44話 卒業
アリス達は遂に学園を卒業となった。アリスも遂に今年で15才となる。
生憎胸は絶壁とまでは言わないが、地獄の貧乳で有ることは間違いない。だが全身のフォルムは女性らしく、そして何より誰が見ても幼さは残るが超絶美少女と言っても良い。
髪型はようやくストレートロングに纏まった。暫くお世話になった縦ドリルからはどうにか抜け出すことが出来た。
問題はゴスロリドレスである。どう言う訳かエスメロードが付与魔法をかけると、成長に合わせて服が伸び縮みするらしく、未だにアリスもエリザベートも服だけは変わらない。
エリザベートは禍々しい魔王ドレスであり、アリスはピンクのロリータドレスである。
二人とも既に諦めているのだが、エリザベートが唯一気に入らないのが、悪の権化であるアリスが可愛らしいドレスで、自分が何故邪悪なドレス姿なのかと言う部分だ。 ベビーメタルも真っ青な邪悪さである。
アリスのドレスはエリザベートが作ったのに、全く勝手な事である。
結局二人とも学園生活での半分以上折角ある制服には袖を通すことが出来ずじまいだった。
そして遂に、エリザベートをリーダーとする、フォルテシアの聖女パーティーの一つが旅立つ時が来たのである。
そしてもう一つの謎だったアリスとエリザベート以外の二人の聖女、その一人がようやく判明したのだった。
何故残り二人の聖女が姿を見せなかったのか、その理由が教会の存在だった。教会は聖女認定した二人が自ら影響の及ぼせる範囲にいた事で、王国にその存在を隠していたのだ。
だがその内の一人が二年前に発覚した。何よりそれはアリスの影響であった。
二年前、アリスは一人のシスター見習いを悪の道に誘い込み、シスター見習いはそれにより尻叩きの刑に処された。
そのシスター見習いは、あまりの尻の痛さに隠れて聖魔法による回復魔法を自らの尻に施していた。そこをアリスに見られてしまい、アリスが
「聖魔法の回復魔法が出来るなら、何で御守りに破邪魔法かけるの手伝わねえんだ!!」
と大声で怒ってるのを更にセシリーに見つかってしまい、あえなく聖女候補であることがバレてしまったのである。
そう、もう一人の聖女候補はカノンであった。アリスほどではないが、中々の邪悪な聖女候補である。
アリスはそこまで頭が回らなかったのだが、幼くして聖魔法が使えて、貴族でもない者が学園に通うと言うのは、聖女候補でほぼ間違いない。
当然だがセシリーに見つかった時点で正体はばれたも同然であった。
だがカノンもあと一人の聖女候補は知らないと言う。結局卒業まで残り一人の聖女候補は解らずじまいであった。
だがエリザベート達にはほぼそれは関係が無かった。真の聖女はアストライアの生まれ変わりであるアリスで間違いなかったからだ。
王国としては真の聖女以外に用は無い。教会がいくら頑張ろうが、その身に宿す神聖力は、いかれた程アリスは膨大な量を宿していた。
その神聖魔力は、魔力総量にすると、限りなくエスメロードに近い量が有った。神聖力をこれ程持つ者は、歴代の聖女でも居ない。アリスが唯一の存在となった。
エリザベートもエスメロードの指導により、かなり神聖力は上がったが、アストライア程の量は無い。それでも聖女と言っても差し支え無いレベルだ。
だがそれだけではない。アリス達の聖女パーティーのメンバーが恐ろしい程の力を身につけていた。
セシリーは歴代最強魔法使いであるエスメロードに限りなく近い魔力量を誇り、エスメロードが得意とした炎熱魔法最上位の、フレアバーストを習得するに至った。人族としては、恐らく歴代最強魔法使いとなっただろう。
そしてセリーヌは、水魔法を最上級まで取得し、更にSMGの扱い方を現代兵士並に扱えるようになっていた。最早分解から再組立までの時間は物の一分足らずで終えてしまう。
そしてセミオートやバースト時の命中率が半端では無い。現代人知識を持つアリスよりも、遙かに高い命中率を誇る。
試しにと、スナイパーライフルを作ってやらせてみたら、600メートルの距離を一撃でヘッドショットして見せた。
これでセリーヌの後方支援役が決まり、更にスナイパーの役割も担わせる事になった。
そしてギルバートはと言うと、斥候専門となり、アサルトライフルを持たせる事にした。
ギルバートの能力は剣士なのだが、ギルは面制圧も得意だった。
アリスがアサルトライフルでの面制圧のやり方をギルとコレンに教えたが、ギルはたった数回の訓練でそれをこなして見せた。
アリスが教えたやり方は
ペアでの火力ゾーンの構築、障害物を使った進撃の仕方、マズルコントロールだ。
火力ゾーンの構築とは、進行方向にフルオートで連射し、敵の行動をある程度コントロールする。
進撃の仕方は、片方が火力ゾーンを構築してる間にもう片方が障害物の有るところまで移動し、その役割を交代しながら前進する方法だ。
マズルコントロールとは、銃口の安全コントロールであり、銃を持つ上での基本ルールである。
進撃中にフレンドリーファイア等絶対にあってはならない。
これでアリスとギルで敵の面制圧が出来る。つまり、アリスとギルで突撃が可能となる訳だ。
コレンは大盾持ちなのだが、その持ち前の巨体と怪力で、何とHMGを片手で持ち上げそれを片手でホールドし、盾を持ちながらぶっ放して見せた。
アリスはそれにビックリしたのだが、思わずブローニングM1917擬きを作り、それをコレンに持たせることにした。大盾で敵の攻撃を防ぎながら、HMGをひたすらぶっ放す。これぞ男のロマンである。
そしてセシリーには色々と持たせたのだが、やはりセシリーは巨大火力担当と言うことで、結局リボルバー式のグレネードランチャーに落ち着いた。
流石のアリスもロケットランチャーまでは作れなかったのだ。
エリザベートはと言うと、銃への素質が壊滅的に無かった。お前は牧村香か!!
