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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第七話 「どきっ☆女だらけの水泳大会♪・前編」

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アバンタイトル いきなり……?

 戦闘は山場を迎えていた。というシーンから今回の物語は始まる。

 敵は10メートルはあろうかという巨大な人型の水。

 そして空中に浮かぶ二人の女だ。

 そのうちの一人、すらりと細身の高身長に巨大なバストを誇る女が、MSガールズの三人を見下ろして高笑いした。

 その名は黄仙。イタチの妖怪で、狐仙の妹分だ。


「おーっほっほっほ!

 ほらほら、小娘ども! 大人しく観念するんだねェ!

 ウンディーネ! とっととやっちまいな!」


「そうそう、やっちゃいなー!」


 黄仙の言葉を舌っ足らずに繰り返したのは、仙狸。低身長幼児体型の彼女は、その名に反して山猫の妖怪だ。狐仙、黄仙の妹分である。


 人型の身体をゆっくり動かしながら、水の精霊ウンディーネは喋らない。フーン……フーン……と規則的に高音が響いてくるだけだ。


 フーーーーーーー……ン……!


 突然強く、長くなる高音のノイズ。同時にウンディーネから高圧の水流が撃ちだされ、レッドたち三人にヒットした。

 押し流されるように地面に叩きつけられ、咳き込みながら身体を起こす三人。


「くぅ……っ! いきなりピンチ……?」


 ずぶぬれで泥だらけになったスーツ。レッドはワクワクしてウンディーネを見上げた。


「こんなパターンの始まりは、初めてね……」


 ブルーはキングガンのセレクターを指先でいじりながら考えた。火と風の属性を組み合わせれば、スーツを乾かせるかも知れない。だがまたすぐに濡らされてしまうなら、意味は薄いだろう。


「そうだね……。また新キャラ登場だし。

 絵を描く人、大変……」

「お嬢様、それをおっしゃっては……!」


 あわててウォルフがイエローを止めた。


「新しい強敵が増えるのは燃えポイントだよ!

 くぁぁぁ~~~!! 燃えてきたぁ~~~~!!」

「その意気だ! あかり!」


 レッドはジラードを構え気合を込める。

 が、ブルーは少し拍子抜けしていた。


「それにしては……そんなに敵強くなくない?」


 確かに敵からの攻撃は、水をかけられる程度だ。これまでの敵に比べると、違和感を禁じ得ない。

 ホーキングもその違和感には同感だった。


「敵の幹部らしき奴が二人もついてる割にゃあな。

 がしかし、ウンディーネか……。

 今のうちにぶっちめとかねーと、後がやばいかもな、俺様の計算によれば?」

「あたしのマネしないでよ、バカホーキ!」


 その時ウンディーネの発する音が高まって、水流が三人を襲った。

 レッドはまたずぶ濡れにされて、苛立ちを爆発させた。


「ぷは……っ!!

 もう、うっとうしいわね!

 弧次郎さん! 決めるわよ!!」

「応っ!!」


 レッドはウンディーネに向けて助走し、高く飛び上がった。


「とう!!

 ひっ……さつ! 奥義! 万斬刀!!」


 剣が水を叩く。ぱしゃあん、と音を立てて飛沫が飛んだ。

 が。


「……えっ!?」


 飛んだはずの飛沫、そして斬られたはずの本体は、また一つに集まり人型を形作った。


「おーーーーっほほほほ! 無駄よ無駄無駄!

 ウンディーネは水! 剣で斬れるわけなーいじゃなーい?」


「そうそう、なーいじゃなーい?

 うーっふっふっふっふ……!」


 勝ち誇る黄仙と仙狸。だがブルーはまだ諦めてはいない。


「あかり! 弱点を突けば倒せるはず!

 いくわよホーキ!」

「おうよ!」


 ブルーはキングガンを構え、ウンディーネの中心を狙い撃った。


「XV=DaM!! シューーーート!」


 照射された光は水のゆらめきに歪められ、刻印のありかはよくわからない。

 だがその光によって、ウンディーネの影が、うっすらと地面に映る。

 ウンディーネはその光に気付いたようだが、何も喋らず何もしない。

 規則的な高音ノイズが、少し揺らいだだけだ。


「美佳!」


「うん! 智恵ちゃんの光で影が見える!

 ウォルフさん!」

「かしこまりました!」


 ウォルツールを振るって、薄くおぼろなウンディーネの影を塗りつぶすと、イエローはくるりとウォルツールをひっくり返した。


「え~い! イエローシャドウバインド!」


 弦をかき鳴らし、ウンディーネの動きを封じる。が、やはりノイズが揺らぐだけで、ウンディーネの動きは止まらない。

 影が薄すぎて、本体との繋がりが弱いのだろう。

 だが、わずかだが動きは鈍っている。刻印は明確には見えないが、それなら広範囲を一気に斬り裂くのみだ。

 レッドはジラードを握り直し、再び空高く跳んだ。


「とぉう!!

