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幕間 帝国の学園

 現在のタルタリー帝国領、北東に位置する小さな漁村。そこは古くからその地に居住している者以外は、一切移り住む事が許されない村となっていた。その漁村の名は、始まりの村、アリスフィーネ村。


 何故この村が始まりの村と言われるのか、それは、タルタリー帝国がこの村から始まったからだ。

 現在から約1万2千年前、この地に住んでいた、タルタリー帝国初代皇帝ランスロットとその子供達は、妻であるフィーネを殺された事で、その国を滅ぼしてしまった。そこからこのタルタリー帝国の歴史が始まる。


 帝国にはナイトオブラウンズと言う、皇帝直属の最強の騎士達がいる事は、帝国に住む者なら誰もが知っている。

 だがいる事は解っていても、実際それが誰なのか、その姿を見たものは誰も居なかった。ラウンズ達は全部で12人いる。そしてそのラウンズには、代々の皇帝が名乗る名前、ランスロットタルタリーがいる。つまり皇帝自信がラウンズに含まれているのだ。


 これが言わば都市伝説的に語られている昔話を事実だと裏付ける物の一つとして語る者が多くいる。


 タルタリー帝国の真の支配者は、皇妃である。


 これが帝国に今でも伝わる都市伝説として語られる物である。そしてこの都市伝説が真実であるとする、多くの歴史学者達が裏付ける物が2つある。一つがランスロットタルタリーがナイトオブワンで有ること。そしてもう一つが、カリキュオンは代々皇妃から時期皇妃へと受け継がれ、これこそが帝国の支配者たる証なのだと言う。

 もう一つ、歴史学者達は人族の国では多種族関同士で共存している事も理由であると考えている。あの聖女伝説が未だに教義となっているフォルテシアでさへ、種族関同士で差別や偏見があるが、帝国では一切それが無い事を上げる。何故なら初代皇帝の虐殺された妻が、種族関家なく誰もが幸せに暮らせる国家を望み、それが帝国の法の根幹となっている事を上げる。実際帝国の法は、種族関家なく、誰もが平等で有ることが記されていた。タルタリー帝国では、種族間での上下は無く、どの種族であっても法を遵守する事が求められている。


 そしてこの代々皇妃が受け継ぐカリキュオンこそが、ナイトオブラウンズ達の長で有ることの証なのだと多くの歴史学者達が言う。


 だが如何に歴史学者達がそう言おうと、誰もがこの話しを都市伝説として扱って来た。その理由は幾つかある。

 先ずこの世界では、基本何処の国でも男尊女卑で有ること。これは帝国とて例外では無い。もし帝国の真の支配者が皇妃であるなら、男尊女卑にはならないだろうと言うのだ。

 そしてもう一つ、確かに皇帝はナイトオブワンとなるのだが、他のラウンズを誰も見たことが無い。恐らくこれは、ナイトオブラウンズと言う帝国の歴史に偉大なる功績を残した者達が、未だにいると言う権威付けの為に、その名前が残されているだけだと言うのが一般的な見方となっていた。


 そして始まりの村アリスフィーネ、この名前がそこに住んでいた初代皇帝の妻の名で有ることは、誰もが帝国にある全ての学校で等しく習う。





 帝国屈指の名門校、帝都フィーネにあるアリスフィーネ学園。奇しくも始まりの村と同じ名前の学園、そこには帝国全土から名門貴族の子供達が学びに来る。だがこの学園にも初代皇帝の妻の意向が反映されていた。この学園には貴族枠と一般枠が設けられており、一般人であろうと学力が有れば、誰でも入学する事が出来る。この一般枠は貴族枠より多く割り振られており、一般人にも広く汎ゆる門戸が開かれているのも帝国の特長であった。


