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異能学園  作者: 水田秋
第一章
46/67

46話これからはみんなで!!

2人がゆっくりと歩き出した。

少しづつ速度を上げ、遂に殴り合う。能力のない単純な殴り合い、次の瞬間2人が距離を取り同時に切り札を発動。

「虚空の力!!」 「野生!!」

2人の理力が天を貫く勢いで増す。2人の拳がぶつかる、血が噴き出し、全身に痛みが走る。だが2人とも止まらない、総真がボタンを投げ飛ばす。

「きたぁ!!」

キアがボタンを糸で掴み、回しながらビルに当てる。

たがボタンが回す力に逆らいキアを引き寄せ、地面に殴りつける。

だがそれは抜け殻だった。

「危ない!セミの脱皮がなかったら死んでた!」

「脱皮したら少し動けないだろ!」

キアが飛び出す。

「理力が回復してないでしょ…コピーすら使えない」

「だがらなんだ!私はお前を止める!!」

ボタンにイズナが拳を振りかざすがいとも簡単に掴まれる。

だがイズナが飛び上がり、そこに現れたのは拳を構えた総真、ボタンの腹に強烈な一撃がめり込む…、緩んだ手からイズナの拳が抜ける。

ボタンが総真の頭を掴み、膝蹴りをくらわせる。

生々しくも鈍い音が響くが総真は前に突き進む、そのままボタンをビルの壁に押し当てた。 

次の瞬間2人の野生と虚空の力が同時に切れる。

(まだだ!このままじゃあボタンを倒せない…限界を壊せ!!)

虚空の力が発動しないなら、総真がとった手段それは…。

「ブラック・S・ライジング!!!」

残った理力を削り取るように発動した不完全な状態だがその総真の拳がボタンにあたり、ボタンを吹き飛ばす。

ボタンの視界が揺れ、倒れそうになるも立ち上がる。

(とにかく今は理力の回復を…野生を再発動させないと…)

ボタンが走り出すが、キアが現れ投げ飛ばす。

(やめて…じゃましないで!キア、私はもう負けたくないんだ!みんなを守らないといけないんだ!!)

ボタンが走り出し、角を曲がるがそこにいたのは拳を構えた総真。

「どいてくれよ…私は!負られないんだ!!」

ボタンの目から大粒の涙が溢れ出す。

「泣くくらいならちゃんと…話して来いやぁ!!!!」

ボタンに総真の渾身の一撃がはいる。ボタンは後へと飛ばされる。

そこに誰かが立っていた、ボタンの目に映ったのはイズナだった…。

(ごめん…ボタン…言葉一つ、たりなかった!!)

能力を使わない、イズナの純粋な一撃…その一撃が、遂に王を討ち取った。


(あれ…私寝てたのか、あーだめだ腕一つ動かねぇ…負けたのか…私)

ボタンの横に、ヨロヨロとイズナが座り込む。

「ボタン…ごめんあのときは、あのときはみんな悪かったと思う…私も声をかけられなかったし…お前を責めた観客も、お前をいつの間にか置いていった私たちも…みんな悪かった、だからさ今度からはみんなで頑張ろう、負けないくらい…強くなろう!」

イズナの目から涙が溢れ出す。イズナが手を差し出し、ボタンを座らせる。

「イズっち」

「はーい!!ボタンは負けたので!もう最強じゃあありませーん!!これからは…みんなで最強でーす!!」

キアが太陽のような笑顔で笑いながら言う、目からは少しだが涙が見えていた。

「キア…」

「ボタン…やっぱり負けたんだ」

森から氷華が現れる。

「お前!!慈佐は!」

「大丈夫です!ボタンと話したらすぐ自主退場するように約束しました。…私も負けたんです慈佐ちゃんに…」

(慈佐のヤツ、バカな事するぜ…でも今回だけはお手柄だな)

氷華がボタンに近づき、ドサッと座り込む。

目からは大粒の涙をこぼしながら喋り始める。

「ねぇ…ボタン…私さ…ボタンに話したいこと…たっっっくさんあるの…全部…聞いてくれる?」

「聞くよ、ずっと…」

ボタンの目からもいつの間にか涙が溢れていた。

大会は無事、異能学園の優勝…ニコは誇らしげに笑っていた。

「総真…よくやった…勝つと信じていたぞ」

空が義体装置から出て来た総真に抱きつきながら言う。

「でもギリギリだったぜ…もしあの時イズナが構えてなければ俺は負けてたよ」

総真が慈佐のほうに近づき頭に手を置く。

「慈佐…お前強くなったな」

「そっちだって…」

2人はたくましくなった顔を見合い笑っていた。

「なぁ…イズっち…また今度さ久しぶりに…四人で遊ばねぇか?」

ボタンがイズナに思い切って聞く。それにイズナは満面の笑みで答える。

「うん!!」

たったそれだけ、その言葉だけで、ボタンの心の重りは取れたのだ。

ボタンも満面の笑みを浮かべる。

こうして俺達の新人戦は幕を閉じた。


月――


「あのアバドンとか言うガキ…、克也のやつが言ってた烏の仲間だな…多分、逃げられちゃったけど…まぁいいや」

まだ誰も知らない、この逃がしてしまった選択が後に地獄の始まりになることを…。

数日後…。

「うわっ!」

ボタンが足をつまずかせて転ぶ、身体に傷はないが「いてて」と擦り傷を確かめる。

その時だった。3つの手が差し伸べられる。

氷華、イズナ、キアの手だ。

もう誰も置いていかないから。

ボタンは3人の手を取り立ち上がる。

そして3人で歩き出した。


異能学園1章―完―

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