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チンピラ聖女 異世界で道を極める  作者: ザコ3改
第1章 集う仲間達
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5話 常識外れなヒーラー

最近暑くて溶けそうですね、皆様水分と塩分をしっかりと取って、熱中症には充分気おつけてください。

 真っ二つになったワイルドボアを前に、俺以外の皆は呆然としてその死骸を見つめていた。そしてロベルトさんがようやく我にかえり


「な!? ・・・あ、い、今のは何だ」


「真っ二つになってやがるぜ!!」


「今の魔法かよ!?」


「あ、アリスちゃん、今のは何?」


「魔法ですよ、ホーリーレイって言う魔法です」


「ホーリーレイですって!? 超高位の聖魔法じゃない! アリスちゃん、貴女聖女様なの!?」


「その候補です。これから学園に入学するんですよ、だから先を急ぎたくて討伐に参加したんです」


「じゃあつまり、ヒールも水属性じゃなくて」


「聖属性のヒールですね」


「てことはめちゃくちゃ高い金払ってやっと受けられる高位のヒールを俺はかけて貰ったのか! てか何で聖女候補なんてお人が冒険者やってるんだ!?」


「素材集めですね、私趣味で薬も作ってるんで」


「このポーションか」


「そうです、ポーションは幾らでも作れるんですけど、瓶て凄く高いんですよ」


「いや、このポーション売れば瓶代くらい直ぐにでるだろ?」


「ポーション売るのって商業ギルドに登録したり、他にも色々と面倒くさい手続きが必要なんですよ」


「なら俺に売ってくれよ!」


「俺も!! 聖魔法で作ったポーションなんて、ハイポーション以上の値段だぞ!!」


「普通のポーション代で良いですよ」


「マジか!?」


「ちょっと待って、今そこじゃないでしょ? 聖女候補でこれから学園に行くアリスちゃんが、何故こんな超高位な聖魔法が使えるのよ!?」


「は! そうだ。言われて見れば、これから学園に行くんだろ?」


 めんどくさい事になったな・・・

 

「それは、私って元々物凄いひ弱何ですよ。ちょっと歩くだけで息切れして、成長も遅いしすぐに病気になるし。だから何とか体質改善出来ないか沢山勉強して、色々ポーション作りに励んでたんですよね。

毎日何百回と魔法使って。そしたら魔法レベルがどんどん上がって、いつの間にか使えるようになってました」


「毎日何百回って、普通死ぬでしょ!?」


「魔力過多症候群ね」


「は? 何だよそれ」


 俺も初見だぜ、魔力過多症候群、こりゃ調べねえとな。


「凄く稀な病気よ。魔力量が多すぎて、とても身体が脆弱になるの。取った栄養の殆どは魔力に還元されてしまい、身体の構築にまで栄養が生き届かないのよ。発症すると殆どの者がその魔力量に耐えられなくて幼い頃に死んでしまうわ。」


 マジかよ!? そんな病気あったのか。


「じゃあアリスちゃんは」


「聖女候補と言うのがアリスちゃんを救ったのね。ポーション作りに励んだ事により、その大量の魔力を使い続けたからこそ助かったんだわ」


「なるほど、ならアリスちゃんはこれからもその魔力を使い続けなきゃならんのか・・・」


「個人差によるけど、魔力過多症候群は成人すれば身体能力が上がる事により、抑える事が出来るようになるらしいわ。それでも何処かで人より多く魔力を使う必要があるけど、だから後数年間頑張れば大丈夫だと思うわ」


「ならあたしも!! あたしもポーション買うわ」


「だな、これからも沢山売って貰おう。どうせ無きゃ困る物だしな」


「ありがとう御座います」


 たくあのくそ女神、ろくな事しやがらねえ。てかこれ最初からこうなる様にしやがっただろ。


 大量のポーションが全部冒険者達に売れた。これはラッキー。個人売買と言う手があったか。こりゃたまには冒険者活動もする必要があるな。

 しかし魔力過多症候群か、胃液過多みたいなものか? まあ俺の底なしの魔力がこのひ弱な身体の原因である事が解ったのは儲けものだ。


 そして翌日には街道が通れるようになった。再び勧誘の嵐を食らったが、学園卒業したら考えると言っておいた。元々俺は冒険者に成りたいのだから。傭兵って手もあるが、誰かに指図されて闘うってのは性に合わねえ。てか命令されるのは気に入らねえ。その点冒険者には自由が有る。


