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僕の彼女はアンドロイド  作者: 音羽 規世
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第一話 家族の夢③

 物語は、ここではない何処かのお話。

 機械やロボットだらけの不思議な島に、一人の男の子が漂流してきました。男の子は荒れた海を漂流した為に身体中怪我だらけでした。

 そこに、アンドロイドの女の子がやってきて、男の子を手当てしてくれました。2人はすぐに仲良しになりました。

 けれど、機械島には決まりがありました。それは、人間を入れてはいけないという事。でも、男の子は女の子の事が大好きで、離れたくありません。そこで2人は、機械島を抜け出すことにしました。沢山の場所を巡り、時に助けられながら、男の子と女の子は機械島から脱出する方法を見つけました。

 ところが、もう少しというところで、機械島の警備兵に見つかってしまいます。必死に逃げる2人でしたが次第に追い込まれてしまいます。そして、警備兵の撃った銃弾から男の子をかばい、女の子が撃たれてしまいます。

 泣き叫ぶ男の子に、女の子は言いました。

「どうか皆を嫌いにならないでね。本当は皆、とっても優しいの。皆が仲良くなってくれたら嬉しいな。」

それっきり、女の子は動かなくなってしまいました。男の子は泣きました。警備兵たちも泣きました。

 男の子は機械島に残り、機械島の皆と一緒に女の子を直す方法を探すことにしたのです。

 女の子の願い通り、男の子は機械島の皆ととても仲良くなりました。

 もう一度、女の子に会うことを願いながら。


 忙しい両親に強請って、何度も何度も読んでもらった。少しだけ悲しい、人間の男の子とアンドロイドの女の子のお話。

 動かなくなってしまう女の子が可哀想で、幼い結良は両親にお願いした。

「ねえ、パパとママなら、この女の子を直せる?」

「アンドロイドかぁ。今の技術ではまだ夢の話だろうなぁ。」

「じゃあ、僕、大きくなったらパパとママのお手伝いする!この女の子に会えるように!」

「あら、素敵ね。親子3人で発明なんて、とっても楽しそうだわ。」

「じゃあ、この女の子を作るのは俺たち家族の夢だな!」

未来が楽しみだと、幼い自分を抱き上げて笑う父。そんな自分たちを見つめ、幸せそうに微笑む母。

 消えていない。ほんの少し記憶の隅に押し込まれていた大切な記憶。

「俺、忘れてた…。父さんと母さんと話してた夢だったのに…。」

声が震える。涙が溢れて、零れ落ちた滴が絵本を濡らす。ぽたり、ぽたり、と涙を流す結良の頭を柔らかな手が優しく撫でる。

「結良様。私はまだ未完成なアンドロイドです。」

「……?」

彼女の言葉に、結良は首を傾げる。だって、彼女はもう動き出していて、しゃべっていて、何処にも不備がるようには見えない。

「アンドロイドは、感情を持つんです。絵本の中の少女の様に。」

確かに、絵本の中の少女は感情を持っていた。笑って、悲しんで、男の子を好きになった。

「私は、あなたたち家族の夢の為に造られた存在。ご両親は、あなたが私に感情を教えることで、完成させようとしたのです。」

アンドロイドは、体と心があって初めて完成する。体を父と母が、心を結良が。そうすることで、家族の夢を完成させようとしたのだ。

 沢山の事を教えてくれた父も、優しく包み込んでくれた母も、もういないけれど、彼女の存在が自分と両親を繋げてくれている。

 もう思い出を一緒に作ることは出来ないけれど、一緒に夢見た先を作ることはできる。

「俺に両親との夢を思い出させてくれてありがとう。……薺。」

少し照れくさく思いつつ、名前を呼べば、彼女、薺はゆるり、と大きく瞳を見開き、やがてはにかむように微笑んだ。先ほど、リビングで見せた作り物めいたものと違う、嬉しそうな、恥ずかしそうな、笑みを。

これにて第一話が終了。

次回から「第二話 トラウマ」に入ります。

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