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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第九話 「迷路」

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シーン6 その頃のディスペアー

 狐仙の庵。

 悟空は今後の動きについて指示を与えるため、狐仙シスターズを召集していた。


「さて……。あのねーちゃん達がこっち来たみてえだな」


「そうですわね、悟空様」

「きたきたー!」


 狐仙シスターズの表情には一片の怯懦もない。むしろついに全力でMSガールズに対峙できるという期待が、全身から満ち溢れていた。


「では、作戦のご指示を……!」


 黄仙が促すと、悟空は三人の顔をぐるりと眺め、話し始めた。


「そうだな。

 あのねーちゃん達の妄想力は半端ねーし、迂闊にあっちの妄想領域で暴れたら何が起こるかわかんねえ。

 だからまずは、どんな夢を見てんのか、調査だ。

 お前達はそれぞれの夢の中に侵入して、調べてこい」


 狐仙シスターズは顔を見合わせた。折角の任務が、調査だけとは物足りないのだ。

 悟空は少し苦笑して、言葉を続けた。


「そんなに残念そうな顔すんな。今回お前たちには、卑弥呼様から預かった三人の刺客を補佐につける。

 調査もそいつらに手伝わせればいい。

 あいつらの妄想領域をきっちり見極めれば、倒すのは簡単だろ?

 まずはきっちり調査しとけ。引っかき回すのは、それからだ!」


 三人の顔がぱぁっと明るくなった。


「かしこまりましたわぁン、悟空様ン」

「お任せ下さいませ、悟空様っ」

「うん、わかった、大聖様ー!」


 いそいそと準備を始める狐仙シスターズ。

 悟空はもう一つため息をついた。


「……仙狸、お前いい加減に呼び方覚えろ」


「うん、わかった、大聖様ー!」



 同じ頃。アラジンもまた、MSガールズの襲来を前に、部下を召集していた。

 まず先鋒として悟空たちが迎撃に向かう事になったが、苦戦となればすぐにアラジン達にも出撃の命が下る事になる。常に万全の準備を整えておかねばならなかった。


「……準備は整ったか?」


 アラジンは大声で呼びかけ、しばらく待つ。が、返事はない。


「……準備はできたのか?」


 しばらくの、間。


「……準備出来ているのか!?

 コードネーム・ジン!!」

「ハイハァ~……」


 食い気味に、野太い男の声が響こうとしたその時。


「……と思ったが!

 ジニー、奴らの妄想界侵攻に対する準備はどうだ」


「ハイ、アラジン様」


 素直に答えるジニー。明らかに、娘とコミュニケーションを取った方が万事円滑だった。


「むはー! しどい! しどいのですアラジン様!

 このコードネーム・ジン、必死の思いで満を持しておりましたものを……」


「ご命令通り、あの方にご協力を依頼して参りました!

 少し時間はかかるそうですが……必ず助太刀に来て下さるそうです!」


 涙目の父親を完全に黙殺して話を進めるジニー。有能である。


「ご苦労。そうか……やはり時間がかかるか……」


 アラジンは、それでも焦りを感じてはいなかった。助太刀を要請した親友は、妄想界の中でもかなり大物の部類に入る。万全を期すためにも、彼の到着を待つつもりだった。そのために先鋒を悟空に譲る事になったのは癪だったが、それでも最後に勝つのは自分であると信じていた。

 卑弥呼の用意した刺客は悟空にあずけられたそうだが、見ず知らずの者を戦力に組み入れて、うまくいくはずがないのだ。

 と、アラジンが考えている間に、ジンはハイテンションでぶつくさ言っていた。


「おお、我が愛娘ジニー、冷たすぎるのだよジニー。

 アラジン様と二人して父を完全無視とは、泣けてくるのだよ、よよよよよ……。

 こうなったら父一人でもやってみせるのだよ!

 ハイハァ~イ♪

 天知る地知るお味噌汁♪ 豚汁ブラジルアルゼンチン♪

 皆様おー待ちかねの~!

 コードネーム・ジン! 満を持して! 今! 参上!!」


「あ、それからアラジン様、サルの方も動き出すようです。

 私たちも……」


 ジニーは出撃したくてうずうずしていた。無論悟空に対する敵対心も強かったが、前回狐仙シスターズに辱められたことも、大きな原動力になっていた。

 悟空たちに手柄なんか立てさせてやるもんか、とジニーは誓っていたのだ。


「あぁっ、どうしたのだ愛娘ジニー。いつものようにツッコんでおくれジニー。

 突如反抗期の方向性を変化させるとは、高等手段過ぎるのだよジニー。

 てゆうか、たった5歳で反抗期とは、ハイグレード過ぎるのだよジニー」


「いや、もう少し様子を見る。充分に情報を集めてからでも遅くはない。

 助太刀が来るまでは、じっくりと腰を落ち着けて情報を集めるのだ」


「かしこまりました」


 アラジンの指示に、ジニーは静かに従った。はやる気持ちはあったが、作戦というものがある。自分が作戦を乱すことで、却って目的を果たせなくなるという事を、ジニーはたった5歳で理解していた。


「ところで……」


 アラジンが話題を変えた。


「例のメモ帳は、筆跡に乱れがあったが……詳細なデータ収集、ご苦労だった」


「あ、あれは……」


 ジニーの目が泳ぐ。あのメモ帳は、ほとんどが狐仙シスターズによって書き込まれたものだ。

 筆跡の乱れなどではなく、書いたのが複数人だっただけなのである。


「な、なんと、ジニー、父にも内緒の特命を受けて、しかも既にミッションコンプリート!? なんと優秀な娘なのだジニー!

 父はなんか……どんどん寂しくなってくるよ……」


「えっと、あの、あの情報はなんの役に……?」


 ジニーは尋ねた。あんな辱めを受けてまで収集した情報だ。その重要性だけでも知っておきたかった。

 アラジンは慌てて咳払いする。


「ま、まぁ、お前は、知る必要はない。

 コードネーム・ジン、ジニー。いつ出動命令が出ても良いように、準備を整えておけ!」


「は……はいっ!」


「ハイハァ~イ♪

 ……さ、最後まで相手にしてもらえなかった……。

 先行きが不安なのだよ……とほほほ……」



 その頃。神託の間を出ていく三人の影があった。


「なるほど……。そういう事か……」


「へー? つまり、俺様の出番っつーワケだ……!」


「あははははははー!」

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