シーン11 @公園
あかりと水上は、すぐ近くの公園を歩いていた。夜の公園ではあるのだが、隣にコンビニエンスストアがあるおかげで明るい。
夜風は涼しく、心地よかった。
「しかし……苦労をかけるな、お前達には」
ふと立ち止まって、水上が言った。
「はい……?」
あかりも立ち止まって、水上に向き直った。
水上は申し訳なさそうにあかりを見ていた。
「現世界の危機に、お前達ばかりを危険な目に合わせてしまって……」
「そんな……!」
あかりは思わず声を上げた。
「誰かがやらなきゃいけないことなら、それを出来る人がやるべきです!
あたし達にしか出来ないなら……、いえ、あたし達に出来るんなら……!」
水上はゆっくりうなずいた。
「そうだな。私も私に出来る事しか出来ない。
出来る限りお前達が安全に戦えるように、サポートをしていくつもりだ」
あかりの瞳に炎が宿った。これまでの水上の言葉が、あかりの心を静め、火をつけ、燃え上がらせたのである。
「長官……!
よぉし、いまあたしに出来る事、それは特訓あるのみ!
あたしが剣を振るう理由、見つけるために……
本当のMSレッドになるために!
長官、あたしの素振り、見てて下さい!」
あかりは昼間子供達が駆け回っている芝生に入り、木刀を構えた。
「わかった。
……ふっ、だいぶ富士宮らしくなってきたな。
……そろそろいいぞ、お前達」
水上が合図すると、木陰から智恵と美佳が姿を現した。
「あかり!」
「あかりちゃん!」
あかりは驚いて振り向いた。
「智恵、美佳……? どうしてここに……?」
「お前から電話がかかって来たとき、那須野も鷹城も家に来ていたんだよ。
富士宮が心配だ、ってな」
智恵は慌てておすまし顔を作った。
「まぁ、そんなに心配はしてなかったけどね、あかりの事だし!」
「そうだね! 智恵ちゃん最初すっごく心配そうだったけどね、資料沢山作ってきてたし!」
あっさりバラす美佳。だが智恵も負けてはいない。
「ば、ばか言わないでよ! 美佳なんて泣きそうだったくせにー!」
「あれ〜? そうだっけ……?」
とぼける美佳。二人とも嬉しそうに笑っていた。
あかりの心に温かいものがあふれた。炎が俄然燃えさかってくるのをあかりは心地よく自覚していた。
「ありがとう、二人とも……!
っくああああああ! 燃えて来たぁぁ~~~!!」
雄叫びを上げるあかり。
水上も、智恵も美佳も、あかりの炎が燃え移っていた。
「うん! それでこそあかりだね!」
「うんうんっ」
二人の声に背中を押されるように、あかりは木刀を最上段に構えた。
「よぉぉ~~し! 今日はこのまま素振り1000本! いや一万本!
やるぞーーーー!!」
「オーーーー!」
智恵と美佳の声が重なった。
あかりはその勢いのまま素振りをはじめ……、素振りを続けながら言った。
「……って、二人は素振りしないでしょ?」




