シーン8 あかりの波乱。
荒野にあかりの気合が響いていた。
剣を持たず、拳で、蹴りで、敵を粉砕する特訓だ。
ポニーテイルが揺れ、汗を散らし、いつ果てるとも知れない型稽古をあかりは必死で続けていた。
「ふっ! せやっ! とぉっ!
……弧次郎さんが見つからないなら……。
特訓あるのみっ!
弧次郎さんなら……特訓をしているあたしを、必ず見つけてくれるはず……っ!」
その時。
「へぇぇ~? こんなところで特訓かい?
一人っきりで寂しいねえ?」
あかりにかけられた声は、無論弧次郎のものではない。
振り向いたあかりの前に、妖艶な美女が立っていた。
「あなたは……! 悟空くんの手下……狐仙!
……だっけ?」
狐仙はいきりたって怒鳴り散らした。
「前回も出ているのにうろ覚えって何なんだい!
物覚え悪すぎだよ!」
あかりも負けずに怒鳴り返す。
「うるさいわね! ここで会ったが百年目!
真っ向勝負! 覚悟しなさい!」
「ナマ言ってんじゃないよ! 覚悟するのはそっちの方さね!」
まさに一触即発。あかりはスマホを取り出した。
「いくよ、弧次郎さんっ!」
だが弧次郎の返事はない。
「そっか……! 弧次郎さんは……!!」
「あーーーーーっはっはっはっは!
どうしたんだいお嬢ちゃん? あんたの色男はいないようだねェ。
さぁ今度こそ! 年貢の納め時だよ!」
ムチをピシッと鳴らしながら、ゆっくりと間を詰めてくる狐仙。
しかしあかりの目は輝いていた。
「くー! あたしピンチ! 燃えて……」
「そこまでだ!」
あかりの声をさえぎる男の声。
「……何っ!?」
狼狽えて周囲を見回す狐仙。だがあかりにはその声の正体がわかっていた。なぜならば。
「この声……! 弧次郎さんっ!!」
あかりの前に姿を現した弧次郎は、狐仙に鋭い視線を向けた。
「その娘に手出しはさせん!
雷牙ァァァ……変身ッ!!」
「え……? え……っ!?」
信じられない光景に、あかりはただ混乱していた。




