキ殿…ほっ!これを使うと良い。ワシの無属性の魔力で作った鞘じゃ。魔王の遺物じゃから闇属性があると思うがこれなら大丈夫じゃろう」
そう言ってマリクさんが作ってくれた鞘を持ってきてくれる。
「ありがとうマリクさん。助かるよ」
「なんのなんの。…じゃが…その剣。正直使って欲しくはないのぅ。ワシも見るのは初めてじゃが…恐らくその剣は…」
「知ってるのか?」
(この世界では有名な剣ダ)
「(魔剣ルイン)」




