シーン3 その頃のシスターズ
「水ってのは生命を生み出し、生命の維持に必要不可欠な物であると同時に、過剰に与える事で命を奪う事もできる。
どんな物にも穴を穿ち、何物をも溶かす力も持ってて、さらに変幻自在でどんな場所にも侵入できる。
つまり、この世界を支配しているのは水だと言ってもいいくらいなんだ」
車座になって座っている狐仙シスターズの前で、悟空が授業のように解説をしていた。
解説がひと段落したところで、すかさず狐仙が賞賛の声を上げた。
「なるほどぉ。さすが悟空様ですわぁン」
「ですわぁーん」
黄仙も負けじと甘ったるい声を出す。
「大聖様の作戦に私たちの力が加われば鬼に金棒でございますねぇ」
「ございますねぇ~!」
仙狸は二人の語尾だけ繰り返して喜んでいる。
「その呼び方はやめろ。悟空でいい」
悟空が黄仙に言うと、黄仙は大喜びでさらに甘い声を出した。
「あら。悟空様だなんて。
お名前でお呼びするなんて、一気に親密感アップですわねぇ」
「ですわねぇ~~」
繰り返してから、仙狸はハッと思いついて、悟空に顔を向けた。
「あ、そだ。ねえねえ大聖様、作戦スタートはどこ? どこ?」
ついさっき言った事も聞いていなかったのか。
「だから悟空でいいって!」
「うん、わかった、大聖様!」
悟空は呆れて肩を落とした。
「……わかってねーじゃん」
「こら、タヌ子! 悟空様にタメ口は馴れ馴れしいよ!」
黄仙が慌ててたしなめると、仙狸はぷうっと頬を膨らませた。
「あ~~~! タチ姐、タヌ子って言った!
あたし、タヌキじゃないもん、ネコだもん!」
ぷりぷり怒っている仙狸。黄仙は面白がってからかう。
「仙狸って、タヌキって書くだろ? それに、見た感じだって、ねぇ。……ふふっ」
「ネコだもんネコだもんネコだもん~~~!
あ、ネコだにゃ~~!」
地団駄踏んで悔しがる仙狸は、思い出したように猫アピールする。が。
「今更言い直しても遅いよ! おーっほっほっほ!」
「遅くないもん! ないにゃー! うーーーっふっふっふっふ!」
ヒートアップするほどに内容が無くなっていく二人。いい加減うるさい。
「ってゆうかうるさいよ、タチ、ネコ!」
「はぁ~~い」
狐仙の一喝に、大人しくなる二人。
悟空は肩をすくめて苦笑した。
「……その呼び方も問題ありそうだけどな」
悟空は気を取り直して、街の地図を開いた。
「とにかく……作戦開始の場所はここだ。
ウンディーネの力を最も有効に利用出来る場所……!」




