6話 聖女の本気
今日あまりの暑さにエアコンを付けっぱなしで寝ていました。朝起きた時、完全に腹をこわしていました。
皆さんも注意してください。寝る時暑いですが、エアコンガンガンはやめましょう。程々にしておくのが良いみたいです・・・
道中俺とミレーヌさんは、世間話に花を咲かせていた。途中から魔法の話やポーションの話になって来た。
「え!? じゃあフルポーションも出来るの!!」
「しー!! ミレーヌさん声デカイ!」
「あ、ごめん、でもフルポーションて、安くても金貨10枚はするわよ!?」
「ただ私自身実物を見たこともないし、あくまでも文献で見たやり方で作り、人体実け・・・オホン! 動物実験で文献以上の効果が見られたってだけです。だからそれが本当にフルポーションなのかとうなのかは正直言うのは解りません。
これはエクストラポーションも同じです。毒と麻痺を動物にかけて、それが治癒できたことを確認しました。だけどそれが本当にエクストラポーションなのかは解りませんね」
「でも文献通りかそれ以上の効果は動物だけど出たんでしょう?」
「それは何度も確認したので間違い無いですね。あのホーリーレイを熊にかけて、片腕を落としたんです。それが見事に再生しましたよ」
「めちゃくちゃ凄いじゃない、それ売ってくれるとしたらいくら?」
「最初の一本目はお試しでハイポーションの値段で良いですよ」
「マジで!?」
「だからしー!! 声デカイですよミレーヌさん!」
「ご、ごめん! でも本当に良いの!?」
「その代わり必ず効果を教えてください。それと瓶は返却で、それが条件です」
「勿論良いわよその位。二本目からは?」
「そうですね、効果がしっかりと確認できれば、少し儲けたいので、フルポーションはエクストラポーションと同額で、エクストラポーションは半額で良いですよ。それと必ず瓶は返却で」
「めっちゃ安いじゃない、それで利益が出るの?」
「ポーション代金て、よくよく調べたら教会の単なる儲けでしか無いんですよ。高いのはヒーラーを確保する値段だけで、材料費は実はたいしたことないんです。冒険者ギルドに依頼せず、自分で薬草調達すれば材料費なんてほぼただですし。エクストラポーション以上になると、聖魔法が必要でしょう? フルポーションになると聖女や大司祭クラスの魔力が必用になるってだけ」
「だから躍起になって聖魔法使いを探してるのね、教会も国も」
「私なんて単なる農民ですよ? それが国費で高等魔法学院に通えて、生活費も全てただ何ですから」
「え、ええ!? アリスちゃんて農民だったの!?」
「だからミレーヌさん声!!」
「あ、ごめん、てか何処かの良いとこのお嬢様かと思ったよ」
「良いとこのお嬢様が乗り合い馬車で王都まで行くわけ無いじゃないですか。まあ実は王国までの馬車代は出てるんですけど」
「何で乗り合い馬車なのよ・・・」
「ポーションの瓶代に消えました・・・」
「・・・・そんなもんよね」
「そんなもんですよ」
「瓶て高いのね」
「はい、めちゃくちゃ高いです。でも流石に普通のグラスには入れられなくて」
「そうなの!?」
「あの瓶て中身が悪くならないようにする魔法が付与されてるんです。だから何時までも置いておけるんです」
「じゃあ別の物を入れてもいたまないの?」
「魔力が隠って居る物ならばですね。ポーションて液体その物に魔力があるじゃないですか、それがポーションの瓶の魔方陣を起動させてるんです」
「じゃあポーションて中身は」
「其処いらに自生してる雑草みたいなもんですよ。高いのは瓶と利益です」
ヨモギとかドクダミ、そういうのがポーションの中身の薬草である。つまり雑草な訳だ。
