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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第九話 「迷路」

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シーン3 常世の国

「ねえちゃん! あ、いや、卑弥呼様!」


 慌てふためいて神託の間に飛び込んできた悟空は、そこまでまくし立てると、ぜいぜいと息を切らした。

 どう見ても、異常事態発生の報である。


「なんだ小僧、卑弥呼様の御前で騒々しい!」


 強くたしなめるアラジン。卑弥呼から召集がかかったというのに遅刻をし、さらに騒ぎながら現れるとは、アラジンには到底許し難い暴挙だった。

 しかし。


「どうしたのだ? 悟空」


 卑弥呼の声は普通だった。

 もちろん悟空に対する怒りは無い様子だったが、不自然なのは、悟空の切迫した様子を気にも留めていない事だ。

 だが今は、卑弥呼の気まぐれについて議論する時間はない。

 悟空はすぐに、仕入れたばかりの情報を報告した。


「MSガールズのやつら、妄想界との連絡手段を自分で切っちまったらしいぜ!」


「な……っ! それは本当か!」


 アラジンは驚愕の声を上げた。考えられなかった。

 現世界の存在であるMSガールズが、妄想界の存在であるディスペアーと唯一戦う事が出来るのは、自らに妄想界の力を念写する能力を得たからだ。

 なのに彼女らは、その命綱とも言える連絡手段を自ら断ち切ったのである。


「あぁ間違いねえよ。しかしなんでそんな事したんだ……?」


 考え込む悟空。アラジンも首をひねった。


「なにか特別な策があるのではないのか……?」


 悟空はうーんと考え込みながら、思考を整理するように喋りだす。


「さすがにこれはわかんねえ。単に戦う力を捨てただけだもんな。

 あのねーちゃん達がこっちに来る以外、話すことだってでき……あ!」


 ハッと顔を上げる悟空。


「でも、そんな事ができんのか……?」


「小僧、まさか……」


 アラジンの表情がこわばった。


「うん、あいつら、こっちに来るつもりなんじゃねえかな。

 つっても、方法はわかんねーし、連絡を切った意味もわかんねえけど……」


「確かに、こちらに来るとしても、連絡手段を切らぬ方が有利なはず……。

 一体何を考えているのか……」


 二人の声が緊迫の度を増していく。

 だが卑弥呼は動じない。全く普段通りの口調で言った。


「ふむ……面白いではないか。

 彼奴らがこちらに来るのであれば、我らの力全てを使ってたたきつぶすことも出来よう?」


「あ……そっか!」


 悟空は顔を上げて卑弥呼を見つめた。

 卑弥呼の言う通りだった。

 危険な技を持った敵が攻め込んでくる、という事態に危機感を覚えていたが、むしろ圧倒的に有利な状況である事に気付いたのだ。


「現世界での戦いでは、次元通路を通れる大きさの力しか送れないという制約がありました。

 が、こちらでは……!」


「そう。我自身が出向いて戦うことさえ可能だ。

 その必要はないだろうがな? 悟空、アラジン」


 卑弥呼は二人を順番に眺めた。


「……はっ」


 二人が同時に頭を下げる。

 現世界には力の一部しか持って行かなかった彼らは、全ての力を以てMSガールズと対峙できる事に高揚感を感じていた。

 手下も魔獣も、通路の大きさなど関係なく使い放題なのだ。万が一にも負ける事などあり得なかった。


「それから……このような事態に備えて、我も刺客を用意している」


 卑弥呼の言葉に、アラジンと悟空が目を見張る。


「卑弥呼様が、刺客を……?」

「へー、どんな奴なんだ?」


 悟空が身を乗り出すと、卑弥呼は静かに笑を浮かべた。


「今にわかる。

 彼奴らが妄想界に来るならば、その時は……どうすることも出来ずに敗れ去るであろう……!」

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