 しかし聖属性魔法の攻撃魔法ってめちゃくちゃ強いんだな、いくら何でもあんな糞デカイ猪を一瞬で真っ二つに出来るとは思わなかった。

 実際聖魔法の攻撃手段は非常に少ないが、それでも是だけ強いと気にならなくなる。


 聖魔法の攻撃魔法は三種類しか今の所無い。レベル10になれば増えるのかもしれないが、7の時点ではホーリーレイ、セイクリッドクロス、インディグネーションと言う三種類しか無く、さっきのホーリーレイはレベル5で覚えられた一番弱い攻撃魔法だ。だから舐めていて、あまり検証もしてなかった。逆にインディグネーションを覚えた時に試しに使ってみたが、地面に超巨大なクレーターを作ったのでそれ以来使うのをやめた。全然実用的では無い、あれは広範囲殲滅魔法だ。

 その点このホーリーレイは局所攻撃が可能だ。威力もこれだけ有れば言う事は無い。



 ようやくフェンの町に着いた頃には、辺りが少し暗くなって居たので、今日はフェンで一泊する事にした。

 これで解ったのだが、この世界は地球で言うところの中世初期程度の文化レベルしかない。だが魔法が使える事によって、あまり不便さは感じられない。

 明かりだって魔道具でどうとでもなる。問題なのは、その魔道具がえらく値がはる事だ。俺の様な田舎の百姓程度では、とてもでは無いが本来手が出ない品物だ。家だって明かりの魔道具が手に入ったのは、人身売買組織壊滅の礼金が入ってからだ。それまでは朝日と共に起き、日没と共に寝ると言う、非常に健康的な暮らしをしていたのである。


 フェンの街ではまず冒険者ギルドに行き、街に入った届け出をした。基本的にこの届け出は任意でする物だが、冒険者は皆これをしておく。理由は単純で、届け出をしておけば依頼を受けられるし、緊急依頼に声もかかる。この緊急依頼は非常に単価も高く、通常依頼の倍になる時もある。その後冒険者ギルドで宿の紹介もしてもらった。



「すみません、一泊したいんですけど、部家は開いてますか?」


「開いてるよ、食事はどうするね?」


「お願いします」


「一泊食事も含めて12リグだね」


「じゃあこれで」


「直ぐに食事にするから荷物を置いておいで。これは部家の鍵だよ」



 この世界、兎に角嫌なのが、風呂が無い事だ。田舎では川で水浴びが一般的だが、普段は桶に水を張って体を拭く。

 アニメやゲームのような生活魔法等と言う物は存在しない。灯りはどこも蝋燭だし、水は井戸に行って汲む。灯りの魔道具は高くて安宿は何処もまだ蝋燭を使っているようだ。


 一番嫌なのがトイレだ。男なら立ちションや場合によっては野糞でもどうにか成るし、事実この世界にはそう言った輩も頻繁に目にする。


 だが女ではそうは行かない、下手をすれば直ぐに強姦される。トイレと言うのは仕切られた個室に箱があり、そこに用を足して箱が溜まったら捨てると言う感じの物だ。更にトイレペーパーなんて物が有るわけ無いので、水桶の水で洗い、その後は布でふく。男女も共用である。覗きなんて日常茶飯事だ。過去俺を覗いた奴は、素っ裸にして目立つ木に吊るした事も有る。隙間だらけの個室は覗き放題だ。エロガキに何度も覗かれ、体力がついてからは何度も鉄拳制裁を行っている。鉄拳制裁なのだがエロガキにはその程度では効き目が無い。痛みを忘れると直ぐに性欲が勝利する。

