シーン5 @その上空
後京ドーム上空。
人間のアイドルとかいう者が大量の人間を集めている場所だ。
孫悟空とその腹心・狐仙は、上空からその場所を見下ろしていた。
「準備は整ったか?」
悟空は握り飯を頬張りながら狐仙に声をかけた。
「はい、悟空様ン。
お弁当にこしらえましたそのおにぎり、いかがですか?
明太子、塩鮭、いくら……。まだまだ色々ございますからね?」
甘ったるい声で答える狐仙。悟空の乗る筋斗雲には、狐仙の作った大量の握り飯が積み込まれている。
悟空はむしゃむしゃと握り飯を食べながら、狐仙に視線を落とした。
「ツナマヨが良かったけどな」
少し不満げな悟空を敢えて気にせず、狐仙は余裕の表情で報告する。
「あらあら申し訳ございません……。
でも、小ひょうたんの方はすでに人間どもにばらまいてございます。
あ・と・は、このひょうたんのふたを開けるだけ……」
狐仙は悟空から授かった赤いひょうたんを愛おしそうに撫でた。
「小ひょうたんがどれだけの人間を集めるか……楽しみだな!
じゃ、後は任せるぞ!」
悟空は新しい握り飯にかぶりつきながら言った。
「かしこまりました。悟空様はゆっくりとお食事をお続け下さいまし」
「おう。頼むな。
あぁそうだ、一通り使ったら、ふたは閉めておけよ。開けっ放しは危険だからな。
じゃなー!」
握り飯を両手に持ったまま、悟空は筋斗雲とともに飛び去って行った。
狐仙は悟空を見送ると、改めてひょうたんを見つめた。
「……では。このひょうたんの力、とっくりと見せてもらおうかねぇ……」
目をぎらつかせた笑みを浮かべながら、狐仙はひょうたんの栓を抜いた。




