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上映の強制終了後、私の視界は再び広場の幅ほどに広がった。
風?
今度はなんだ、とさらに違和感の方に向け目を細めた。
空よりも低い、噴水の上あたりで、小石や枯れ枝が群をなして宙を舞っている。それらが斜め下、横、真上、と向きを変えるたび、内臓をくすぐられる感覚がせり上がってくる。
ちがう、風じゃない。重力だ。
重力の風と呼んでいいものなら、それがそこにある。重力下では重いものも軽いものも、一律にその影響を受ける。空間の各所ででたらめに向きを変える重力が、そこらじゅうのものを翻弄しているのである。
本来、ここまでの出来事だけでも言葉をなくすのに十分だが、やがて、それらさえ記憶の外に追いやるほどの光景が飛び込んできた。
デパートらしい建物、広場を渡った先の、街路を大きく占める集合的な建造物。その屋上にアドバルーンが一つ、縦長の広告幕を従えつつ、なびいている。ゆらゆらと動いている原因が風か、重力の風かは、この際どうでもいい。
その幕に自分の名が書かれ、燃やされている。
「何」
私は思わず駆け出し、もちろん、恥知らずにもはかりごとをめぐらすその巣窟へと向かっていった。
「あんた、そこにつかまんな」
ちょうど広場を抜けようとするとき、女性の声で呼びとめられた。「キヲスク」と銘打たれた小ぶりな商店のレジ奥で、パートらしい女性が射抜くような目線を私に向けていた。
「危ないよ。早くそこにつかまんな」
何の策略で満ちているのかわからない、ふざけたデパートに向かう途中、当然ながら頭は混乱していた。その中で、女性の確信的で動じない物腰が、私の脚を止めさせ、さらに冷静な選択をも与えてくれた。
女性はその場で、店の脇に設置された、ステンレス製のU字ガードを指さしていた。私は走る勢いそのまま、わけもわからずその車止めらしい物体を両手でつかんだ。
その途端。
一気に世界が逆向きになった。体が空に向かって持ち上がり、さらに、ぴんと張る感覚が両腕を走った。手を離してはならないことだけは、反射的にわかった。周囲の状況など気にする余裕はなかった。時間にして一秒もなかったのだろうが、血流、思考、その他自分にまつわる全てが、真逆で苛烈なる変化の餌食となった。
すぐに「世界の向き」は元に戻り、それを予測できなかった私は、頭をもろにU字ガードにぶつけた。これは、鉄製遊具の上で逆立ちをし、そこから両腕の力を抜くときと同じ衝撃、と言っていい。幸運にも頭蓋骨は割れなかったようだが、当分頭皮に触れないほどの瘤が一つできあがった。
「痛ってえ」
ズボンの汚れも気にせず地べたに座り、患部に手をあてがおうとした。すると、それが早いか、周りでばらばらと物が降ってきて、無意味とはわかりつつも首を引っ込めた。音がやみ、改めて見渡すと、落ちてきたのが雑誌やら飲み物やら、そこの「キヲスク」で売られているものだとわかった。