その日は特にそれと言った問題は無く、次の町、オーファンへとやって来た。この町は広い王国内の交通の要所の一つであり、ハブ機能が有るために、商人達が行き来する事で、様々な物が手に入る。俺は早速ポーションの瓶を大量に購入した。
そして宿に滞在する事になり、ミレーヌさん達女性冒険者と同室と言われたのだが、俺はポーションを作りたいので実費で一人部屋を申し出た。
「別に良いわよポーション作っても、女子3人部家の方が安く付くでしょう?」
「良いんですか? それなりに作って居るときは匂いが出ますよ?」
「構わないわ、その分出来たら安く譲ってね!」
「まあ良いですけど、瓶は返却ですからね」
「わかってます!」
まあ瓶以外はただみたいなもんだし。
と言うことで、俺は早速ポーション作成にはいった。ミレーヌさんとリリーさんがガン見していたが、もう俺はポーション等目を瞑っていても作れる。
「本当に冒険者ランクが低いときの、薬草採取依頼の薬草を使うのね」
「ヨモギやドクダミ、生姜なんかですね、それにこの魔法釜が有れば、ヒールを使える者なら誰でも作れます」
「まあそのヒールを使える人が少ないんだけどね」
「でもアリスちゃんの場合は聖魔法なんでしょう? 効果は水属性何てレベルじゃないわよ」
「実際何れくらい違うんですか? 水属性のヒールって見たこと無いんですよ」
「変な話よね、私達が普段目にするヒールは水属性のヒールで、聖属性のヒール何てアリスちゃんが使うので初めて見るのに」
「そうね、わかりやすく言うなら、水属性のヒールは薬草、聖属性はハイポーション程の違いが有るわね」
「そんなに!?」
「そんなによ、だって水属性のヒールって言うのは私達の体内にある水分を使って外傷を治療するのにたいして、聖魔法と言うのは体内の魔力と元から人が持ってる治癒能力を一気に増大させるの。治りも早ければ得られる効果も絶大なのよ。だから医者は聖魔法を使える者がなるの」
つまり聖魔法てのは、細胞を活性化させたり免疫力を増大させるんだろうな。そりゃあらゆる外傷や病気を治癒出来る訳だ。
「つまりアリスちゃんの作るポーションはハイポーション以上の効果が得られるのよ」
「王都へ行ったら商業ギルド登録考えようかな?」
「絶対その方が良いわ、ポーションだけ売ってても充分暮らして行けるわよ? それに薬屋に卸すことも出来るしね」
そして翌日魔物が出たが、皆呆気なく倒してしまった。俺は3発ヒールを放っただけだ。
だが流石に更に次の日は、6回近くも魔物が出て、Cランク指定の強い魔物も出た。これは明らかに異常であり、ロベルトさんはギルドに報告する事にした。
それに俺もヒールを何度も打つ事になった。馬車の窓からお嬢さんが見てて、物凄く驚いた顔をしていたが、ここは無視を決め込む所である。
「アリスちゃんを同行させて正解だったな」
「ああ、何回か危なかったからな、ヒーラーがいて助かった」
そして翌日、遂に一般人通行禁止処置が取られる事になってしまった。ロベルトさんは事態の確認のため、朝早くからギルドへと出向いたのだ。
「何だと!? 死人が出たのか」
「はい、ローファンからこの領都までの南街道で魔物が発生し、商隊が襲われ護衛の冒険者3人が命を落としたんです」
「北街道でも複数のCランク指定の魔物と、B指定の魔物が目撃されています」
結局ロベルトさんは、ギルドの討伐依頼を受けてきた。まあ学園に行くのにこれでは入学式に間に合わなくなるから仕方ない。
「また足止めですか、でもこんなに魔物って街道に出る物なんですか?」
「そんなわけ無いだろう、護衛依頼を何度も俺達は受けてるが、普段は一回程度魔物と遭遇する事があるくらいな物だ。ここまで人の通る街道に魔物が出ることはまず無い」
「出るのも山超えの時よね。こんな平地の街道で遭遇する事何て本当に異例よ」
「それにしても困りましたね、これでは学園の入学式に間に合いませんわ」
