↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第九話 「迷路」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/140

シーン10 智恵とアキラ。

 風呂上がりの髪を乾かしながら、智恵はアキラ・ユーマと名乗るその男をしげしげと眺めていた。

 もちろん普段着はもう身につけている。

 アキラは咥えたタバコに火をつけず、その先端を指先でポンポンと弾いていた。


「そっか、いつの間にかあたしも眠っていたって事ね」


 眠れずに風呂に入った時は、夢の中だったのだろう。

 アキラはタバコの先をポン、と弾いて智恵に顔を向けた。


「あぁ、そういう事になんだろーな。

 ここはお前らの言う妄想界、だからな」


 タバコを咥えたまま器用に喋るアキラ。智恵は彼の存在によって、不思議な安心感を覚えていた。が、やはり腑に落ちない。


「ってゆうか。あんたは誰なのよ?

 なんかうちのバカホーキとキャラかぶってるんだけど……」


 アキラは唇に貼り付いたタバコを摘み上げ、軽く振りながら答えた。


「さっきも言っただろ? 俺様はアキラ・ユーマ。究極の大魔法使いだ」


「うーん、どっかで聞いたことあるのよね……その名前」


 智恵は自分の記憶を掘り起こそうとするように首をひねった。


「んまぁ? 思い出せねーもんは思い出せるときに思い出せばいい。

 ……必要な時に限ってど忘れすることも多いけどな」


 アキラはあっさりとそう言って、ひとつ苦笑した。


「で? 起きてるときの意識を保ったままでこっちに来るって事は、何か理由があんだろ?」


 アキラの問いに、智恵は素直にうなずいた。

 智恵の中で、アキラに対する警戒心が薄れはじめていたのだ。


「うん。実は……。

 ある人、ってゆうか、ホーキ? を探してるの」


「ホーキ? んなもん、その辺に転がってんだろ。

 ……って、なんか特別なマジックアイテムかなんかか?」


 アキラは興味があるのかないのか読めない表情で尋ねた。


「なんか、あたしが妄想した存在らしいんだけど……。

 アキラ……さん? とおんなじような事言ってるのよね。

 俺様は究極の大魔法使いだー! とかなんとか」


 智恵が呼び方に困っているのを見てアキラは大笑いする。


「あはは!

 つーか、さん付けとかめんどくせーし、アキラでいいよ。

 それとも? 師匠~! とでも呼ぶか?」


 ニヤニヤ笑っているアキラに、智恵は思いっきり毒づいた。


「そんなわけないでしょ!

 なんか年上っぽいからさん付けしただけ!

 ……全く、魔法使いなんて名乗る奴はどいつもこいつも!」


 ぷりぷりと怒っている智恵を、アキラは興味深々で見つめた。


「へー、ちび巨乳ちゃ……」

「ん!?」


 智恵の眼光が、人を殺せそうなくらいに鋭くなる。

 アキラは慌てて言い直した。


「いやいやお嬢ちゃん、魔法、嫌いか?

 結構つえー魔力感じるけどな?」


 智恵はツン、とそっぽを向いた。


「あたしは科学者! 魔力とか、そんなのあるわけないでしょ!」


「あはは、そうかー? 魔法使いってのは科学者なんだけどな?

 魔法を使えるって事は、マナ物理学の博士号持ってるみてえなもんだしな」


 ホーキングも言っていた『魔法は科学』。アキラも同じことを言っている。

 だからと言って、智恵はそれをそのまま受け入れる事はできなかった。


「そ、それはわかるけど……。

 でも! あたしは魔法なんて……!」


 否定する言葉が弱々しくなっているのを、智恵は自覚していた。


「ふーん。なんかそんだけ魔法にこだわってるとこ見ると……。

 嫌いとか言いながら、ほんとは好きなんじゃねーの?」


 ニヤニヤ笑いながら、智恵の顔をじろじろと見つめるアキラ。当然智恵は聞き流せない。


「……ふざけたこと言わないでよ。あたしは……!」


「……でだ。そのホーキ、探すんだろ?」


 智恵の言葉を遮って、アキラは話題を変えた。


「しゃあねえ、俺様も手伝ってやるよ。

 俺様に似たホーキってのにも会ってみてえし、経験値入りそうなミッションだしな」


 火をつけなかったままのタバコをゴミ箱に弾き入れ、アキラは立ち上がった。


「何言ってんのよ、そんなのいらな……」


 智恵の抗議の声を無視して、アキラは智恵に言い放つ。


「ほーら喜べ!

 この、超ウルトラスーパーグレートワンダフルエリートウィザードのアキラ・ユーマ様が、力を貸すって言ってんだぜ?

 もう天にも昇る気持ちだろ?

 まずは……どこだ? 物置あたりから探すか?」


「だから、話聞きなさいよ! 別にあんたの力なんか……」


「とりあえずそこら中ディテクションしまくるか?

 つーか、ちび巨……いや、お嬢ちゃんの発明にないのか?

 魔法のホーキ探し機とかさ!」


「そんなのあるわけないでしょ!」


 智恵はアキラのペースに乗せられながら、それでも必死で反撃した。


「それにあたしは鷹城智恵! 変な呼び方しないでよね!」


「オーケー! んじゃ、とっとと捜索開始しますか、智恵お嬢ちゃん!」


 智恵はまた、殺人級の鋭い眼光をアキラに向ける。


「その呼び方も……今度したら殴るわよ!」


「……すいません」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。