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正義の軍略家 ~自衛隊エリート、異世界で義勇軍を率いて腐敗を討つ~  作者: ローナ


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黒鉄商会の影と、領主の逆襲

ガルドの砦を落としてから八日後。

『秩序の盾』の拠点は、活気に満ちていた。

総勢130名を超えた今、二つの村だけでは手狭になり始めていた。

蓮はミスト村の拡張工事を進めつつ、次の大目標を定めていた。

「黒鉄商会の本拠地『鉄の牙要塞』。

ここを叩けば、辺境一帯の奴隷取引が大きく崩れる」

エリシア、シオン、ルーク、ミアが集まった司令所で、蓮は地図を指差した。

「要塞はカルバン砦の北東、岩山に築かれた堅固な施設だ。

守備兵は常時150名以上。

奴隷の収容人数は300名を超えるという情報もある。

ヴォルド男爵とも深く結びついている」

シオンが報告を続けた。

「斥候の最新情報では、要塞に大量の武器と食料が運び込まれている。

どうやら、ヴォルド男爵が本気で報復を準備しているようです」

ルークが耳をピクピクさせて言った。

「敵が先に動く前に、こちらから奇襲したいよね……」

蓮は静かに首を振った。

「今回は待つ。

敵が動くのを誘い、こちらの地形で迎え撃つ。

同時に、黒鉄商会の弱点を突く」

その言葉から三日後、斥候から緊急報告が届いた。

「ヴォルド男爵の軍が再び動き出した!

今度は三百五十名規模!

黒鉄商会の傭兵団も加わっている!

目標はエルム村とミスト村の同時攻撃らしい!」

蓮の目が鋭くなった。

「ついに来たか。

全軍に伝達——『秩序の盾』、第三次防衛戦を開始する!」

即座に二拠点の防衛体制が整った。

非戦闘員はさらに奥の隠れ谷へ避難。

戦闘員は分隊ごとに配置され、事前に強化した罠と陣地を最大限に活用する。

ヴォルド男爵の本隊がミスト村に到着したのは、翌日の午後だった。

男爵は馬上で高らかに叫んだ。

「神崎蓮! お前のような下賤の輩が、辺境を乱すなど許さん!

今日こそ村を焼き払い、お前を奴隷にしてくれる!」

蓮は高台から冷静に応じた。

「ヴォルド・ランタス。

重税と奴隷取引で人々を苦しめた罪は重い。

今日、ここでその報いを受ける時だ」

戦闘が始まった。

敵は前回より慎重に、しかし圧倒的な数で押し寄せてきた。

しかし、『秩序の盾』は準備が違った。

落とし穴、火矢、引きつり縄が次々と敵を苦しめる。

エリシア率いる前衛部隊が、獣人の力で敵の先鋒を何度も押し返した。

蓮は全体を指揮しながら、的確に指示を飛ばした。

「右翼、薄い! 予備隊を回せ!

ルーク隊、敵の補給馬車を狙え!」

ルークとシオンの斥候部が、森の中を駆け回り、敵の後方を次々と撹乱した。

ミアの支援部は、負傷者の迅速な搬送と矢の補給を完璧にこなしていた。

戦いは一日中続いたが、敵の進撃は思うように進まなかった。

ヴォルド男爵の顔が、次第に焦りに変わっていく。

夜になると、蓮は決断した。

「ここで反撃に転じる。

エリシア、俺と一緒に敵の本陣を突く!

シオンとルークは側面から援護!」

少数精鋭の突撃隊が、暗闇に紛れて敵の本陣へ接近した。

ヴォルド男爵が護衛に囲まれているところへ、蓮とエリシアが飛び込んだ。

エリシアの一撃が護衛を吹き飛ばし、蓮が男爵の目前に迫る。

「ヴォルド! お前の支配はここまでだ!」

男爵が慌てて剣を抜いたが、蓮の動きは速かった。

自衛隊の格闘技術とレベル26の身体能力が融合し、男爵の剣を弾き飛ばした。

エリシアが男爵の胸倉を掴み、地面に叩きつける。

「降伏しろ! さもなくば、ここで命を落とす!」

ヴォルド男爵は震えながら叫んだ。

「待て……待て! 降伏する! 命だけは……!」

その瞬間、戦場に『秩序の盾』の勝利の雄叫びが上がった。

敵軍は主将を捕らえられたことで完全に崩れ、慌てて撤退を始めた。

『秩序の盾』の損害は軽傷者十数名のみ。圧倒的な戦略勝利だった。

捕虜となったヴォルド男爵は、縄で縛られ、蓮の前に引き出された。

「どうする……殺すのか?」

男爵が震える声で聞いた。

蓮は冷たく、しかし毅然と言った。

「殺さない。

お前は王都に送る。

奴隷取引と重税の罪を、フェルン王国に裁かせる。

これ以上、辺境を苦しめることは許さない」

ヴォルドは青ざめた顔でうなだれた。

戦いの後、広場では大規模な勝利の宴が開かれた。

総勢は新たに解放された獣人たちを加え、160名を超えていた。

蓮は皆の前に立ち、静かに語りかけた。

「今日の勝利は、皆の努力の結果だ。

しかし、まだ終わっていない。

黒鉄商会の本拠地『鉄の牙要塞』はまだ残っている。

次はそちらを叩く。

奴隷取引の根を断ち、この辺境を真の自由の地にする」

エリシアが力強く頷いた。

「私たちはもう、守られるだけの存在じゃない。

蓮とともに、攻める側に回る」

ルークとシオン、ミアもそれぞれ決意を述べた。

夜遅く、蓮は一人で星空を見上げていた。

【クエスト『腐敗領主の打倒』 完了!】

【経験値大量獲得】

【現在のレベル:29】

【スキル『大規模戦指揮』 レベル1を取得しました】

力は着実に増え続けている。

しかし、蓮はまだ満足していなかった。

「次は黒鉄商会だ。

そこで得た情報で、さらに大きな敵——魔王軍の影にも対処する準備を整える」

遠くの鉄の牙要塞では、奴隷商人の上層部が、

『秩序の盾』という名を初めて本気で恐れ始めていた。

神崎蓮率いる正義の軍団は、

辺境の小さな火から、

大陸を揺るがす大きな炎へと、

確実に成長を続けていた。

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