56話弱点
グラム、こいつは相当厄介な敵だ。
攻撃は我威亜より少し下、だがスピードがはやすぎる。虚空の力でやっと追いつけるほどのスピード、奴の拳を捌きながらオレはグラムに蹴りを入れる。
グラムは右の方の木にぶつかり、木を三本ほど折り止まった。
森から木が投げられる。木を破壊すると目の前にはグラムが、奴の手刀がオレの左肩をとらえる。左肩の肉が少しえぐられる。
「あれ?首を狙ったんだけど」
こいつは確実に人の急所を知っている。人を殺す技を知っている。
グラムの右フックがオレの腹に迫る、両腕で防ぐも威力は殺しきれない、後にのけぞる。
腕が痺れるな、ジンジンと痛む腕は赤くなっている。
あいつの嫌な点は硬いところだ。
とにかく防御力がありすぎる。普通、スピードや攻撃が強かったら防御面は弱いはずだろ!!
この面倒なほどの硬さが奴との戦闘を長引かせる。
グラムの拳とオレの拳がぶつかる。
力負けしたのは以外にもグラムだった。
オレはそのまま空いていた左拳でグラムのアゴにアッパーをくらわせる。
グラムの体が空中に浮く。オレは少し下がり理力を集中させる。
「ニュートン」
さっきグラムが投げた木とオレが壊した木が槍のようにグラムへ向う。グラムは空中でその木を粉々に粉砕、そのまま残った木のクズを蹴りオレのほうへ向かってくる。
やつが拳を構える、オレは腹を守り、顔に理力を集中させるが、想定外、やつがやったのは蹴り、やつは回し蹴りを放ち、オレは森の中へ蹴り飛ばされた。
赤い羽が舞う。ユウトとアバドンが争っていた。
(うーん猪狩ユウト、こいつの能力面倒だな……能力としては単純な炎を操る能力なんだけど……炎のスピードがはやすぎる。私ですら目に追えない…。)
ユウトは手で炎の槍を作り出しアバドンへ投げ飛ばす。アバドンの羽に当たると同時に、アバドンの羽は灰と化す。
(やっぱり、燃える速度がおかしい、炎が触れた瞬間塵になっちゃう……)
「一体どういう原理だ……だろ?」
ユウトがアバドンの心を読んだかかのように答える。
「心もお見通しってわけ?」
「いや……オレの能力をみた奴は大体その疑問にたどり着く、分かりやすく教えてやろう、オレの炎は普通の炎と違う、理力を加えることでで燃える速度を制御できる」
「だからか、理力を加えまくって燃える速度を上げれば一瞬で塵になったみたいになる……」
「そう言うことだ」
「でもそれって理力効率悪くない?」
「オレは理力が多いから問題ない」
ユウトの横に大量の炎が現れ、一気にアバドンを襲う。
アバドンはその炎を避けながら対策を考えていた。その時、アバドンの脳内に悪魔のような作戦が思いつかれる。
アバドンが炎を避けながら5分が経とうとしていた。
「きゃぁぁぁ!!」
甲高い叫び声が響く。そこには肩身を寄せあい、抱き合って泣く親子、アバドンがその親子に向かって理力放出のビームを放つ……。
「やめろ!!」
ユウトが親子をかばい、ビームを受ける。体に激痛が走るがユウトは笑顔をつくり、親子に言う。
「さぁ、早く逃げて、ここは……オレが食い止めるから」
「ありがとう……」
親子がそういった次の瞬間、ユウトの腹が親子によって貫かれる。ユウトはその場に力なく倒れ込んだ。
「アッハハハハハハ!!!ばっかだねやっぱ人間はバカだわ!困ってる人がいたらすぐに助ける!それが私の!死体を操る能力の死体とも知らずに!!結局人助けで死んでさぁ!ガチで笑えるよねぇ!!」
ユウトの意識が薄れゆき、目の瞳が消える。
息もできず、ユウトはその場で息絶えた。