と言いたくなるほどの下手くそだった。試しにと、アサルトライフルを持たせてみたのだが、フルオートフレンドリーファイアをやらかしてくれたので、アリスはエリザベートへ銃を渡すのをやめた。結局エリザベートが持つ武器は、単なる魔力を上げるだけのロッドであった。
旅立ちのその日、アリス達はエスメロードから呼ばれた。
「さて、お主達はこれからレベル上げの旅に出る。だが真の目的は、復活が予想されているルシフェルを討伐する事じゃ。しかし今のお主達ではどう足掻いてもルシフェルには勝てん」
「師匠、そこが一つどうしても解らない事なんです」
「言うてみい、エリザベート」
「師匠はアリスはアストライア様を既に越えたとおっしゃいました」
「うむ、言うたな、確かにアリスの神聖力はアストライアを越えた、それは間違い無い」
「では何故勝てないのでしょうか? アストライア様はルシフェルを倒しています。そのアストライア様を越えたアリスが何故?」
「ふむ、アリス、お前はその理由が解るか」
「・・・・レベルってのは、多分だけど、戦闘に関するあらゆる物だと思います。簡単に言うと、経験、それが俺には圧倒的にまだ足りない」
「よう言うた、その通りじゃ。良いか、これは全員よう頭の中に入れておけ。ルシフェルを倒すには、圧倒的な神聖力、それが必要なのは間違い無い。つまりアリスとエリザベートがどれだけその神聖力をルシフェルにぶつける事が出来るのか、それが勝つ為の絶対条件じゃ。
しかしのう、その莫大な神聖力も、ルシフェルにそれをぶつけられなければ話しにならん。
良いか、相手はただつっ立って居る木偶の坊では無い。あちらも必死に反撃してくる。
アストライアにあって今のアリスには無いもの、それは戦闘においての技術、駆け引き、戦略、戦術、其れ等全てがアリスはアストライアに著しく劣っておる。こればかりは教えられて身に着く様な物では無い。生死をかけた極限の戦いの中でこそ身に着く物じゃ。
ランスロット坊や達ラウンズが何故強いのか、それは一万年以上もその様な極限の戦闘を繰り返して来た経験があるからじゃ。これだけ膨大な魔力が有る妾でも、ラウンズには勝てん。それがエリザベート、お主の問うた答えよ」
「つまり、この旅で私達はその経験を積まなければならない」
「そうじゃ、あらゆる地で魔物と戦闘し、あらゆる地の冒険者ギルドで様々な依頼をこなすか良い。戦闘ばかりが経験値では無い。どんな些細な依頼でも、それは等しくお主達の経験値となる」
「戦闘以外でも、ですか?」
「そうじゃ、経験とは人が強く生きて行く為の試練と考えるが良い。そしてその生き抜く為の経験は、汎ゆる面での強さに変わる。物事をやり抜く為の強さ、諦めない心の強さ。どうじゃ? 何れもルシフェルを倒す為に必要な強さだとは思わぬか」
何となく師匠の言う事が必要な事だと俺には理解出来た。面倒くさいが仕方無い。
そして俺達は旅立った。俺達パーティと、アスラン達、そしてランスロット様やベディビィア、ガレス、トリスタン、モルドレッドが同行する。どんな旅になるのか解らない、だが俺は絶対にルシフェルを倒す。そう自分に言い聞かせた。




