17話奇跡の終わり
3人が構える。
少しの静寂、次の瞬間一閃の攻撃によってその静寂は絶たれる。
先制を打ち取ったのはサエナキ総真、その拳であった。
拳が我威亜の胸に突き刺すようにめり込む。そのまま力を込めた総真は我威亜を殴り飛ばした。
我威亜は疑問に思っていた。
なぜだ、さっきの200%とは違う、攻撃が重い、確実に進化している。
この成長速度は異常だ…、まさに天才のもの…。
だがサエナキ総真がやったことは至って単純だった。
理力の身体循環である
通常、誰もが無意識的に行っているこの理力の循環、理力の使用効率を高める基本技、サエナキ総真はさっきまで理力を放出し力を出していた。
理力を循環させれば体が持たない。
ソレはなぜか?サエナキ総真は能力を常に封印されていたことで、普通は誰もができる理力の循環ができなかったのだ。
いや、できないような身体になってしまった。
だが今サエナキ総真の身体に奇跡が起きている。
再び身体が進化を始めた。そう、肉体が理力の循環をし始めた。
至って単純、故に最強に近づく。
サエナキ総真は強くなり始めていた。
我威亜が地面を壊すほどの蹴りで空中へ飛び上がる。
手に持っていた大木を総真達に向かって投げ飛ばす。
次の瞬間その巨木はチリにかわる。
蒼炎纏う炎の刀により、投げられた巨木は切り捨てられた。
だがそれだけで攻撃は終わらない。
我威亜が空から蹴りを放つ。
刀に重い一撃が乗る。
空の腕がきしみ震える、地面が凹み始める。
その隙に後ろへまわった総真が我威亜の体を蹴り飛ばす。
サエナキ総真の力は上がり続けていた。
サエナキ総真が近づき、拳を振るう。
ここで今まで受け止める。避ける。のみ使ってきた我威亜が、始めてガードを使った。
この隙をサエナキ総真は見逃さない。
一気に畳み掛けた。
ラッシュが我威亜の体を少しずつ下がらせる。
だが我威亜の蹴りが総真の腹に当たる。
切られた傷と折れた肋骨の激痛が体中に走る。
それでもサエナキは折れない。
震える足を奮い立たたせ、気を保ち、笑う。
自分は生きている、戦っている、抗っている。その気持ちが、総真の闘争心を奮い立たたせる。
次の瞬間我威亜の腹に一発の拳が当たる。
我威亜初めての吐血、確実なダメージ、だがサエナキは遂に我威亜に殴り飛ばされた。
サエナキは転がりながらも止まり、立ち上がる。
我威亜が近づき攻撃を加えようとした時だった。
サエナキは誰かを投げた。
そう、空だ、刀を構える空、我威亜の実力があれば防げたはずだった。
だが…。
ガシッ!!
掴んだのは桜だった。
「させません!!!」
次の瞬間横腹に強烈な一撃がはいる、ミズサの攻撃だ。
「ジャック…ポットだよ…ノア!慈佐!!」
上から衝撃波が降り注ぐ。
そして後から、理力の槍が…。
「神鎗!!」
「空気振動!衝撃波!!」
効かない、ダメージはない、だが空がそこに届くまでの時間稼ぎには十分だった。
炎が燃え盛る。
空の赤い目が光り輝き、刀身が青白く光る。
遂にその刀が振るわれた。
その攻撃は…我威亜を捕らえる…。
はずだった。
弾かれたのだ、空の攻撃は。
次の瞬間我威亜の体から理力の衝撃波がはなたれる。
全員が木や地面に叩きつけられる。
「お前らに能力を使うのは初めてだな…」
傷が回復していく…いや、まだ傷はのこっている、だが奴の力が上昇している。
「俺の能力は、体のダメージの20%を自分の身体能力強化に変換できる」
驚きを隠せなかった…、やつは今までの戦いほぼ避けなかったのは、能力のためだったのだ。
やつが拳を振り上げる。
総真は分かっていたこの一撃はヤバいと、確実に誰かが死ぬと…。
総真が立ち走り出した瞬間だった。
奇跡は終わる。
倒れたのだ…、地面に…。
立てなかった、理力切れは起こしていない。
そう身体の限界だ…。
体中の骨は折れ、疲労はたまり、空に深く斬られていた。
まず戦えること自体、生きてることさえも奇跡だった。
だが奇跡は終わった。
身体の限界がきた総真の意識はどんどん薄れ、遠のいていく。
その拳が遂に地面に当たる。
その瞬間だった。
防がれたのだその一撃は、一つの足で軽々と…。
「良くも、俺の生徒に手を出したな?」
現れたのは光る頭…校長井鷺克也だった。
同時にキュラ先生が総真の緊急処置を開始しながら状況を話す。
「いい!よく聞きなさいよ時間がないから1回だけよ。」
サエナキの治療を進めながらキュラは話始めた。
「今回の試験は中止、一応全員合格…、こんなやつがいるところで生きてるだけでも奇跡なんだから!それと!あんたらはすぐ逃げなさい、立ち向かおうとしないの、子供は大人を頼っていいんだから!貴方達はすぐに逃げなさい、サエナキくんは私が治療して連れてくから」
全員が頷きすぐに校舎へ走り出した。
「お前…名前は」
「我威亜だ」
「どこの差し金だ…」
「出馬って言えば…わかるかな?校長」
「あのバカか…よし、殺るぞ?我威亜」
「ははっこの学校のやつらは戦闘狂だけなのか!!」
こうして俺達の戦いは終わった。
我威亜との戦いは校長が受け継いだのだ。




