第三話 さよらな彼女④
第三話さよなら彼女③と④の順番を間違えて登校しておりました。
大変失礼いたしました。
数年続いたわだかまりを解いたからといって、すぐに元通りになれるわけではない。それでも、踏み出した一歩を大切にするように、開いてしまった距離を埋めるように、3人は予定を合わせ、よく集まっていた。まだ外に出ることに抵抗のある結良の為に、主には彼の家に集まり、夕方以降の人が少なる時間などを選んで、出かけたりもしていた。
「薺、今日は大地たちもうちで夕飯食ってくってさ。」
「かしこまりました。では、少し量を多めにお作りしますね。」
リビングのソファに腰かけ、携帯に届いた大地と咲菜からのメールを確認し、画面から顔を上げて、昼食の洗い物をしている薺に声を掛ける。それに頷き答えた薺が一度洗い物の手を止め、冷蔵庫の開けた。やがて、ぱたん、と扉を閉じた音がしたかと思えば、眉根を寄せた薺がこちらにやってきた。
「薺?」
「結良様、食材が足りなさそうなので、買い物に行きたいのですが…。」
冷蔵庫の材料では、大地と咲菜を含めた人数分の食事には足りそうにないのだとか。
引きこもりの結良はもちろん、薺も対人関係やら一般常識的な知識や色々な経験値が足りていない為、主に家の中で過ごしており、食材や日常品の買い出しは主に薺からの依頼を受けて、泉が仕事帰りなどに行っていた。
だが、泉は今日は帰りが遅い為、買い出しを頼んでも大地たちが来るまでには間に合わないだろう。
「じゃあ、一緒に買い物に行こう。」
「え…。」
驚きの声を上げ、信じられない、とばかりに瞳を瞬く薺に、結良は首をかしげる。
「なに?」
「結良様が外出を申し出るのが珍しくて…。」
「いや、まあ、あんまり外には出たくないけど…。」
「そうですよね。引きこもりが板についてますよ。」
「それ褒めてるつもり?それとも嫌味か?」
「え?」
不思議そうに首を傾げる薺に、結良はなんでもないと片手を振った。彼女に他意はないのだろう。素直に受けた印象を言葉にしただけなのだろうが、ぐさり、とささるものがある。
「でも、結良様と2人でお出かけは夕焼けを見に行って以来なので嬉しいです。」
ふわり、花咲くように微笑む薺に、胸を鷲掴みにされる。向けられるのは、温かくなるような感情で、隠すことをせず、そのままを伝えてくれる薺の言葉と笑顔だからこそ、こんなに胸に響くのだ。
頬に熱が上ってくることを隠すように、結良は赤くなっているであろう顔を隠すように片腕を挙げた。
「結良様?」
「いや、何でもない。……行こう。」
「はい!」
嬉しそうに、弾けるような笑みを浮かべる薺に、結良も照れくさそうに笑顔を返した。




