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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第四話 「幸せの黄色い……」

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シーン7 その頃の悟空と狐仙

 街を見下ろす上空で、狐仙は上機嫌だった。作戦は順調そのものだ。

 ひょうたんの中に閉じ込めた人間の数は、確認するたびに増えていく。


「狐仙、調子はどうだ?」


 鼻歌を歌いながらひょうたんを撫でている狐仙の横に、筋斗雲が飛来した。

 様々なパンを積載した筋斗雲の真ん中で、カレーパンを頬張りながら声をかけて来た悟空に、狐仙はとろけそうな表情で、甘ったるい声を出した。


「あらぁン、悟空様ン。現在までに集めた人数は九万飛んで274人。もう少しで10万を突破しますわぁン」


「それはいいんだけどよ、MSガールズの三人目は?」


 今度は焼きそばパンに手を伸ばしながら、悟空は狐仙の持つひょうたんに目を向ける。

 狐仙は少し残念そうな顔でひょうたんの紐をつまみ上げた。


「うぅん、まだですわねぇ……。

 やっぱり三人目を捕らえてから……ですの? 中の人間たち、溶かしてしまうのは……?」


「さーぁ、どうすっかな?」


 悟空はニヤリと笑って、焼きそばパンを飲み下した。

 MSガールズも、残るはあと一人だ。狐仙はすぐにでも、捕らえた人間ごとMSガールズの二人を溶かしてしまいたいようだが、今回の目的はそこではない。

 悟空はジャムパンを食いちぎって、狐仙に発破をかけた。


「とにかく、お前はもっともっと人間つめこんどけよ」


 もちろん狐仙は捕らえる数についても抜かりはなかったし、自負もあった。今この瞬間も、人数は着々と増えているのだ。


「かしこまりましたわぁン、悟空様ン。

 10万突破は時間の問題……。

 9万飛んで433人、9万飛んで451人、9万飛んで478人、

 9万飛んで478人、9万飛んで478人……」


「ん……? なんか、増えてなくね?」


 タルタルエビフライパンを二口で平らげたところで、悟空は違和感に気づいた。

 無論カウントしている狐仙も気づかないわけがない。


「あら……そうですわね。フタは開けてありますのに……。

 どうして急に……?」


 もしひょうたんに不具合が起きているのだとしたら、そんな事を現世界の人間に起こせるはずがない。

 だとするなら。


「MSガールズ……のせいか……っ!」


 手にしたクリームパンがぐしゃりと潰れ、悟空の拳がクリームにまみれた。

 思わず力が入って握りつぶしてしまったクリームパンを口に押し込み、べっとりとクリームが付いた手をぺろぺろと舐める。


「あらあら、悟空様ン、お手々が大変ですわン」


 狐仙が慌てて手絹を取り出して、甲斐甲斐しく悟空の手を拭う。丁寧に指を一本一本拭いながら、狐仙は甘い声で、悟空の耳にささやいた。


「中にいる小娘二人に……何かした様子はございませんわ。何か仕組んだとすれば……」


 悟空は狐仙から身体を離すと、今度はコロッケパンに手を伸ばした。


「残った一人で……何が出来るってんだ……?

 狐仙、様子見に行くぞ!」


 狐仙は少し拗ねたような顔で悟空を見ていたが、悟空が構わず飛び去ると、犬ならば全力で尻尾を振っている時のように、とろけた表情になった。


「はぁい、かしこまりましたわぁン、悟空様ぁン」

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