 だが流石にガキは吊るしていない、木に吊るしたのはロリおっさんだ。村にどうしょうもないロリコンのおっさんが居て、俺は体力がない頃何時もカモにされていた。隙間から手を伸ばされ用を足している時にケツを撫でられた事も有る。その仕返しが吊るし事件だった。ボコボコに気絶するまで殴り倒し、その後素っ裸にして木に吊るした訳だ。まったくこの世界はそこらが不便で仕方ない。


 まあ灯りに関しては、奥の手は無いことも無い。どうしても明かりが欲しければ、魔法が使えるなら魔力を高速循環させる。すると体が光る。手に集中させると手が強く光る。これが奥の手だ。



 一息ついて宿の食堂に居くと、聞き慣れた声に、声をかけられた。


「よう! アリスちゃん」


「ん? あ、キースさん」


「ヤマが当たったぜ、絶対この宿に来るだろうと思っててよ」


「え? 私に何か用が有ったんですか?」


「ああ、今パーティー皆で宿を回って嬢ちゃんを探してる所だよ」


「そうなんですか」


「実はよ、あの後俺達急遽王都まで行く護衛依頼を受けたんだ。嬢ちゃん王都の学園に行くって言ってたろう? どうだ、俺達に雇われねえか?」


「成る程、どうせ王都に行くんですし、有りですね。どんな依頼何ですか?」


「依頼者はこのバロック伯爵領内の純男爵で、ホルスト男爵だ。お嬢ちゃんと同じく娘が今年から学園に通うようでな、その護衛依頼だ」


「ん~・・・じゃあ一つだけ条件付きで受けさせてください」


「条件? 何だそれは」


「その娘さんに私が学園に通うことを伏せてください」


「ま、まあ良いが、嬢ちゃん入学前に友達が出来て喜ぶだろうと思ったんだけどな?」


「学園に行けば何れバレるだろうけど、変に懐かれても面倒くさいんで、とりあえず今は内緒でお願いします」


「まあそう言う事なら解った。なら明日は早朝6時に出発だ。北門の前で6時に待ち合わせしよう」


「解りました、北門の前で6時ですね。」


 村とは違い、街には必ず時計塔がある。朝は6時から、夜は8時まで、1時間毎に時をチャイムで教えてくれる。20時以降翌5時の間は皆が就寝するので鳴らす必要も無いし、逆にうるせえから鳴らさない様だ。

 飯を食った後、夜俺は部家でポーション作成を行った。全部売ってしまったので、一先ず今空き瓶のある20本分だ。

 このポーションは俺の唯一の資金源だ。親父からある程度小遣いは貰ったが、そんなもんはポーションの瓶購入で全て吹っ飛んだ。おっさんからのカツアゲ金はまだ残っているが、それは出来るだけ手を付けない様にしている。手を付ければ俺の事だ、一瞬で無くなるからだ。



 翌朝俺は早速ロベルトさんのパーティーと合流した。


「お嬢さん、此方は冒険者のアリス、フェンから護衛に同行します。若いがヒーラーで、先日の街道魔物討伐にも混ざり、大変な活躍をしたんだよ」


「まあそうですか、よろしくお願いしますね、アリス」


「はあ、よろしくお願いします」


「アリス、此方は依頼人の娘さんで、セリーヌホルストお嬢様だ。後俺達も改めて自己紹介しておこう。俺はこの冒険者パーティーのリーダーで、Aランク冒険者のロベルトだ。獲物はこれだ」


 腰の剣を触った、剣士だ。


「俺は斥候役のキース、ナイフ専門だな」


「俺はゴードン、盾役だ」


「私はミレーヌ、弓を使うわね」


「私はリリーよ、火と土属性を使うデュアルマジシャンね」


「アリスです、能力は先日の通りです」


「よし、アリスはミレーヌの後ろに乗れ」


 馬に乗るのは初めてだな、楽しそうだ。




 



聖魔法の名前には随分と悩みました。特に攻撃魔法に関しては、あまり参考になる物がなく、様々な魔法名を組み合わせたりしました。

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