シーン6 常世の国
神託の間に、孫悟空の元気な笑い声が響き渡った。
「あはは、完っ全にこっちのペースだな!」
「……うむ」
現状は全く文句のつけようもなく順調に推移している。アラジンもうなずく他ない状況だ。
「レッドの姉ちゃんは本物の雷牙が敵になっててショック受けてるし、ブルーの姉ちゃんは完全に自分の妄想を見失ってる。
イエローの姉ちゃんは毒で倒れてる……と」
悟空が胸を張って状況をまとめると、卑弥呼は目を閉じ、彼女達の妄想領域に対する影響を読み取った。
「うむ……。MSガールズとやらの妄想領域も力を失い始めている。
しかも、それぞれにノイズが入り崩壊寸前……。
ふふふ……。あとはじっくりと仕上げるのみだな」
満足そうに目を開く卑弥呼。悟空は胸を張って宣言した。
「おう。あと少しだ。ペット達の気を引き締めてくるわ」
そしてアラジンに視線を移してニヤッと笑う。
「……おっさーん? 準備だけしててもつまんねーだろ?
客人だっけ? 助っ人さん、早く来ればいいのになぁ?」
強烈に煽りを入れて、悟空は神託の間を飛び出して行った。
「くっ……小僧が……っ!
それにしても……遅い。遅いぞ……! 我が友よ……!」
アラジンは怒りと苛立ちと無力感が絡み合った複雑な感情に支配されていた。
「アラジン、我は……」
卑弥呼が言いかけるのを遮って、アラジンは膝をつき頭を下げる。
「申し訳ございません、準備を整える事も出来ておらず、なんのお役にも立てず……!」
自らを責めるように言葉を吐き出すアラジン。卑弥呼は祭壇を降りてアラジンの肩にそっと触れた。
「……わかっている。
お前がいてくれるお陰で、みな思い切った作戦を展開出来ているのだ。
……あてにしているぞ、アラジン」
「はっ……! もったいないお言葉……!」
アラジンは感動のあまり、顔を上げる事が出来なかった。眼を閉じ、卑弥呼の優しさを全身で受け止めていた。
――この方のためなら、どんな事でもやり遂げてみせる。
アラジンの心から、全ての不安は消え去っていた。
「何かがあった時のために、準備を整えておいてくれ。頼む」
卑弥呼の願い。アラジンは高揚感に包まれながら拝命した。
「はっ! 御意のままに!」
出ていくアラジンを見送って、卑弥呼はふっと笑みを漏らした。
「万に一つの失敗も許されぬ……。
確実の上にも、更なる保険をかけておくに越した事はない……。
ふふふ……最期だ、MSガールズ……!」




