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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第三話 「消えた!消えた!バレた!?」

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シーン8 @朝の教室

 後京ドームで発生した集団行方不明事件。ニュースや新聞はその話題一色に塗りつぶされていた。

 人々はその大事件に心を痛め、寄ると触るとその話ばかり。

 地元でそれだけ大きな事件が起きたのだ。実際に家族や知り合いが巻き込まれたという者も少なくない。

 街全体が、重苦しい空気に包まれていた。


 だが、それでも日は昇る。学校はいつも通り始業する。

 学校という、ある意味世間と切り離された空間では、外部社会に比べて幾分危機感のない、のんびりした空気が流れているのが救いだった。巻き込まれた生徒がいてもなお、どこか楽観的な、現実感のない雰囲気が醸成されていた。


「はい出席をとりまーす、相原~」


 教室に、男性教師の声が響いた。朝学活の時間だ。


「ぁ~い!」


 相原と呼ばれた生徒が気の抜けた返事とともに手を上げる。次の瞬間、彼の身体はひゅっ、と空を切る音を残して消え去った。


「なんだ相原~、朝っぱらからやる気ない声出して」


 教師が呆れ声で注意する間に、生徒たちがざわめきだした。


「せ、先生、相原君が……」


 女子生徒の混乱しきった声。


「ん? 相原がどうした?」

「相原君が……消えました!」

「な、なんだって?」


 教師が出席簿から目を上げた。女子生徒の言った通り、さっき返事をしたはずの相原がいない。


「お、おい、相原はどうした! ……学級委員!」


 状況を説明させようと、学級委員に声をかける。


「は、はい!」

「はい!」


 学級委員の男子と女子が返事をして……そのまま消えた。相原が消えた時と同じ音を二つ残して。


「な、え? ど、どうなってるんだ?」


 教室内は教師も生徒もパニックに包まれていった。


 校内は既に混乱の極みだった。各教室内で同様の事件が起き、パニックの中でさらに何人もの生徒や教師が消えていった。

 いや、学校だけではない。この街のあらゆる場所で、この消滅事件は起き続けていた。


 この様子を上空で観察する者が、二人。


「むふふふふふ……!!

 良い調子だな、狐仙! 結構な数、集まってるみたいじゃん?」


 サンドウィッチを頬張った悟空が上機嫌に言った。本当は、あははは、と笑いたかったのだろうが、口に入ったサンドウィッチのせいで口を開いたまま笑えない。だがそんな些細な事は気にならないほど、悟空は上機嫌だった。

 計画は想定以上のペースで進んでいるのだ。


「あらあン、悟空様ン。さすが、お耳が早うございますわねェ」


 甘い声で悟空にしなだれかかろうとする狐仙。悟空はその額を手のひらで押さえた。


「ちょっと待った。ひょうたんの蓋、閉めてんだろうな?」


 そう言って、口の中のサンドウィッチを飲み下す。狐仙は、はっと気づいた顔で、悟空から身を離した。


「あら、まだでしたわ。閉めておきませんとね」


 いそいそとひょうたんに栓をして、悟空に見せる狐仙。悟空はうなずいて、次のサンドウィッチを口に押し込んだ。やはり米や肉に比べて、パンは物足りないのだろう。


「ったく、あぶねえなぁ。

 ……で? そのひょうたんの中には今どれくらい入ってんだ?」

「そろそろ8万人……ほどですわね」


 その数字に悟空が満足しているのは、その表情が雄弁に語っていた。

 狐仙は『このくらい当然ですわ』といった顔で悟空を見返す。


「へー、すげえじゃん!

 そん中に8万人かぁ……! そーとーな負の感情が集まりそうだな!

 ……で? あのMSガールズってのはもうかかったのか?」

「それはまだ……。でも、もうじきですわ。小ひょうたんの方は既に……。うふふふっ」


 自信たっぷりで笑う狐仙。既にMSガールズを捕らえる算段は付いているのだろう。

 悟空は残り少なくなったサンドウィッチを手に取ると、口に押し込んでうなずいた。


「よし、じゃあ任せるぞ。食うもん確保したらまた来る」


 急いで飛び去る悟空の背中を、狐仙は自信たっぷりの笑顔で見送った。


「お任せ下さい、悟空様……。うふふふふふふっ」

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