シーン4 @数日後の教室
それから数日、街では毎晩のように不気味な黒煙が発生するとともに不気味な鳴き声が響き渡り、人々を恐怖に陥れていた。
耳を塞いでも、直接脳に響いてくるようなその声。
心や体の健康を害する者も続出し、深刻な社会不安にまで高まろうとしていた。
終業のチャイムが鳴った。
「はいじゃあ、日直ー!」
水上はいつものように帰りの学活を締めた。が、心なしかいつもより声の響きが弱い。
「きりーつ。気をつけー。礼ー」
日直の女生徒の声も元気なく沈んでいた。
「あー、朝の学活でも話したが、ここの所発生している夜の怪しい声のせいで、睡眠障害になっている者が多い。そのおかげで生徒の三分の二が体調不良で休んでいる状況だ。休まれている先生方も多い。
よって、校長先生の判断で明日からしばらく休校にする事になった。
連絡網回しといてくれー!」
はーい、と力なく返事をして、生徒たちはのろのろと教室を出ていく。その数は十人に満たなかった。水上のクラスも、大半の生徒が休んでいる。その中には鷹城智恵も含まれていた。
美佳は帰っていくクラスメートたちを見送って、心配そうに言った。
「やっぱりみんな元気ないね……」
「そうだね……。変わらないのはあたしたちと……春川くらいね」
あかりの言う通り、春川はいつもと変わらない様子だった。だがそれは、最初から無気力だから変化が見えないだけなのかもしれない。
「あんな声、毎晩聞いても眠れる……。さすが。ウケる……ククク……」
「あんただって同じでしょ!!」
あかりが言い返しても、春川はどこ吹く風。暖簾に腕押しとはこのことだ。
「ん? 俺はそんなに脳天気じゃないし……クククっ」
「うるさいわね! とっとと帰って鏡と見つめ合ってたら? あたしたちはこれから部活で忙しいんだから!」
「そうだね……。水上先生も辛そうだし、早くミーティング終わらせよ? 智恵ちゃんの事も心配だし……」
心配そうな美佳。あかりも春川どころじゃないと思いなおした。
「うん、そだね。じゃ長官、先に部室行ってます!!」
あかりと美佳は元気に教室を出ていった。
「ちょ、長官?
あ……ああー、春川も早く帰れよ?」
あたふたしながら春川に声をかけ、水上は廊下に顔を出してあかりの背中に叫んだ。
「それから富士宮、あそこは部室じゃなくて生徒指導室だぞ……!!」




