第二話 トラウマ ー神里大地ー
その日の授業を終え、神里大地は友人たちと一緒に、家路についていた。今日は部活のない日だったので、帰宅部の友人らも含め、やや大所帯だ。堤防の脇を歩きながら、太陽の光りを反射した海がキラキラと輝いている。
「この町ってコンクリートと鉄骨ばっかの味気ないとこだけどさ、海だけは綺麗だよな。」
「海がキラキラしてるのって青春っぽいよな!」
「何だよ、それ。」
友人らの言葉に苦笑いを浮かべながら、大地は、自分が最も綺麗だと思った光景を思い浮かべる。
夕暮れのオレンジに照らせる町と海。空は、青とオレンジのコントラスト。オレンジに染まって輝く海は、昼の海よりも綺麗だと思った。その美しい景色を、かけがえのない2人の友だちと見た。美しい景色が一望できるこの場所は自分たちだけの秘密だと、彼らと約束した。
あれから、どれほどの時が経っただろう。もう何年、あの景色を見ていないだろう。
思い出すのは、怒りと憎しみに満ちた、彼の顔。恐怖と悲しみで涙に歪んだ彼女。壊れてしまった自分たちの関係。壊したのは、他でもない、自分だ…。
どんどん、太陽が傾いていく。次第に空がオレンジに染まっていく。
「え、あれって…。」
友人らの一人が驚いたように声を上げ、足を止めた。どうしたのだろう、と彼に倣って足を止め、視線の先を追った。
「ゆ、ら…?」
追った視線の先にいたのは、かけがえのない幼馴染の一人だった。大地が酷く傷つけてしまった、大切な、親友だった少年。




