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俺がラスボス?  作者: いぬちく


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96 成るもの

(アクアか。どうした?)

(ちょっと皆さんには聞かれない方が良い話でしたので…)


なるほど。つまりは…

(俺の力のことか?)

(はい。ユウキ様の中にいる存在…についてです)


これまで伝えようと思えば伝えられたのにわざわざこのタイミングということは…


(悪霊繋がりの話だな?アイツは悪霊なのか?)

(…いえ。近しいものだとは思うのですが、悪霊そのものではないと…思います)


歯切れの悪い感じだな。

この念話においてアクアが嘘をつく必要はないんだよな。

とは言え悪霊の事を話すのにあれだけ躊躇った。

理から外れても話せない事があるって事だな。


(アクア。無理に答えなくても構わないが、見当はついてるのか?)

(…正直に言いますと、恐らく。というものはあります。ですが確実ではないです)


(それでも良いと言ったら教えてもらえるか?)

(はい…。悪霊は魔族が成るもの。精霊はエルフが成るもの。ユウキ様の中にいるのは恐らく人から成ったものかと…)


(精霊でも悪霊でも無い…同じような存在ということか?)

(はい。そしてそれは…それの呼び名は…)


アクアがこれまでに無いほど躊躇っているのが伝わってくる。

そこまで言いにくい事なのか…。

え?なんだ?


(アクア。教えてくれ。何であっても俺は受け入れるよ)

(……確証は無いと言うことは前提にお願いします)

(分かった。あくまで可能性の1つとして聞くよ)


(人から成る存在…それを神霊…つまり神と呼ばれる存在です)

(………神。もしかしてやはりアレスは神に成りノルアーに成ったのか?)

(はい。その通りです)


俺の想像は当たってたってことか。

しかし、俺の中にいるアイツは滅びを求めてるんだよな。


(アイツは神なのか?)

(…正確には神には成ることが出来ていないとは思います。神霊が神に成るには特別な何かが必要ということは知っています。それが何なのか。それ以上の事は私には…)


精霊と言えど全てを知ってるわけではないか。


(精霊王に会えたら聞いてみるか。アクア…ありがとうな)

(…え?)

(俺の中のアイツを知っているアクアからしたら伝えにくい事だったろ?どう考えてもアイツが神だとしたら破壊神とか良くない神だろ)


世界を破滅させようとしてる奴がいい神なわけないからな。

貴方の中に破壊神がいるかもしれませんなんて普通言いにくいよな。


(確証がない話ですので…。私はユウキ様の事を破壊神などとは思ってもいません!…それでもユウキ様が仮に破壊神だとしても私はどこまでもお供させていただきます!)


(ありがとうな。…正直破壊神って言われても別に構わないんだよな。俺の最終目標はラスボスなわけだから。むしろ箔が付くと言うか…)


いやでもそうじゃね?

ハルは世界を救わなきゃならない訳で。

ちょっとぐらいのボス倒したぐらいじゃ認められないかもしれないからな。…誰が認めんのか知らんけど。


(うん。そう考えるとむしろアイツが破壊神ならちょうど良いかもな)

(…ユウキ様。ハル様にそんな事伝えたらめちゃくちゃ怒られますよ?絶対泣きますよ?)


そりゃそうだろうな。


(わかってるり最後の時まで伝えるつもりはないよ。)

(この間も言いましたが可能性は捨てないでくださいね?もちろんどんな選択をしたとて私はご一緒致しますが…)


(…あぁ。ありがとうな)



「…話は終わったー?」

ふいにいきなりハルに声をかけられる。


「え?…ん?なんの事だ?」


「アクアちゃんとまた念話?してたんでしょ?いきなり2人して黙りこくるからバレバレだよ?」


あー。そりゃそうか。


「まぁ…うん。そうだな。ごめん」

「別にユウキが誰と話してたっていいですよー」


明らさまに機嫌が悪いな。

まぁ目の前でわかりやすく内緒バナシされたんだもんな。

しかも言えないことがあるって事は知ってる訳だし。


「ユウキにとってアクアちゃんが1番になっちゃったんだねー。いいですよー。別に私とユウキは何も無いもんね」

あー。これは過去一機嫌悪いやつだな。

しかしどうしたものか…。


「ハル。ごめんって。俺にとってハルが1番特別なのは変わらないよ。特別だから、大切だからまだ言えないことが…あるんだ」


そう。最後には伝える事になる…最後の時に。


「必ずハルにも話す時が来る。約束する。それにその話せないことが俺にもまだ全てわからないんだよ」

「…アクアちゃんも?」


「はい。私にも確証は無いのです。ですのであまり周りに聞かせることでは無いかと思いまして念話で話しておりました。ハル様ごめんなさい」


「なんで謝るの?アクアちゃん悪くないでしょ?」


「いえ…。ユウキ様の事はハル様と正々堂々と勝負したいのです」


ん?ちょっと話の流れが?


「えっ!?勝負って…?」

「どちらがユウキ様に選ばれるのか。今の時点ではハル様の方が優勢でしょう。私には念話がありますが、ユウキ様の心を動かせるわけでは無いので…」


「え!優勢って…」


「ユウキ様はハル様の事しか考えていませんよ?ハル様の為にどうするか?そればかりです」


おーい。何の話だー?

間違ってないのだけれどもさ。

ハルが好きなわけで。ハルを元の世界に帰らせる。

その為に自分を…だけど。


その言い方は…。


「え、そーなの?そんなにユウキ私の事しか考えてないの?」


ハルがこちらを伺ってくる。

…やれやれだな。


「そうだよ。だからハルが1番特別な存在だって言ってるだろ?」


「……。」


「ハル…?どうした?」


ハルが俯いたまま黙りこくる。

「………。」


「おーい?」

まさか泣かせちゃったか?

まだ怒ってるのか?

どうしよう…?

顔見えないんだよな…。


ハルに近づき顔を覗き込んでみると…


「……えへへ」


…めっちゃニヤついてた。

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