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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第八話 「どきっ☆女だらけの水泳大会♪・後編」

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シーン8 @現世界某所

 狐仙シスターズは、あらためて作戦を再開しようとしていた。

 捕らえたジニーはロープを巻かれ、給水塔にぶら下げられていた。

 狐仙はウンディーネが入った水筒を軽く振って、二人の妹分に顔を向けた。


「さぁて? そろそろ最終段階、いってみようかねえ?」

「いってみようかねー!」


 仙狸がバンザイして喜んでいる。

 黄仙は、仙狸のすぐ横にぶら下げられたジニーを見て、狐仙に尋ねた。


「姐様、あのガキんちょはどうします?」


「いいよ、そのままで。あのままつる下げとけば手も足も出ないだろ」


 狐仙はあっさりと答えた。

 仙狸はすぐ横にぶら下がっているジニーをハッと思い出して、ジニーをぐるぐる回したり、思いっきり押して揺らしたり、と、なかなかえげつない遊びを始める。


「ぐるぐるまきー! みの虫みの虫!」

「ちょ、ちょっと! 揺らさないで下さいっ!」


 ジニーの抗議も聞かずにはしゃぎ回る仙狸。

 黄仙は面白くなって、仙狸をからかった。


「タヌ子、なんかどんどん頭悪くなってない?」


 その声にピタッと止まった仙狸は、黄仙を指さし、頬を膨らませる。


「あーーー! タチ姐、またタヌ子って言った!

 ネコだもん、あ、にゃー!」


「あーもういいから! とっとと始めるよ!

 タチ、ネコ、そのフタを開けな!」


 苛立った狐仙がビシッと叱咤すると、二人は声を揃えて返事をした。


「了解ですっ!」

「はいにゃー!」


 今ひとつちゃんと揃わなかった返事の後、二人は給水塔の上に飛んで、タンクの蓋をぐいっと開ける。

 水筒の蓋を開けた狐仙が蓋のそばに立ち、水筒の中に溜めていたウンディーネを、タンクの中に注ぎ込んだ。


「ふふふ……。これでよし。ウンディーネが水を取り込むまで……」

「取り込むまでー!」


 狐仙はにまーっと笑って、給水塔から飛び降りた。


「ガキんちょの持ってたメモ帳、とっくりと見せてもらおうかねえ?」

「もらおうかねー!」


 仙狸と黄仙も飛び降りてきて、にんまりと笑う。


「や、やめて下さい!まだあたしほとんど何も書いてないですしっ!」


「書いてないならいいじゃないか。え?」


 狐仙はニヤニヤ笑いながら、仙狸から手帳を受け取った。


「それでは、チェックターイム!」

「やったー!」


 大喜びの黄仙と仙狸。ジニーは狐仙を睨みつけてわめいた。


「そんな事したら、アラジン様に言いつけてやるんだからーっ!」


 睨みつけるジニーの目の前で、狐仙はメモ帳を開く。


「あぁら、あたしたちの事ずいぶん調べてくれちゃってるじゃないか。

 うーんなになに?

 リーダー狐仙。推定スリーサイズ93(F)、60、87?」

「すごい、当たってるー!」


 仙狸はびっくりして飛び上がるが、狐仙は鬼の形相で否定した。


「何言ってるんだい! あたしのウエストは59だよ!」


 狐仙がぷりぷりと怒っている中、黄仙はメモ帳を覗き込んで首を傾げた。


「姐様のデータだけ妙に詳しいですわね……?

 あたし達とはメモの字も違うし……」

「ほんとだー!」


 仙狸がつま先立ちで覗き込む。

 狐仙は面白がって続きを読み始めた。


「そうだねぇ。黄仙は……?

 ナンバー2、黄仙。イタチの妖怪。細っ! 胸でかっ!

 ……これだけかい? お嬢ちゃん?」


 ジニーのほっぺをつっつきながら、狐仙は舌なめずりする。このちょっと気の強い幼女を気に入ったようだ。

 ジニーは、そんな狐仙の気分には全く気付かず、必死に言い返す。


「うー、あたしには見ただけでサイズとかわからないですもん!」


「へー、じゃあこのあたしのサイズは誰が書いたんだろうねえ?

 あんたのボス、見かけによらず……」


 狐仙が意味ありげに含み笑いするのを見て、ジニーは慌てた。


 しまった、これじゃアラジン様が誤解されてしまう。なんとかしなきゃ。

 でも、この任務は、どうしてこんな内容なんだろう……?


「あ、アラジン様は……え、えろじゃ、ない、もん! ……と、思います、けど……」


 しどろもどろになって目を泳がせるジニー。


「へえ~、ほんとにそうかねぇ?」

「姐様だけでなく、あたしたちのサイズまで調べさせて、一体何に使うのかしらぁ?」


 狐仙と黄仙が左右からジニーのほっぺをつついて、意地悪く微笑む。

 その隙に、仙狸はメモ帳に自分の情報を見つけた。


「えっとーぉ、最後の一人仙狸ちゃんはー。

 仙狸、タヌキの妖怪。背が低くてぽっちゃり系。

 ……タヌキじゃないもん! ネコだもんっ!」


 全力でクレームを入れる仙狸に、ジニーは左右のほっぺをつつかれながら経緯を説明する。


「え、でも、名前に狸って字が入ってますし……」


「この狸って字は、山猫って意味なの!!

 ネコだもんネコだもんネコだも……にゃー!」


 地団駄を踏んで言い返す仙狸の頭に、黄仙はぽん、と手を置いた。


「はいはい、タヌ子、わかったから」


 頭に手を置かれたまま、仙狸は地団駄に両手をバダバタ振り回すのを追加した。


「タチ姐までタヌ子って言った!

 キツ姐、みんなひどいよぉ~~!」


 仙狸がバダバタと騒いでいると、給水塔のタンクから、ザバーッと水音が響いた。そして。


 フーン……フーン……フーン……。


 ウンディーネから発せられる、規則的な高音が聞こえてくる。

 狐仙は待ちかねたとばかりに声を上げた。


「よぉしウンディーネ、来たようだね。

 作戦第二段階、開始だよ!

 ウンディーネ、人間どもを恐怖の底に追い落としてやりな!」


 給水タンクから姿を現したウンディーネは、大きくその身体を伸ばした。


 フーン……フーン……フーン……。


 発する音を強めながら力を溜めると、ウンディーネは一層強い音を響かせた。


 フーーーーーーーーン……!


 非常ベルが鳴る。

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