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異能学園  作者: 水田秋
第二章
47/66

47話あれから

 新人戦が終わり一ヶ月がすぎた。月は7月、蒸し暑く、ひぐらしの鳴き声がよく聞こえる。

並ぶ墓、一つの墓の前にある男が立っていた。異能学園校長、井鷺克也だ。手を合わせながらその墓の前に座り込んでいる。

「墓参りかい?校長」

「痣村か…」

いつの間にか後にいた痣村惣代に克也校長は驚かず、スッと立ち上がり振り向く、そこには痣村とニコがいた。

「何だニコ、お前も墓参りか?母さんの」

「あぁ…」

ニコが克也校長を横にどけ、墓の前に座り手を合わせる。

「校長…あんたまだ気にしてるのかい?」

「あれは俺のせいで起きた、俺は一生をかけて、いや来世すらも捨てて罪を償うつもりだ」

夏の夕焼けが3人を照らす。

7月、ボタンたちを倒した俺達は一気に元気をなくした。

ボタンを倒したことで目標がなくなり、みんなやる気がなくなったのだ。

それぞれまだ強くなるための目標はあるが…それでも、ボタンと戦う前ほどの熱気は消え去っていた。

7月2日、俺と慈佐と桜、いつもの3人で学校へ歩いていた。

額から汗が滲む、俺達が教室のドアを勢いよく開けると全員がこちらを振り向いた。

一人の男子が新聞を持っている。

その新聞には一言大きな文字で書かれていた。

『新人戦!最凶のボタンを打倒し国立異能高等学園優勝!!』

デカデカと書かれた文字、その文字を読んだ時理解した。次の瞬間案の定歓声が巻き起こる。

「手のひらクルックルだな…この野郎共」

「まぁいいじゃん、勝てたし」

文句を言う俺を慈佐が抑える。

2組でもその噂は広がっていた。

空の周りに大量の生徒が集まり、空はポカン…という表情を浮かべ、次々と飛ぶ質問に答えている。

「いや〜空さん人気だな〜」

ノアはその様子を眺めていた。喉が少し渇き、ノアは水道の蛇口の前に行き、蛇口をひねる、夏のせいで生暖かい水を飲んでいた。その時だった。

小さいが…声が聞こえる。

「試合見たけどさ…ノア、全く活躍してないよね」

「あんなに天才集団の中にいてつらくないのかな?」

「私なら抜けるわー異能部…ついていけない」

3人の女子のコソコソとした会話が耳に入る。ノアは聞かぬふりをして教室に戻った。

異能学園優勝、その噂はもちろん学園中に届いた。

「サエナキ総真…気になるな」

「何してるんですか?涼夜叶太(すずやかなた部長」

「あぁ、すまない新しい実験対象を見つけたもので…」

「サエナキ総真ですか?どうせ拉致しに行くんでしょう?」

「うるさい!保護と言ってもらおうか!緋咲安馬(ひさきやすば秘書!!」

「ヘイヘイ…」

新人戦は終わった…だがそれ以上の何かがこの学園で起きようとしていた。

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