シーン11 あかりと雷牙!?
あかりの目の前で繰り広げられた光景、それは――。
マスクドガイ雷牙の変身シーン!
あかりはその変身が完了するまで、魂を抜かれたように見入っていた。
「雷牙ァァ……見参ッ!」
雷牙はあかりの正面で、あかりに向けて、ポーズをキメて見せた。
至近距離で、自分のためだけにポーズを見せてくれている雷牙。あかりのテンションは爆上がりだ。
「わぁっ!! 雷牙だ……!! マスクドガイ雷牙だ!!
ホンモノだぁぁっ!!」
狐仙は呆れ顔で腕を組み、胸をのせる。
「はん、喜ぶのはまだ早いんじゃないのかい?」
そう言われても、あかりのテンションは下がるはずもなく。
「何言ってんの! 雷牙だよ! ホンモノの、マスクドガイ雷牙だよ!
どうしよう、えっと、サインとか頼んでもいいのかなぁ?
せ、せめて握手とか……!」
あかりが一人で騒いでいる隙に、雷牙は空高くジャンプした。
「むっ!? とぉっ!」
そして、そのジャンプが最高点に到達した時。
「雷牙ァァ……」
空中で伸身後方宙返り、そして身体を丸め、前方抱え込み二回転、その勢いをのせて……。
「キィーーーーック!!」
恐るべき破壊力を込めた右足が、雷牙の身体ごと急降下する。
その先には……。
「え……? きゃああぁぁっ!」
あかりは間一髪で飛び避けた。雷牙キックの標的は、あかりだったのである。
「……ちぃっ……」
標的を外した雷牙は苛立ってあかりに顔を向けた。
「え……? な、なんで……?」
混乱するあかりに、狐仙が高笑いを浴びせる。
「あーーーーっはっはっはっは!
味方が現れたと思ったら、あてがはずれちゃって残念だねえ?」
雷牙はゆっくりと狐仙に歩み寄った。狐仙と並び立ち、あかりに身体をむける。
彼が狐仙の側についている事は明白だった。
「うそ……、うそ……っ!!
なんでマスクドガイ雷牙が……!」
あかりには信じられなかった。マスクドガイ雷牙は正義の味方、正しい者の味方だったはずだ。正義そのものだったはずだ。なのに何故……!
だがあかりは、この状況に覚えがあった。
「わかった……。偽物ね……!
8話で登場した偽マスクドガイ……!」
そう、何度も見たマスクドガイ雷牙第8話、『激震! 二人の雷牙!』。
登場した偽マスクドガイは完全に本物と同じ姿、同じ声、同じ能力だった。
唯一の違いは……。
「ふん。ならば……!
斬鉄……ブレェェェェドっ!」
雷牙は腰の後ろに装備していた忍者刀を抜いた。
「え……っ!?
偽マスクドガイは……」
「とぉっ!」
戸惑うあかりの目の前で雷牙は高く跳躍した。
「奥義! 万斬刀!!」
雷牙の必殺技があかりに放たれる。
「きゃああっ!!」
悲鳴を上げて身をかわすあかり。彼女が立っていた地面が砕けた。
「相変わらずの威力だねえ。でもまたはずすとは……。
10年もたって、身体がなまってるんじゃないのかい?」
狐仙は苛立つ様子もなく、雷牙にツッコむ。
雷牙は落ち着いて刀を構えなおした。
「ふっ……今のは肩慣らしだ。
次は、はずさんッ!」
あかりは危機感と疑念とがないまぜになって、パニックを起こしていた。
「はぁ……はぁ……っ!
うそ……斬鉄ブレードはホンモノしか持っていないはず……。
奥義万斬刀は、偽物には繰り出せない必殺技のはず……。
なら、あの雷牙は、ホンモノ……?
そんな……! 雷牙が敵になるなんて……!
このままじゃ……!
こ……弧次郎さん……!」
複雑な思いで雷牙を見つめるあかり。
反撃どころか動くこともできないあかりを眺めながら、狐仙は満足気に笑った。
「あーーーーっはっはっはっは!
ほら、あんたの色男は目の前にいるだろ?
あんたの命を奪うために刀構えてさ!」
「弧次郎さん……っ!」
あかりの呼びかけも虚しく、雷牙は自分の視線の高さに刀を構えた。
「小娘……悪いがその命、もらい受ける……!
……覚悟ッ!」
雷牙が迫ってくる。あかりは思わず悲鳴をあげ、後退った。
「あ……きゃぁぁぁっ!!」
「……ぐえっ」
その時あかりの足元で、ウシガエルを踏み潰したような声がした。
「え……? な、なんか踏んだ……?」




