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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第11話 「新生」

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シーン3 イエローVS……

 美しい光が消え去った時、MSイエローが変身を完了していた。

 今までのんびりしていたイエローの夢も、ついに戦闘開始である。


「ちー、変身しやがったかー!」


 そう言ってはみたが、悟空は言葉ほど危機感を持っていない。


「大聖様、どうしようー!」


 慌てて手足をバタバタさせる仙狸の頭を、悟空は背伸びしてぐいっと抑えた。


「あせんな仙狸。つーか、呼び方!」


「あ、ごめんなさい」


 素直にペコリと頭を下げる仙狸。


「黄色いのは一番戦闘向きじゃねえ。それに俺もいるんだ。負けるわけねーだろ」


「あ、そっか、やったー!」


 仙狸はバンザイしてぴょんぴょん飛び跳ねた。

 確かに、刀を持ち肉弾戦が得意なレッド、銃を武器に頭脳戦を得意とするブルーに比して、イエローが携えるのは筆と弦。どう戦うのか見当もつかない。

 それはイエロー側でも同じく見当はついていない。

 だからこそ、気持ちで負けるわけにはいかないのだ、とウォルフは気合いを込めてイエローに声をかけた。


「お嬢様……。私たちだけでなんとか……戦いましょう!」


「……うんっ!

 うぉりゅつりゅ……」


 ウォルフの気合いも虚しく盛大に噛むイエロー。だがそれも気合い故だろうと、ウォルフは思っていた。


「かしこまりました、お嬢様」


 スマホが変形して現れた、ギターと筆を合わせたような武器、ビュー・ブラッシュストリング――ウォルツール。

 イエローはウォルツールを使ったある作戦を思いついていた。


「ねえウォルフさん、こんな作戦はどうかな?」


 イエローはそう言うと、ウォルツールを振るって絵を描き始める。


 「……えーい!」


 次々と生み出される絵は、MSイエローそのものだ。


「これは……! なるほど!」


 その意図を理解して、ウォルフは驚きながら敬服していた。

 イエローはウォルツールをくるりと返し、元気な声を上げる。


「いくよっ! イエロー分身ー!」


「何!? 分身……!?」


 警戒の目を向ける悟空。イエローが弦をかき鳴らすと、十数体のイエローが動き出した。


「分身により戦力を増やし、そして本物がどれかわからなくする事で防御を固める……。

 見事な作戦です、お嬢様」


 ウォルフは恭しくイエローに賛辞を送る。


「しかし……」


 ウォルフの声が憂いを帯びた。


「ちょーっと小さすぎたんじゃね?黄色の姉ちゃん!

 これじゃ本体バレバレだぜ?」


 悟空の言う通り、分身のイエローは20センチ程度のミニチュアサイズだ。


「う……だって……」

「お、お嬢様……」


 落ち込む二人。だが。


「わー! かわいー!! いいないいないいなぁぁ!!」


 仙狸が羨ましがって、一つ欲しそうな顔で分身達を見ていた。


「てゆうかー。分身だったら俺の方が年期入ってるし! ふんっ!」


 悟空は自分の髪の毛をひとつまみ引っこ抜いた。


「そんでもって……ふっ!」


 悟空が毛を吹き飛ばすと、その一本一本が小さな悟空に変身する。

 美佳と仙狸は大喜びだ。


「あっ! 小さい悟空くんがいっぱい!」

「ちび猿ちび猿ーーー!」


「なかなかまともな戦いにはなりませんね。予想はしていましたが……」


 ウォルフが困り果てた顔でため息をつく。悟空はニヤリと笑ってイエローを見つめた。


「ふん、心配しなくても、戦闘にしてやるよ!

 いけっ! 分身ども!」


 悟空の小さな分身は、それぞれ小さな如意棒を振り回しながらイエローの分身たちに襲い掛かった。

 仙狸はもう狂喜乱舞だ。


「いけいけー! ちび猿ーー!」

「……一応、分身も俺なんだけどな……」


 戦闘的な悟空の分身とイエローの分身の戦闘は、すぐに形勢が明らかになった。


「お嬢様っ! 分身達が劣勢です!」


 イエロー側の、圧倒的劣勢である。それはそうだろう。

 イエローはその現実に、なんとか対応策を考えるしかなかった。


「そっか……。私は戦闘に向いてないから……。

 よぉし、分身を赤く塗っちゃおう!

 ……えーい!」


 イエローが赤の塗料を分身達にぶちまける。


「なるほど! 分身達が赤くなれば……戦闘力の高いレッドに……!

 ……え?」


 ウォルフは目を見張った。


「オレンジ色だー! なんか美味しそうー!」


 仙狸の言う通り、分身達はオレンジ色になっていた。


「あ……色、混ざっちゃった……」

「お、お嬢様……」


 だが悟空は冷静に状況を分析していた。このあたりが戦闘力の差を決定的なものにしているのだが、イエロー達はわかっているのだろうか。


「油断するな分身ども! レッドとイエローの力を併せ持つ分身かも知れねえ!」


 生み出した本人ですら考えもしなかった可能性に、悟空は警戒していた。

 だが、生み出した本人が思いつきもしない能力が、分身達に付与されているはずもなく……。


「お嬢様……分身達が、どうして良いかわからぬようです……」


 右往左往しているオレンジ色の小さなイエロー達。


「じゃ、じゃあ……、智恵ちゃんみたいに真っ青に!」


 イエローは、青の塗料をたっぷり含んだウォルツールを振り上げた。


「で、ですからそれはニュアンスが……」


「えーい!」


 青の塗料を浴びた分身達は……。


「お嬢様……」


 呆然と呟くウォルフ。


「な、なんか変な模様になってる……」


 流石の仙狸も表情が固まっていた。


「仙狸……。お前も引く事あるんだな……」


 分身達は青とオレンジと混ざった色のまだらになっていた。だいぶ気持ちの悪い色使いだ。


「ウォルフさん……どうしよう……」


 ウォルフもだいぶ引き気味だったが、それでも真剣に、イエローへの提案を考えていた。


「もう一度……書き直されてはいかがでしょうか……」

「そ……そうだね……」


 イエローがもう一度描き直そうと、一旦分身達を消した時。


「そうはさせぬぞ!」


 大きく張り上げた男の声が響き渡った。


「えっ? 誰?」


 美佳が振り向くと、声を上げた男――アラジンの後ろから、筋肉ムキムキのおっさんが飛び出してきた。


「ハイハァ~イ♪

 呼ばれてないけど飛び出てないけどじゃじゃじゃじゃーん!

 ……はぁ、これは言いにくいのだよジニー」


「……じゃあ言わなきゃ良いでしょ」


 美佳はこの三人に見覚えがあった。


「はっ……! あなた達は……!

 アラジンさんと……可哀想な親子……!」


「か、可哀想じゃないですっ!」


 ジニーがぷんすか怒って言い返す。その間に悟空はアラジンに声をかけた。


「……おっさんか。おっさんが来るって事は……状況は結構やべえのか……?」


 そしてジンが引きずってきた棺桶に目をやる。それは三重になっていた棺桶の一番内部にあった、黄金装飾の棺桶だ。


「……ん? 何だその……棺桶……?」


 アラジンは余裕たっぷりに、誇らしげに、真打登場のようなドヤ顔で、高らかに宣言した。


「ふん、私が来たからには、もう奴らの好きにはさせん……!

 ……我が友よ……力を貸してくれ……!

 出でよぉぉーーーー! ツタンカーーーーメン王~~~!」


 アラジンの呼びかけに答えるように、棺桶はガタガタと揺れ始めた。

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