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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第六話 「必殺……??」

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シーン5 あの後、何が起きたのか。

 鵺の鳴き声は、さらに強く街中に響き渡っていた。

 既に時刻は0時を回り、深夜の時間帯に入っていた。

 あかり達MSガールズは、水上を含めて未だ意識不明。絶体絶命のピンチである。


「鵺、もうエネルギーはたまったでしょ?

 早くあいつらにとどめさしなさい!」


 ジニーは死刑執行の命令を下した。


「ぎゃあああああ~~~す!」


 鵺が雷を放射しようと、その口を開けた時。


「そーさせるわけにはいかねーなあ……!」


 突然響く声。

 ジニーはきょろきょろと、声の主の姿を探した。


「誰っ!?」


 屋上に飛び込んできたのは黄金色のホウキ――ホーキングだ。

 ジンが身を乗り出して拳を振り上げた。


「おおっ! 魔法のホウキなのだよ!

 魔法の絨毯と並び称される程の……」

「ホウキの方が明らかにメジャーだろ」


 ホーキングがバッサリ斬り捨てると、ジンはおでこに手を当てて悔しそうに嘆いた。


「くあーーー! その食い気味のツッコミ!

 ジニー、父は悔しいのだよ、我が愛娘以外にこんなツッコミ技術が……ぐはっ……」


 無言でジンの頭を殴るジニー。


「……わ……我が愛娘もさすが……がくっ」


 ストップモーションで倒れるジンを、ジニーは冷たい目で見下ろした。


「おとたまうるさい。

 ふん、魔法のホウキみたいですけど、防げるんですか?

 飛ぶのがやっとみたいだし、魔法使ってなんかできるようには、とても見えないんですケド」


 ジニーがそういう間に、ホーキングはあかり達をかばうように、鵺の前に飛び出して……そのまま床に転がった。


 普段は穂にある顔を柄の先端に移動させ、ホーキングはジニーを見上げた。


「うっせぇな……。こっちにも色々と事情があんだよ……!」


 ジン、ジニー、鵺。ホーキングは少し身体を起こすと、それぞれを確認するように、順番に視線を向けた。


「こーゆう手しか使えねーのは納得いかねーが……っ!!」


 ホーキングは渾身の力で飛んだ。高速の低空飛行で、ブルーが発射した鉄の弾丸を口で拾った。

 すぐに急旋回して、立ち上がりかけていたジンの首にアース線を巻き付ける。


「うぐ!? んんんむむむむ~~~~???」


 アース線が首にめり込み、ジンは充血した目を白黒させた。顔が鬱血して青黒く膨れ上がってくる。


「さっきの、弾丸のアース!?」


「こんな針金みてーなアース線でもな、こーゆー使い方も、ある。

 くびり殺すのは無理でも、窒息くらいはすんだろ。

 さぁ、このおっさんの命が惜しかったら……チビガキどもに手出しせずに帰れ……!」


 ギリギリと首を締め付けられるジンはもう声も出ない。口がだらんと開き、舌が力なく垂れ下がった。

 ジニーは少し震えながら、青ざめた顔でホーキングを睨んだ。


「ひ、卑怯者……!!

 ……なーんて、言うと思いますかぁ?」


 突然ジニーは満面の笑みで言い放った。


「ふふーん、コードネーム・ジン、最大奥義!

『く、くるしい~~~! ……フリ!』なのだよ!」


「な、なにっ!」


 どす黒く膨れ上がった顔のまま、ジンはウインクしながらサムズアップしてみせる。

 ホーキングの攻撃は全くダメージを与えられていなかった。

 ジニーがジンを助けようとしていなかったのも、全てわかっていたからだ。


「ぎゃああああ~~~~す!

 策に溺れて油断したなぁ!? 気ぃ失っとる仲間達がガラあきやで!」


 無力感で動けなくなっているホーキング。鵺は歓喜の雄叫びを上げてあかり達に顔を向けた。

 もちろん彼女達は気を失ったまま倒れている。絶体絶命の危機だ。

 鵺の口が大きく開いた。


「雷撃咆吼!! ぎゃあああああ~~~~す!」


 稲妻の塊が鵺の口に生じた、その時。


「いまだっ!」


 ホーキングが残った力を振り絞って飛翔した。

 首にかかったアース線に首を引っ張られ、ジンがバランスを崩す。


「むぉ? お、おとととと……っ!?」


 二、三歩よろめいたジンの目の前で、鵺が全力の雷撃を放射した。一撃で四人を抹殺しようという殺意がこもった、最大出力の雷撃だ。

 その射線上に、ホーキングが飛び込んだ。


「ぐうぅぅぅ……っ!」


 雷撃をまともに浴びて苦悶するホーキングから、アース線を伝って電流がジンに流れ込んだ。


「あ、ぬはぁぁああぁぁあああああ~~~っ!!」

「お、おとたまっ!!」

「な、なんやて!」


 鵺が慌てて電撃を止めた時、ジンは身体中を黒焦げにして倒れた。身体の至る所から煙が立ち上っていた。


「ジ……ジニー……今度は……父がウェル……ダ……がくっ」


 最後の言葉は、彼の最大限のユーモアだったのかも知れない。

 ジンは目を閉じて、動かなくなった。

 もう、動かなかった。


「お、おとたまーーーーーーーっ!!」


 ジンの身体を揺り動かすジニー。だがジンの目は開かない。


「これでも……俺様、金属だからな……。

 避雷針代わりにはなるって……わけだ……」


 甚大なダメージを負ってなお、ホーキングは強気を崩さなかった。

 気合で負けてはダメだ。気合で負けてしまえばあっという間に制圧されてしまうだろう。

 今は『まだ何か仕組んでいる』と思わせておかなければならなかった。


「おとたま連れてアラジン様の所に戻ります!

 現世界の者に知覚できないように結界を張っておくから、鵺はその中でエネルギー溜めてなさい!」


 そう言うと、ジニーはジンを担ぎ上げ、ミニ魔法の絨毯に飛び乗った。

 ジニーが飛び去った後には、鵺と傷ついたホーキング、そして意識不明のあかり達が残された。


「はん、うっとうしいホウキやなぁ」


 忌々しげに呟きながら、鵺は結界に踏み込み、立ち止まってホーキングを振り返った。


「ジン様にアースつなげて……攻撃も兼ねて……。

 最初からそれが狙いやったんやな……!?」


 それだけ言って、鵺は結界の中に消えた。続いて、鵺の鳴き声が街中に響き始めた。


「こういうの、現世界こっちじゃ『一石二鳥』とか言うらしいぜ、覚えときな……」


 鵺の消えた空間に向けて、ホーキングは最後にそう呟いた。


 ……というのが、ジニーと鵺が代わる代わる話した、昨夜の真相であった。

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