 確かにタルタリー帝国は軍事国家であり、そして侵略国でもある。だがこのタルタリー帝国の属国となってしまった国家の国民達は、それを実は喜んでいた。何故なら属国はタルタリー帝国の法で運営される事を強制される。それは国民達にとって、今までより楽な暮らしが出来るからだ。そして帝国臣民と属国民との差別は帝国には無い。属国民でも臣民と同様の権利がもたらせれる。そしてアリスフィーネ学園を優秀な成績で卒業すれば、帝国官僚となるチャンスまでもか属国民にも与えられていた。つまり帝国臣民となる事が出来るのだ。





 アリスフィーネ学園に一般枠で入学した、タルタリー帝国属国であるオルタナ王国、その下級貴族の子女であるアリサは、同じく一般枠で入学した帝国臣民であり、友人となったメリルと喫茶店で帝国の歴史について話していた。何故ならもう直ぐ帝国の歴史の試験があるからだ。


「カリキュオンが皇妃から皇妃へと受け継がれるのは本当よ、それは全ての初等学校で習うわ」


「そのカリキュオンが、帝国ナイトオブラウンズの長である証って言うのは?」


「それは眉唾ね、マーメイドキャッスルだってそこについては否定も肯定もしていないわ。だからそこは試験には出てこないと思うわ」


「否定もして無いって事は」


「だから歴史学者達がそんな変な事を言うのよ。大体ナイトオブラウンズ事態現在確認されてるのは皇帝陛下だけなのよ? 全部で12人居るらしいけど、たった一人だけしか今は居ないんだから」


「ねえ? でも皇帝陛下がナイトオブラウンズの一人って事は、もう一つの噂の皇妃が帝国の真の支配者だって言うのは」


「そこもマーメイドキャッスルは否定も肯定もしてないけど、大方の見方は多分そうだってのが、主流ね。そもそもここは覚えておかなきゃいけない事なのよ。帝国は初代皇帝ランスロットタルタリーの妻が望んだ世界だって事」


「え? それの何処が」


「えとね、順を追って話すけど、そもそも初代皇帝って言うのは、帝国が出来る前に始まりの村一帯にあったライラック王国の1騎士だったの。そして初代皇帝の妻は凄く美しい女性だったらしいわ。その人がライラックの奴隷商に連れ去られた、そして衰弱した奥様は、死んでしまったのよ。まあそれ以外にもここは習わないんだけどね、専らの噂では、衰弱した原因って言うのが・・・まあ色々あったらしいわ」


「・・・・何となく解った、凄く綺麗な人だったのよね」


「そう、それで激怒した初代皇帝は息子達と共に、ライラックを滅ぼしたの。その皇帝と息子達が初代のナイトオブラウンズ」


「そんなに子供がいたんだ」


「それが違うのよ、その子達は当時ライラックの敵国だった、イライアスの少年兵達なの。口減らしに捨てられたその子達を奥様が育ててたの。だからその子達も大切な母がわりを殺された事で、激怒した。そこからナイトオブラウンズ達の伝説が始まるの」


「あ! つまりその奥様が望んだ世界が」


「種族関係無く、誰もが幸せに過ごせる世界。つまり初代皇帝とナイトオブラウンズ達は、その世界を作る為に戦い続けたの」


「だから真の支配者は皇妃なのね?」


「それが専らの見方なのよ、でもこれも今の所都市伝説よ。マーメイドキャッスルは否定もしてないし、肯定もしていないわ」


「何でそんな事をハッキリ言わないの? とても素敵な話しじゃない」


「現実離れし過ぎているからでしょう? だってたった12人で一国を滅ぼせると思う?」


「無理かも・・・・」


「でしょう? でも正史にはそうなっているのよね」


「でもさ、初代皇帝が元々ライラックの騎士だったってのは事実何でしょ?」


「ええ、公式な当時の文書も残されているわ」


「そしてそれを滅ぼしたのは、初代皇帝陛下なんでしょう?」


「それも間違い無いわ。ただそれをやったのが12人てところが現実味なさすぎるのよ」


「ねえ、現在ナイトオブラウンズは、公式には居ることになってるんでしょう?」


「なっているわ、ここは多分試験に出てくるから絶対覚えた方が良いわよ。先ずナイトオブワン、これは皇帝陛下、ナイトオブツー アーサーペンドラゴン閣下、この方は公式に大将軍となっているわ」