 ひっ……さつ……っ!! 奥義ッ! 万斬刀~~~っ!!」


 だが、一撃目と同様、分散と集合を経て、ウンディーネは元の身体に戻る。ブルーの刻印も、イエローの影支配も完全に消えていた。


「え……っ!?」

「ぱしゃーんって、イエローシャドウバインドからも抜け出した……?」


 ブルーとイエローの声には信じられないという感情がにじむ。

 黄仙と仙狸は顔を見合わせて爆笑した。


「おーーーっほっほっほっ!

 だから言ってるじゃなーい? 無駄無駄無駄だって~!」


「うんうん! 無駄無駄無駄だって~!

 うーっふっふふっふっふふ……」


 ちょっと失敗しながら不器用に高笑いする仙狸。

 あかりはジラードを見つめながら、自分に問いかけていた。


「なんで……? 奥義・万斬刀は全てのものを切り裂く必殺技……。

 マスクドガイ雷牙では、滝だって、海だって切り裂いていたのに……!」


「あかりちゃん……」


 珍しく弱気なつぶやきを漏らすレッドが、イエローは気にかかっていた。

 と、その時。


「ぴぴぴ、ぴぴぴ、ぴぴぴ~」


 仙狸が突然身体を左右に揺らしながら奇声を上げた。


「タチ姐、キツ姐から帰還命令~」


 仙狸が報告すると、黄仙は少し残念そうな顔をした。


「あらそうなの?」

     

「うん、ちゃーんとお片付けしてこいってー!」


 仙狸は右手をピンと上げて狐仙の命令を伝える。

 仙狸の耳には狐仙から預かった耳飾りがぶら下がっていた。この耳飾りを通じて、狐仙は仙狸の様子を見て、指示を出すことが出来る。

 黄仙はうん、とうなずいて、MSガールズ達を見下ろした。


「まぁ、小手調べは充分済んだし、小娘ちゃん達の力もわかったし?

 今日のところはこの辺で勘弁してやろうじゃな~い?」

「うんうん、やろうじゃな~い?」


 黄仙は懐から水筒を取り出すと、にっ、と笑った。


「と言うわけで~? ウンディーネ、もどっといでー!」

「そうそう、もどっといで~!」


 黄仙が水筒の蓋を開けると、ウンディーネから水の一部が千切れ飛んで、黄仙の水筒に飛び込んだ。

 同時に残った大量の水が結合力を失って、ざばーっと地面に流れ落ちた。

 その水が三人に降りかかり、押し流すのを見て、黄仙は満足気に水筒の蓋を閉めた。


「ごほっ……あ、待ちなさい!!」


 黄仙達が飛び去ろうとするところに、ブルーは咳き込みながら制止する声が響く。

 だがもちろんそんな事で二人が止まるわけもなく。


「待てと言われて~、待つバカは~いない~~」

「いない~~」


 二人は歌うように、いや明らかに歌いながら高度を上げ、レッド達三人に振り向いた。


「おーっほっほほほほ! じゃあね~小娘達~!」

「うんうん、じゃあね~小娘達~! うーっふっふふふっふ……」


 先行して飛び去る黄仙を、仙狸は慌てて追いかける。


「タ~チ~姐~! やっぱり『うふふ』で高笑いは難しいよう~」


 撤退する二人の背中を見送りながら、ブルーは呆気に取られていた。


「……なんなの……? あれ……」


 その横で、レッドは……。


「うそ……。万斬刀で斬れないなんて……うそ……!」




 妄想、夢、虚構……人類の想像の世界は、実は全てつながっている。

 妄想界……その世界の闇の力が増大し、現実へと侵攻を開始したとき、

 三人の戦士が、その妄想の力を駆使して立ち向かう!


あかり「夢幻戦隊!」


三人 「MSガールズ!」



OPテーマ「夢幻戦隊MSガールズ」


(あかり)もしも夢が消えたなら

(智恵) 人の心の灯が消える

(美佳) 光を奪い闇に落とす

(三人) 悪のディスペアー許せない


(あかり)

夢に舞え!希望に走れ!

心にあふれる無限のパワー

夢想の力を体に宿し

今こそ戦え!「念写!!MSシンクロナイズっ!!」


切り裂けジラード!「……はぁぁぁっ!」

必殺キーック!「もっと踏み込め!」

一秒三万発の光速パンチ!「それは……無理だ」


(三人)

そうさ無限!夢幻!不滅の心

無限 夢幻 無限 夢幻戦隊MSガールズ!

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