シーン7 智恵のサービスシーン。
バスタブに身を沈め、智恵はほっと息をついた。
妄想界突入合宿。夢の中に意識を持っていく事で、妄想界に赴き、変身能力を取り戻す作戦だ。
元々寝付きの悪い智恵は、眠るタイミングを逸してしまったのだった。
「はぁ~ぁ。三人であんなに寝言言われちゃ、眠れるわけないじゃない。
……あぁ~、良いお湯~。お風呂上がりなら眠れるかもしれないわね、あたしの計算によれば……!」
と、その時、窓の外でガタガタという音がした。
咄嗟にタオルを掴んで、窓に神経を集中した。
「……誰っ!?」
鋭く叫ぶ智恵の誰何に呼応して、窓の外で機械が作動する音が響く。
「な、なんだなんだっ!?
なんなんだこれっ!」
外から響いてくる男の声。続いてザバーッと響く水音。
「うわっぷ!」
どうやら水流は無事男にヒットしたらしい。
智恵はタオルを持って立ち上がった。
「ふん! こんな事もあろうかと、覗き痴漢撃退装置・スーパーパニッシュ智恵スペシャルを設置してあるのよ!」
窓の外にいる誰かに勝ち誇る智恵。外の男は特に敵意を見せるでもなく、ただボヤいていた。
「かー! びっしょ濡れじゃねーか。
俺様にしては珍しく油断しちまったなー」
その口調。そして声。
智恵は腹立たしいような、しかしちょっとホッとしたような複雑な気持ちだった。無論そんなことはおくびにも出さずに怒鳴りつける。
「その声……! バカホーキね!
ちょっとあんたに話があるから、待ってなさいよね!」
しかし返ってきた言葉は、声も口調も完全に一致しているのに、それを否定するものだった。
「あ? ホーキ? おいおい人違いはよしてくれよ。
ほら、顔見せてやろーか?」
言うなりカラカラと窓を開ける。
「ば、バカ! 窓開けないでよっ!」
慌てて窓を閉めると同時に、覗き痴漢撃退装置・スーパーパニッシュ智恵スペシャルが、もう一度男にお湯を浴びせた。
「ははー、もうびっしょりだからな、お湯かけられても変わんないっすよ、巨にゅ……ぐはっ」
覗き痴漢撃退装置・スーパーパニッシュ智恵スペシャルが、マニピュレータをゲンコツにして男の顔面を殴打した。
「……次は目をつぶすわよ」
「……すみません」
マニピュレータがチョキの形で、うなだれた男を威嚇していた。
「でも、確かに別人みたいね。あんた、誰なのよ!」
智恵が窓の外に声をかけた。ホーキングに似た声、似た言葉使い。どうにも気にならざるを得ない。
男は、またホーキングの如く返事を返した。
「あ? 俺様か?
ふふん。聞いて驚け!
俺様は究極の大魔法使い、超ウルトラスーパーグレートワンダフリャエリートウィザード、アキラ・ユーマ様だ!」
智恵は、どこかでその名前を聞いた事があるような気がしていた。
「アキラ……ユーマ……?」




