55話同じ者同士
ミズサと慈佐は森を走っていた。
ノアと空が我威亜を抑えている隙に、先生たちを呼びに行かなければいけないからだ。
「いつの間にか桜ちゃんがいなくなってる」
ミズサが焦って言っている。
「そんなの気にしてる暇はないよ!!とにかく今は先生たちを呼びに行かないと……」
「そうだね、君たちは急がなければいけない、だが先生を呼ばれると困る」
次の瞬間慈佐の横を矢がかする。
耳の肉が貫かれたが、焼かれているのか血がでない。気づいた瞬間襲う激痛に、慈佐は叫び声を上げて膝をつく。
「理力と言うものは固めるものだ、強者は全て理力をが体に抑えている」
やつが手に持つ弓を構え、矢を放とうとした瞬間、横から矢が飛ぶ。その矢を相手はノールックで打ち落とした。
「何者だ?」
「僕は叶太だ」
「僕は矢崎鈴音、そうか、君も弓使いか……」
次の瞬間、見えない速度で2人の矢が放たれる。勝ったのは矢崎の理力で固めた矢、その矢は叶太の頬をかすり、後にあった木を貫く。
「強大な理力反応が多数表れたから来てみれば……僕ら生徒がかなう相手じゃなさそうだ……」
「当たり前だ、これでも僕は烏の一員だ」
「おい!そこの獣人、横のやつを連れてさっさといけ!」
叶太が大声でミズサに向かって言う。ミズサは痛みに悶える慈佐を抱える。
「あ、あなたはどうするの生徒じゃ敵わないって言ってたじゃん!」
「あぁ生徒じゃあかなわないさ、少なくとも普通の生徒にはね……」
ミズサは叶太を信じ、走り始めた。
グラムが降りてくる。オレの前におり立ち、フードを投げ飛ばす。
我威亜と似た服、亜巍斗族の伝統的な服なのか?
「何でオレだけ連れてきた」
「出馬の狙いはこの世界から理力と異能力を消滅させることだ。君の能力は人の理力を吸い取れる、だから君に全ての理力を吸ってもらって、理力のなくなった人々を皆殺し!そうすれば世界には平和が訪れる」
「急に何言ってんだよ、お前人類を滅ぼすだぁ?無理だよ」
「オレも正直無理だと思う、でも面白そうじゃん?で?君は僕たちの計画に賛同するかい?」
「答えはNOだ、そんな馬鹿げた作戦誰が賛同するかよ……」
「出馬に言われてるんだ……いざとなればサエナキ総真は必要ない、君は賛同しなかった、たった今ここで君を殺す」
グラムが構えを取る。薄気味悪い笑顔を浮かべ、一気に踏み込んだ。
次の瞬間にはオレの目の前にグラムが拳を突き出そうとしていた。
オレは体を反らし避ける。
虚空の力!!
オレの背中に2つの光輪が現れる。攻撃を避けられ、少し前にでたグラムが振り返りまた、一瞬で距離を詰める。
奴の手が手刀に変わる。閃光のような一撃、狙っているのは大動脈か。
オレはグラムの手刀を掴み、顔面に右拳でフックをお見舞いする。
硬い、想像以上に硬い、もちろんやつは血を吐くことも、傷もなかった。次の瞬間オレの腹にグラムの拳が貫くかのような力で殴り込む。
力は我威亜より下だが、それを加味しても相当な威力……。
オレは後に少し下がり体勢を直す。
「こいつは結構、面倒な相手と当たったな」




