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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第七話 「どきっ☆女だらけの水泳大会♪・前編」

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シーン4 @智恵の部屋

 智恵は考えていた。どうすればあのウンディーネに勝つことができるのか。

 XV=DaMは効かなかった。光をほとんど通してしまう水には、探知も光の刻印も無力だったのだ。


「つーわけで、魔法ってのは言霊を使って……あ、言霊ってのはスペルの事だ。呪文だ呪文。

 空間に存在するマナに働きかけて……あ、マナってのは簡単に言えば万物を創造する力だ。魔力の源泉だ。

 それであらゆる現象を引き起こす技術が、魔法っつーわけだ」


「敵の体積をVeとすると、温度を一度上昇させるのに必要なエネルギーは……」


 智恵はルーズリーフに数式を書きながら考えていた。技が効かないとするなら、物理や化学を使う方法が有効であろうと考えたのだ。

 ホーキングの魔法講座はフルシカトしていた。慣れたものである。


「つうかおい! てめえ聞けよ! ここテストに出すぞ!」


 たまらずホーキングが怒鳴ると、智恵はホーキングに向き直って言い返した。


「うっさいわね、何よテストって!

 あの敵を蒸発させる方法を考えてるんだから、邪魔しないでよね!」


 間髪入れずにホーキングが噛みつく。


「あぁ? 蒸発だ? 敵の体組織を蒸気にして分散させてどーすんだよ!

 もしそれで死ななかったら、広範囲に敵をまき散らす事になんだろーが!」


「ぐっ……。だったら、電気分解してやればいいでしょ! 分子そのものを分解しちゃえばいいのよ!

 電極をつけて、電気が通りやすいように水酸化ナトリウムを混ぜて……」


 ホーキングの正論に一瞬怯む智恵。すぐさま代案を叩きつけた。が。


「かーーー! まどろっこしい!

 敵がおとなしく水酸化ナトリウム混ぜさせたり、電極つけさせたりするかよ!

 電気分解自体にだってどんだけ時間かかると思ってんだ!

 それに! 水素と酸素大量に発生させたら危なくて仕方ねーだろうが!」


「あーもううっさいわね! ならあんたに何か作戦あんの!? 建設的な発言しなさいよ!」


 ついに話を聞く気になったか、とホーキングは落ち着いて喋り出す。


「相手は水の精霊だからな……。

 ウンディーネって言やぁ『眠ると死に至る魔法』で人間を破滅させたりできる強力な精霊だ。

 何故敵がその力を使わせないのか、理由はわからねえがな……」


 智恵はホーキングが話し終わると、ツンとそっぽを向いた。


「そんな事聞いてないでしょ! 作戦はあるの? 作戦は!」


「あーーうっせえな! それを考えてんだろうが今!」


「だったら静かに考えなさいよ! あたしの邪魔しないでよね!」


「かーーー!

 敵の戦力も、味方の状況も把握出来てねーうちに、作戦なんて考えられるわけねーだろが!」


「味方の状況……? あ、そっか……」


 ホーキングの言葉に、智恵もふと冷静になる。


「おめーだって気付いてんだろーが。

 レッドの必殺技の事……!」


 実は智恵も気づいていた。以前からあかりの万斬刀に、違和感を感じていたのだ。


「必殺技が、必殺技じゃないって事……?

 確かに、美佳やあたしの必殺技と、あかりの技は……」


「そーゆう事だ!

 いざとなりゃ、レッド抜きでなんとかする方法を考えなきゃなんねえ。

 おめーも冷静に分析しろ! いつもいつもてめえの固定観念に囚われやがっ……」


 智恵はいい加減イラついて、上から目線で偉そうに喋るホーキングを遮って怒鳴った。


「ああああうっさいうっさい!

 あたしはレッドの技の分析とかこっちの戦力に関してまとめたりとかするから、あんたはとっととウンディーネについてと、敵の作戦について調べて来ればいいでしょ!」


「なんだと! てめえまだ……ん? あれ?」


 思いがけない言葉に、ホーキングは一瞬意味がつかめず、きょとんとする。


「聞こえなかったの!? 水の精霊の能力とか弱点とか、色々調べてこいって言ってるの!」


 魔法や精霊など頑なに否定していたはずの智恵が言ったこの言葉。それは智恵の心が歩み寄った証なのかも知れない。

 ホーキングはちょっとどぎまぎしながら目を泳がせた。


「お、おう……。

 ってか、そんな事、言われなくたってわかってらぃ!

 ……行ってくるっ!」


 言い捨てて携帯に消えるホーキング。

 智恵は彼が消えた携帯から目を逸らし、またルーズリーフに視線を落とした。


「ふん、……まったくっ!」

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