シーン1 @常世の国
神託の間は、閑散としていた。というより、がらんとしていた。正確に言えば、卑弥呼しかいなかった。
祭壇の前でただ一人、ぽつんと立っていた。
座ろうか立っていようか考えるくらいしか、やる事はなかった。
今現世界へ出撃しているのは、悟空の配下の者だけのはずだ。なのにどうして……。
「誰も帰って来ぬなぁ……。
悟空は作戦中としても……アラジンはどこにおるのだ……?
いつも我は一人で留守番か……。ふぅ」
小さくため息をつく。
卑弥呼は寂しかったのかも知れない。誰もいない神託の間は広すぎた。
壁に1メートル間隔でつけられている松明は静かに燃えている。
卑弥呼は傍らに置いてある椅子に目を落とした。木製の小さな丸椅子。
意を決して丸椅子に腰を下ろし、卑弥呼はぼやく。
「女だらけの水泳大会に、何故我だけ参加できぬのだ……!
もぉ……っ!」
そう言って卑弥呼は立ち上がった。やっぱり固い丸椅子は、お尻が痛かったのだ。
立ち上がった卑弥呼が右手でお尻を払った時。
ゴウン……ゴウン……ゴウン……。
地の底から響く地鳴りのような、どこかで金属が軋むような、大瀑布から轟く瀑音のような轟音が、神託の間を満たした。
その音を聞いた卑弥呼は雷に打たれたように硬直する。
そして。
卑弥呼の表情がぱっと輝いた。
「はっ……! やっぱり……この、お声は……っ!」