つまりそれは、俺も間に合わないって事になる。初日にある程度他の生徒達をしめておきたいし、こりゃちょっと気合い入れて討伐でもするか。
「ロベルトさん、私も討伐には参加します」
「いや、それは有り難いが、かなり危険である事は間違いないぞ。前みたいに一体では無く、複数の魔物が確認されている」
「まあ、大丈夫です。ただし」
俺はロベルトさんに耳打ちした。
『更に高位の聖属性攻撃魔法を使うかもしれません。巻き添え食って死人が出ないように、なるべく参加者は絞ってくれませんか?』
『それ程か! どんな魔法何だ?』
『広範囲殲滅魔法です、威力は先日のホーリーレイの比ではありません』
『そ、それはやばいな、解った』
翌日、早速俺達は冒険者ギルドへと向かった。当然と言えば当然、こうなる。
「本気ですか!? ロベルトさん。いくらAランクでも、ロベルトさんのパーティーだけで北側を受け持つ何て」
「問題ない、正直Cランク以下など足手纏いだ。北側は俺達だけで充分。アリスはFランクだが、アイテム袋持ちで、回復要員なので別格だ」
「成る程、解りました、そこまで言われるなら、北側はロベルトさん達にお願いします」
上手くギルド職員をロベルトさんが言い含めてくれ、王都までの街道である北街道は俺達だけでやれる事になった。道中俺は他のメンバー達も含め、魔法の詳しい説明をする。
「つまり嬢ちゃんの周りに出来るだけ魔物を引き寄せれば良いんだな?」
「はい、出来る限りお願いします。この魔法はクールタイムが有って連発出来ません。最低でも次の発動まで30秒はかかります。ただし威力は半端では無いので、最低でも発動時は私から50メートル以上は放れてくださいね」
「くらうとどうなるの!?」
「一瞬で骨まで消滅します。ああ、魔石は残るから大丈夫ですよ。ただ素材については諦めてください。何も残りません」
「おっかな!!」
「まあ仕方ないな、魔石が残るだけよしとしよう」
俺達パーティは、魔物を目にした情報が有った場所まで移動した。魔物発見の地点にて、早速サーチを俺は使った。
「居ましたね、確かこの街道から南にそれた所に水辺が有りましたよね?」
「地図を見るわ、ええ、確かに池が有るわね」
「そこに複数の魔物が居ます」
「よし、慎重に向かうぞ、キース、斥候を頼む」
「よし来た! ゴードン」
「何処に集める?」
「あの広場が良いですね」
現地付近で早速大量の魔物と出くわした。少し開けた場所があったのでそこに魔物を誘引してもらう事になった。
少し待つと、キースさんとゴードンさんが、魔物達のヘイトを引いて走ってきた。
「嬢ちゃん!! 用意はいいか!?」
「何時でも! 魔法を使います! そこに円が書いて有りますね、その中が概ね効果範囲です。皆はその円より必ず外に出てください!!」
「解った! おら糞魔物共、こっちだ!!」
キースさんが魔物達を円の中へと引っ張る。続けてゴードンさんも魔物達を円の中に送りこんだ。
「よし! 良いぞ」
「こっちもだ!」
「よっしゃ!! 念仏でも唱えやがれ!!」
俺は念仏でも唱えやがれ!! と言う詠唱を行った。すると巨大な十字架が浮かび上がり、それにあわせて強烈に真っ白な光りの柱がそびえ立った。暫くその十字架は残り、消えたと思うとそこには魔物達の魔石が転がっていた。派手な音など一切しない。ただ目を開けていられない程の強烈な光と、そして恐ろしい程のネット、これだけだった。残されたのは、ガラス化した地面と魔石のみ。本当にそれは恐ろしい光景だった。
その魔法はセイクリッドクロス、巨大な十字架がそびえ立ち、周囲の物全てを聖なる光と熱で蒸発させる魔法だ。
そして勿論だが、本来ならホーリーレイを超える長ったらしい詠唱が必要なのだが、俺の詠唱は 念仏でも唱えやがれ! が詠唱である。最早言うまでもないと思うが、この詠唱すら本当は必要無い。
