表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正義の軍略家 ~自衛隊エリート、異世界で義勇軍を率いて腐敗を討つ~  作者: ローナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/26

奴隷商人の本拠地へ

ヴォルド男爵の使者が去ってから十日が経った。

『秩序の盾』は着実に力を蓄えていた。

総勢はすでに82名に達し、訓練の質も日を追うごとに上がっていた。

エルム村とミスト村の二拠点体制は安定し、食料の備蓄も少しずつ増え始めていた。

神崎蓮はミスト村の簡易司令所で、地図を前にエリシア、シオン、ルーク、ミアと会議を開いていた。

「次の目標は、奴隷商人の本拠地『黒鉄商会』の前哨基地だ。

場所はカルバン砦の南西、森の奥にある『ガルドの砦』。

ここを叩けば、奴隷商人の補給線を大きく乱せる」

シオンが地図を指差しながら報告した。

「斥候の情報では、砦の守備兵は約70名。

奴隷の檻が十以上あり、捕らわれている獣人が50名近くいるらしい。

リーダーはガルドンの上司、奴隷商人の中堅幹部『ザルグ』という男だ」

エリシアの目が鋭く光った。

「私も行く。

前衛として、砦の門を破る」

蓮は頷き、作戦を説明した。

「今回は正面突破ではなく、夜間の同時多点攻撃だ。

第一隊:俺とエリシアで正門を叩き、注意を引く。

第二隊:シオンとルークが裏門から侵入し、檻を解放。

第三隊:ミア率いる支援隊が外周で補給物資を確保し、逃げ道を確保。

目的は勝利ではなく、捕虜の解放と砦の機能麻痺。

可能な限り敵を殺さず、混乱を最大限に広げる」

ルークが興奮気味に尻尾を振った。

「了解! 僕、裏門の鍵を壊す役目やるよ!」

ミアが少し不安げに聞いた。

「本当に……勝てるのでしょうか? 人数はまだ敵の方が多いのに」

「人数では劣るが、準備と連携と奇襲で勝つ。

これが現代戦術の真骨頂だ」

蓮の言葉に、全員が静かに頷いた。

作戦決行は二日後の夜に決まった。

その間、蓮は徹底的に訓練を重ねた。

夜間行動の連携、合図の笛の使い方、撤退時の分担——細部まで詰めていく。

そして、決行の夜。

月が雲に隠れた暗い森の中、『秩序の盾』の選抜隊52名がガルドの砦に接近した。

蓮は最前線で息を潜め、タイミングを計っていた。

「今だ。

第一隊、突入!」

蓮とエリシアが先頭に立ち、正門へ突進した。

エリシアの狼族の力で門の閂がへし折られ、蓮が中へ飛び込む。

「敵襲だ!」

砦の中が一瞬で騒然となった。

傭兵たちが武器を手に殺到してくる。

蓮は冷静に声を張った。

「前衛、陣形を崩すな! 横に回り込め!」

エリシアが獣人の力で先頭の敵を吹き飛ばし、蓮がその隙に急所を的確に打つ。

レベル24の身体能力が、暗闇の中で敵を翻弄した。

一方、裏門ではシオンとルークが素早く侵入に成功していた。

「檻だ! 早く!」

ルークの敏捷性で鎖を切り、シオンが捕虜たちを誘導する。

「『秩序の盾』だ! 逃げろ! 森へ一直線に!」

解放された獣人たちが、次々と砦から脱出していく。

ザルグという奴隷商人の幹部が、奥の建物から怒鳴りながら出てきた。

「何者だ! このガルドの砦を……!」

蓮はザルグを睨み、冷たい声で言った。

「弱い者を売り飛ばす者たちに、正義の鉄槌を下しに来た。

お前たちの時代は終わる」

戦いは激しかったが、『秩序の盾』の連携が勝っていた。

事前の訓練が功を奏し、敵は混乱のまま次々と倒れていく。

【スキル『夜間突撃指揮』 レベル1を取得しました】

【現在のレベル:26】

蓮の頭に通知が浮かぶ。

戦闘中にも力が少しずつ目覚めていた。

三十分後、作戦はほぼ成功した。

捕虜のほとんどが解放され、砦の補給倉庫は大きく荒らされた。

ザルグは捕らえられ、重要な情報を吐くことになった。

撤退の笛が鳴らされ、『秩序の盾』の隊は森へ退却した。

損害は軽傷者数名のみ。敵の死傷者は四十名近くに上った。

村へ帰還した時、解放された50名以上の獣人たちが、希望の涙を流しながら迎えられた。

総勢は一気に130名を超えた。

広場で、蓮は皆の前に立った。

「今夜の勝利は、皆の連携の賜物だ。

これで奴隷商人の一部が大きく弱体化した。

しかし、まだ本拠地は残っている。

ヴォルド男爵も黙っていないだろう。

これからも訓練を続け、軍団をさらに強くする。

俺たちの目標は、辺境全体を正義の領域に変えることだ」

エリシアが力強く宣言した。

「私は前衛として、蓮の盾になる。

どんな敵が来ても、絶対に守り抜く」

シオンとルークも頷き、ミアが静かに微笑んだ。

焚き火の周りで、新しく加わった獣人たちが、

人間と肩を並べて笑い合う光景が広がっていた。

蓮は少し離れた場所で、静かに空を見上げた。

「自衛隊の頃は、ただ守る側だった。

ここでは、守るだけでなく、新たな秩序を創る側に回っている。

正義感だけじゃない。戦略と仲間がいるからこそ、できることだ」

遠くのカルバン砦では、ヴォルド男爵が激怒の報告を受け、

さらに大きな軍を動かそうとしていた。

また、奴隷商人の上層部も、『秩序の盾』という名を初めて認識し始めていた。

しかし、神崎蓮の瞳には、迷いなど微塵もなかった。

「次はもっと大きな一手を打つ。

黒鉄商会の本拠地を狙い、辺境の解放を進める。

そして、いつかこの大陸に、真の秩序を——」

『秩序の盾』の炎は、

辺境の闇を照らす灯火として、

着実に、力強く燃え広がり始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