「実在してるの?」


「している事になっているって言い方の方が正しいわね」


「つまり、誰も見たことが無い」


「そう。そしてナイトオブスリーがガウェイン卿、この方は将軍ね。次にナイトオブフォー、トリスタン卿、同じく将軍。

 ナイトオブワンのランスロット陛下、そしてガウェイン卿、トリスタン卿、この3人が最強のナイトオブラウンズと言われているわ」


「最強? アーサー様は?」


「アーサー閣下はナイトオブラウンズの頭脳なの、つまり副隊長みたいな物ね」


「じゃあ最強って言うのは」


「個人の強さよ、少なくともこの4人のラウンズは絶対に試験に出てくると思う」


「でもいる事になっているって事は、実際には誰も見ていないんでしょう? 何故強さが解るの?」


「えとね、ナイトオブラウンズが最後に公式の場に出てきて居るのは、ラウズバック帝国を滅ぼした時なのよ」


「んな!? つい最近じゃない!」


「そう、130年前よ。その時に実際トリスタン卿とガウェイン卿、そのたった2人だけで、あのラウズバック帝国の魔道士部隊を壊滅させているの」


「ラウズバック帝国の魔道士部隊って、歴史上に何度も出てきている凄く強い部隊じゃない、それをたった2人だけで!?」


「そう、それはタルタリー帝国の文献にも、ラウズバック帝国の文献にも、公式に残されているわ。だから化け物揃いなのよ、ナイトオブラウンズって」


「あ! 解った、初代ラウンズは一万年前、そして最後に公式に登場したのが130年前。つまり」


「皇帝陛下と同じ様に、代々その名前が受継がれているのよ。つまり受け継がれるって事は」


「伝説に違わぬ強さをも身につけているって事なのよね・・・・」


「ナイトオブラウンズが伝説になって居るのは、それだけの功績を何代にも渡って数多く残しているからよ。だから存在を仄めかすだけで、各国は恐れるの。本当にたった2人で魔道士部隊を壊滅させたのかは、色々と言われているわ。でも、双方の文献に残されているんじゃ、誰も否定は出きないでしょ?」


「そうね、確かにそれが事実なら、たった一人で小さな王国何て滅ばされてしまう。オルタナ王国が戦いもしないで早々に降伏して属国になったのも正確なのね」


「正確かどうかは解らないけど、この国って代々の皇妃様になるには、皆初代皇妃様と同じ思想を持っていることが条件なのよ。だからどんな種族の人でも暮らし安い事は確かよ」


「そうなの!? 種族関係無くって言うやつ」


「そう、どの種族にも分け隔て無く接する事が出来る、それがタルタリー帝国皇妃となる絶対条件よ。だからアリサ、貴女だって皇妃様になる事が出来たりするのよ?」


「へ!?? だ、だって私、属国の下級貴族よ?」


「だからそれが関係ないの、代々の皇妃様には一般人だっていたし、属国の下級貴族だっていたんだから」


「そこまで徹底してるんだ!?」


「その辺りで驚いてて大丈夫? 試験もう間近よ? 帝国貴族ってのは、そもそも他の国の貴族と大きく違う所が有るのよ。帝国貴族は国に暮らす臣民を汎ゆる事から守る為に存在するの。威張り散らして臣民を苦しめていたら、それこそナイトオブラウンズの粛清対象になっちゃうんだから。これは属国貴族達も同じよ? アリサの実家大丈夫?」


「だ、大丈夫だと思う・・・そんな事をお父様して無い筈・・・」


 アリサは寮に戻り、直ぐに実家へ手紙を出した。














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