「や、やべえな、何て魔法だよ・・・・」
「本当にあれだけの魔物が一瞬で消えたわ」
「なんだよこの地面、真っ赤になって溶けてるぜ・・・」
「セイクリッドクロス、聖魔法の上位魔法です。
「上位魔法って、ならその上がまだ有るの!?」
「攻撃魔法の最上位にインディグネーションと言う魔法が有りますが、広範囲で地形を軽く変えてしまったので封印しました。ドラゴンでも相手にしない限りは、ホイホイ使えませんね」
「聖魔法って、かなりヤバイ魔法だったのね」
地球においても神が行う攻撃と言うのはそら恐ろしい物が多い。マハーバーラタのアグネアの矢なんて言うのは、その描写は最早核ミサイルとしか言いようが無い。中国の宝貝しかり、ギリシャ神話のゼウスの雷しかり。神って言うのは環境破壊なんて物はどうやら考えない様だ。
「・・・て言うかさ? 聖魔法だって絶対に詠唱いるよね?」
「まあ、だろうな」
「アリスちゃん詠唱してた? なんか気のせいか私アリスちゃん詠唱してない様に見えたんだけど」
「ん~・・・まあ、してませんね」
「「何であんな馬鹿げた魔法詠唱無しで撃てるんだよ!?」」
「あ、一応したかな?」
「念仏でも唱えやがれ! しか俺には聞こえなかった」
「一応それが詠唱です」
「「嘘つけ!!」」
実は無詠唱で何故か撃てる事を説明した。これは俺も理由がわからない。それで納得してもらうしか本当に無いのだ。
レベルアップすると、その時に使える様になった魔法が頭に浮かぶ。皆に聞くと、その時に初めて詠唱も頭に浮かんで来るらしいのだが、俺にはその詠唱は浮かんで来ない。ただ使える様になった、と言う確かな確証だけなのだ。そして実際その魔法を強めに頭に浮かべ、使う! と強く思うと発動する。
大体がその時に発してしまった言葉がそこから俺の詠唱となる。次からその言葉を紡ぐと、簡単に魔法が発動するのだ。これってつまり俺にとっての詠唱となるのだろう? 俺はそう認識している。
「でもアンデットとか相手にするなら聖魔法は最強でしょうね。アンデットには3倍のダメージが入るらしいですから」
「ならドラゴンゾンビ何かには」
「物凄いダメージが得られるでしょうね」
「聖魔法は対アンデットには最強ね」
「ドラゴンゾンビ何てSランク冒険者でも相手にしたくない魔物だぞ?」
「聖女様って本当に凄いのね」
「ですから私はまだ候補ですよ?」
「でもそれが5人も居るんでしょう?」
「私の他にあと4人居るらしいですからね、逢った事は有りませんからどの位の力が有るのかは知りません」
「だがあのホーリーレイだって凄まじい威力だったぞ。あれが下位の攻撃魔法なんだろう?」
「攻撃魔法の中では一番下の魔法ですね。だからあれなら連発出来ます」
「あんなの連発されたら堪らないわよ」
正直俺でもあれを連発されたら軽く死ねる。確かに聖女ってかなりヤバいと思う。まあだからこそ各国や教会が血眼になって探すんだろう。
そんな事を話しながら、ギルドへ報告に行き、討伐証明である魔石を提出した。Bランク指定の魔物も実は5体いたらしく、ギルド職員がビビっていた。一気に殲滅したので全く実感が湧かないが。
「全部で36体もいたのか・・・」
「無が夢中で走って来たから何体居たのかなんて数える暇無かったぜ」
「そりゃ俺も同じだ」
「実は私もBランク5体も居たなんて聞いたら今さらながら青いですよ」
「まあ報酬もたんまり貰った事だし、そこの店で打ち上げでもするか」
「お! 良いねリーダー」
とりあえず店に入り、ロベルトさんたちは昼間っから酒をかっくらっていた。俺も酒を飲みたいのだが、多分この身体では軽く死ぬだろう。やめておいた。てかマジでヤニひりてえ・・・




