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夢幻戦隊MSガールズ  作者: 硫化鉄
第九話 「迷路」

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シーン13 ホウキ捜索中

 その頃、智恵はアキラ・ユーマに手伝わせてホーキングを探していた。その間に智恵がこれまでの経緯をアキラに打ち明けたのは、アキラに対する警戒心が薄らいでいた証拠だろう。

 ディスペアーと戦っている事や、変身するには自分の妄想の産物であるホーキングが必要な事、携帯の機種変でホーキングとのつながりが切れた事――。

 アキラはそれを興味深そうに聞いていた。


「ふーん、そんでわざわざこっちまで来て、そのホウキを探してんだ?

 科学者だなんだ言う割には結構抜けてんのな」


 アキラはくすくすと笑いながら智恵の顔を見つめた。智恵はその視線に気づいてそっぽを向く。


「うっさいわね。しょうがないでしょ!

 全く、あんなの探さなきゃいけないとか、ほんっとイライラする!」


「つーか……ほんとにいんのかね、そのホウキっての」


 智恵の苛立ちには応えず、アキラはボソッと言った。

 智恵はその言葉がやけに気になって、アキラの顔を見る。


「……どういう意味よ?」


「なーんかさ、そのホウキって奴の魔力みてーなの、全然感じらんねえんだよな。

 どうやらここは妄想界の中でも、あんたの妄想を中心にしたエリアらしい。

 その妄想領域が自我を獲得した存在があんたの言うホウキなら、ここまで気配が感じられないわけねーんだけどなぁ」


 アキラは事も無げに言った。


「ちょ、ちょっと待ってよ、それじゃあ……」


 智恵はその可能性には気付いていた。ホーキングを探し始めてから、その予感は強くなっていた。

 だが智恵はその予感を、可能性を認めたくなかったのだ。

 しかしアキラは、その核心をズバリと言ってのける。


「消えちまったんじゃねーの? その、機種変? した時にさ」

「え……っ?」


 智恵の反応は、疑問や異議の発露ではない。

 予想していた事、そして自分も薄々感じていた事を、言葉として明確にされてしまい、頭が空白になった瞬間にただ口から出ただけの声だった。

 アキラはちらっと笑った。


「んまぁ? 魔法使いのホウキがパートナーって事に不満があったみてーだし?

 良かったっちゃあ良かったんじゃねーの?」


 確かにアキラの言う通りだった。さっきホーキングに対する不満をぶちまけたのは智恵自身なのだ。

 心の奥底に納得がいかない気持ちもあったが、アキラに反論する事もできなかった。


「それは……そう、だけど……。

 でも、あいつがいないと変身出来ないし……」


「なら、今度は思い通りの奴を妄想すればいんじゃね?

 イケメンで、万能の天才科学者かなんかをさ」


 イケメンの天才科学者。

 生意気な役立たずのホウキ。

 アキラの言う通り、新しいパートナーを妄想した方が良いに決まっていた。考えるまでもなかった。

 それでも智恵は、何か釈然としないものを感じていた。

 智恵は自分の迷いを消し去ろうと、言葉にして言う。


「そ……それもそうね!

 その方が絶対いいし!」


「だろ?

 今度はしっかりどんな奴をパートナーにしたいか、しっかり妄想するんだぜ?」


 アキラは柔らかく微笑んだ。

 智恵は少し驚いてアキラの顔を見つめる。

  アキラはふっと笑って窓から空を見上げた。


「んじゃ、俺様はちょっと出てくるわ。妄想の邪魔しちゃわりーからな」


「あ……うん」


 智恵の声に、少し心細さが混じっているのを感じ、アキラはニヤッと笑った。


「ははー、俺様がいなくて寂しいかー?

 っつーか、ここはおめーの妄想が中心のエリアだ。

 滅多なことじゃ危険はねーと思うぜ」


 アキラは開いた窓枠に腰かけ、人差し指と中指を揃えて振って見せる。


 「んじゃ、行ってくる!」


  そのまま窓の外へ身体を傾け、ゆっくりと外に落ちた。


「え……っ!?」


 智恵が驚いて立ち上がりかけた時、外からアキラの呪文が響いてきた。


高速飛翔(フェインビート)!」


 窓の外でアキラの身体が急速に上昇し、飛び去って行く。

 智恵は窓辺に寄って、アキラが消えた空を見上げた。


「そっか、アキラは魔法使えるんだ……。

 魔法……ホーキ……」

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