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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第五話 「確執、そして恐るべき凶魔獣」

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シーン5 @どこか。

 アラジン達は次の段階の準備を進めていた。ジニーが集めて来た動物が一か所に集められ、何か異様な力を浴びせられている。

 その作業を眺めていたアラジンのそばに、筋斗雲に乗って悟空が飛来した。


「へー、なーるほど、そーゆうやり方があったんかぁ。さすがおっさんだな」


「む……、小僧か。何の用だ?」


「ん? あぁ、陣中見舞いってやつ。……手土産とかはねーけどな」


 アラジンに並んで面白そうに作業を見つめる悟空。それに気づいたジニーは、聞えよがしに吐き捨てた。


「ふん、何よサルのくせに」


 ほぼ同時に、娘の暴言をかき消すように、ジンの大声が響いた。


「おああああぁぁぁぁこぉれはこれは悟空様!

 わざわざこんな所へ満を持してお越しとは、恐悦至極の雨あられ、綿飴水飴ひなあられでございますです、大体のところ」


「ははー、うっとーしいとこは相変わらずだな、妖精さん。俺、別に満は持してねーし」


 ジニーを無視して、悟空はジンにツッコんだ。悟空としては、ジンは面白いおっさんなのだろう。部下にしたいとは全く思わないが、からかう対象にはもってこいだった。


「あいたたたぁ。こいつは一本取られましたな~。

 当たりが出たらもう一本! 二本先取で勝利確定でございますよ、強いて言うならば」


「意味わかんねんだけど。

 それにしてもやっぱ(ぬえ)かぁ。そうだよなぁ。

 負のエネルギー集めにも最適だし、戦い向きだし、こっちに持って来れた時点でおっさんの勝ちだな」


 悟空は腕を組んでうんうんと頷きながら言った。


「こちらで依り代を用意して、4つに分けて持ってくる……。

 凶魔獣の力は圧倒的だ。小娘どもなど蹴散らしてくれる」


「おう、俺も楽しみにしてるわ」


 大人たちと対等に話している悟空に、ジニーの敵意が膨れ上がる。


「ふん、なによ偉そうに。

 おとたまを『妖精さん』とか呼ばないでよ気持ち悪い」


 悟空はニヤニヤ笑いながらジニーに視線を向けた。


「あれ? お前ら親子はランプの精だろ? 妖精じゃねえか。

 それにお前の父ちゃんを『おっさん』って呼んだら、お前らの上司と同じになってややこしいだろが」


 すかさずジンが悟空の尻馬に乗る。


「そうだよジニー。それに悟空様は偉そうなんじゃなくて偉いのだよジニー。

 我々の上司のアラジン様の同僚だからねえ。

 アラジン様が戦略営業部の部長さんだとすれば悟空様は経営企画部の部長さんみたいなもので、営業第三課24係係長レベルの父より全然偉いのだよジニー」


 だが、長々と喋るジンによって、ジニーの苛立ちの火は消されるどころか、さらに油が注がれた。


「おとたまは黙ってて下さい!

 このサルはおとたまの直接の上司じゃないし、あたしは社員じゃないですもん。

 関係ないもん!」


 ジニーが怒れば怒るほど、悟空は面白そうに笑う。


「んまぁ、別に俺偉くねーし、どーでもいいよ、妖精さん。

 それよか自分の娘のちび魔人くらい抑えとけよな」


 『ちび魔人』。その言葉がジニーの頭の中で反響していた。聞き捨てならなかった。ジニーは自分の尊厳を踏み躙られた怒りを込めて悟空を睨みつけた。


「おとたまが『妖精』であたしが『魔人』……?」


 悟空はさらに面白くなって、からかうように言い返した。


「おう。お前ら『ランプの魔人』とも言うだろ?

 どっちも妖精じゃややこしいだろが」


「じゃ、じゃあせめて逆にしなさいよっ!!」


「へー、お前『妖精』って呼ばれたいんだ?

 ガラじゃねーだろ」


「う、うっさいわね、サル!!」

「サルっていうな、魔人!」

「サル!」

「魔人!」

「サル!」

「魔人!」

「サル!」

「んあぁもうめんどくせ。

 おっさん、俺帰っからさ、がんばれなー!」


 悟空は上機嫌で筋斗雲に飛び乗った。


「あ……あぁ」


 あっけに取られたままのアラジンに手を振ると、悟空は飛び去った。


「こらぁ、サル! 逃げるな!!」


 悟空が去った方向に向けて叫ぶジニー。アラジンはため息をついた。


「ジニー、それくらいにしておいてやれ。我々は作戦中だぞ」


「そうなのだよジニー。

 父はあとで悟空様に、現世界土産のおいしい菓子折でも持って行かなきゃいけないのだよジニー。

 父は現世界のお金は持っていないのだよジニー……」


 アラジンの命令に、ジニーは冷静さを取り戻した。ジンの嘆きを完全に黙殺して、アラジンに頭を下げる。


「申し訳ありませんでした、アラジン様。

 えっとぉ、現在(ぬえ)のパワーレベルは87%に達しています。

 完全体になるまであと2日……というところですっ!」


 ジニーの報告は、アラジンを満足させるものだった。


「なるほど……。妄想界にエネルギーを送らず鵺に集中させた甲斐があったというものだ。

 これほど膨大なエネルギーを必要とする鵺……。MSガールズなど物の数ではないな……」


「ハイハァ~イ♪

 お褒めにあずかりましてぇ、光栄至極、恐悦至極、ビールごっくごく~にございまくり……ぐはっ!」


 ジニーのゲンコツがヒットする。


「おとたまはなんにもしてないでしょっ!」


 またも始まりそうな親娘喧嘩……むしろ娘による父へのお仕置きが始まりそうな空気に、アラジンは咳ばらいをした。


「と、とにかく! 早急に鵺を完全体とし、現世界を負のエネルギーで満たすのだ!

 そしてMSガールズとやらを亡き者にせよ!」


 アラジンの命が下る。ジンは直立不動で敬礼した。


「ハイハァ~イ♪

 かしこまりまく……ぐはっ」


「かしこまりました! アラジンさま!!」

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