42話 懐石料理
ダダダダダ!
俺達はそれを見ながら唖然としていた。正直作った俺ですら、こりゃやり過ぎたとビビってしまっていた。
「ねえ、ちょっとこれ・・・・」
「いや、ちょっと何処じゃないよ」
俺達パーティはギルドからの依頼を受けながら、作った武器の検証をしていた。そしてセリーヌに作ったSMGの検証をしていたのだ。
俺が作った魔道銃は、魔法自体を圧縮し、それを弾丸にして放つ。そして水魔法にはヒールがある。水魔法のヒールは体内の血液中にある水分に働きかけて傷を塞ぐ。
つまり物理的な身体のある者に対しては、それを攻撃手段として用いる事も可能になる。身体の水分を凍らせたり、逆に沸騰させる事も可能だ。だがそれには相手に直接触れなければならない。だからこれを攻撃手段として用いる水魔法使いは居ない。魔道士が相手とゼロ距離で戦うなど、自殺願望でも無ければ普通出来ないからだ。
俺はそこに目を付けた。もしその魔法を弾丸として放てば、それこそ物理的に身体のある相手ならば、最強クラスの魔法攻撃となるのではないか。
まさにアリスが考えた通りの結果となった。なったのだが・・・・・
「これはヤバいな、ちょっとヤバすぎるよ」
「万が一私達がこの弾に触れたら同じ末路になるわね」
「・・・・・・多分」
「これはちょっと使い所を考えないといけませんね」
「極悪ロッド・・・・」
このコレンがボソッと呟いた名前が、このマシンガンの名前となった。その名の通り、弾丸が撃ち込まれた魔物は、直後全身から血飛沫を噴き出し、干からびてしまった。本当に全体がだ。それはもうミイラの様になった。
まあ一通り武器は作った。あとはコレンの大盾を作れば卒業と同時に旅に出る事が出来る。俺は早速コレンの大盾に使う材料を仕入れにセリーヌと町に買い出しに行った。
「ねえアリス、あの娘」
セリーヌが指差した先には、以前俺達がブルセラショップをやっていた時に、雇ったガキがいた。ロリ好きな貴族達の為に、モデルとして雇った幼女だった。
「おお、久しぶりだな」
「あ、アリスお姉ちゃん、セリーヌお姉ちゃん」
「何をやっているんですか?」
その娘はいきなり下を向いた。
「そんな所に突っ立ってたって客の食べ残しなんてねえぞ!!」
いきなり屋台の親父がその娘に怒鳴り出した。
「食べ残し? お前まさか」
確かコイツラは町に居る、所謂貧民街のガキ共だ。あの頃はパンツの売り上げでそれなりに金はやれたのだが。
詳しく話しを聞くと、元々コイツラは町の下水掃除とか、ゴミ拾い何かで日々の稼ぎを得ていた。だが突然数日前に、その予算が打ち切られてしまったらしい。下水にスライムを放つ事で、勝手にスライムがそれを食ってくれる事が解り、それを新しく王都の代官となった者が、貧民街の住人に渡す給金が勿体ないからと、それに代えてしまった。
ゴミ拾いに関しても大体理由は同じだ。やはり貧民街に渡す給金をケチり、逆にゴミを捨てる者達から罰金を取る形にし、そこから収益を出す形にしてしまったのだ。
だが俺はそこに、何か変な匂いがした。何と言うか、俺と同じ類の人種の匂いがしたのだ。同じ悪人だから解ると言うか、何かそう言う匂いがしたのである。
「何とも言えないわね、やってる事は多分間違いじゃないのでしょうけど」
「確かにそうだけど、俺は何かちょっと別な匂いがするな」
「別な匂いって、どう言う?」
「まあ少し俺独自で調べてみるよ」
「この子達はどうするの?」
一度は一緒に仕事をした仲間だ、見捨てるのはどうにも・・・・
「お前等、これ渡すから、無駄遣いするなよ。少しずつ使え。お前らにも俺が仕事を作ってやる」
「本当? お姉ちゃん」
「ああ、任せとけ」
俺は今持っている金をガキ共に全て渡した。セリーヌも同じ様に、金をガキ共に渡していた。そう言えば、ライオネット様から天麩羅とか、和食の料理を出す店も作って欲しいと言われてた。それで何とかしようかなと俺は考えた。
いや、ちょっと待てよ? 懐石料理って言ったら、相手は貴族達だよな・・・・
アリスはまたろくでもない考えを・・・・・
だが、今は調べるのが先だ。アリスは先ずエザリアの所に話しを聞きに行った。
「どうしたの? アリスちゃん。ポーションは先日納品してもらったばかりよ?」
「今日は別件何ですよ」
「ほう? 何か面白そうな事?」
「はい、面白そうな事を見つけちゃって」
俺は新しい代官の事を先ずギルマスに聞き、そして下水の事やゴミ拾いの事を放した。
「それの何処が変なの? 貧民街の子には大変だろうけど、それはそれで悪い事ではないと思うわ」
「それがちゃんと上に報告されてればですね。でも、俺にはそれが何やらプンプン臭うんですよ。凄く俺と同類の匂いが」
「え? 臭う・・・」
「だって考えてみてくさい。貧民街のガキ共はこの王都だけでも千人近くいるんです、それに渡す給金、貧民街の纏め役やら、町長やら、様々な所が中抜きしてやっと日々暮らせる程度の金が貧民街に入るんです。中抜きの分を合わせれば、それだけでも結構な金になる筈ですよね。じゃあその浮いた金は何処に回ったんですかね? 予算を減らした? そんな事を代官がするわけねえ。少しでも多く予算を申告する筈」
「確かに、何だかんだ理由付けて予算を引っ張るのが代官の仕事よね・・・て、まさか!?」
「浮いた金は何処かに使われてないといけません、でもね? 何処か大幅に変わった所って有りますか? 俺も町にはよく出るけど、そんな話しは聞きませんよ」
「調べて見る価値はありそうね、解ったわ、この件、ギルドで調べて見るわね」
「お願いします」
俺はその後ライオネット様の所に行った。懐石料理屋の話しを進める為だ。
「貧民街の子供達を?」
「はい、今日町で見かけたんです。それでちょっとほっとけなくなってゃって」
「だけどアリス、一応高級料亭として使う予定何だけど?」
「ライオネット様、前に俺が下着売っていたの覚えてます?」
「勿論、あれは忘れろと言われてもねえ、忘れられないよ」
「あの時の売れ行きナンバーワンは俺の下着だったんですけど、それに続く売り上げを誇ったのが、その貧民街の娘達の下着です。購入相手は全部貴族達ですよ、勿論実際にはいたのはアスラン達ですけど」
「んな!? ・・・・・」
「あの娘達を使うのに、それでも反対ですか?」
「・・・・・反対する理由は無いな・・・たく、貴族ってやつは」
早速懐石料理屋の準備に俺は入った。出店計画は全て俺に任せてくれる事になったのである。今回だけは穴を全部埋めなければならない。あのガキ共の生活がかかっている。俺は早速アスラン達を集めた。そこには勿論セリーヌも呼んだ。
「皆聞いてくれ、ブルセラショップを再び開店する!!」
「あ、姉御!?」
「アリス、今度はきっと凄い罰を食らうわよ!?」
「だから集めたんだ。絶対にバレない方法を考える。そして万が一バレた時も言い訳出来る様にする。その手段は既に考えてある。ようは法律に反さなければいいだけだ」
「つ、つまり、今度こそ姉御がはいたパンツを売りに・・・俺に先ず売ってください!! 金は幾らでも払いやす、姉御のあそこの匂」
「死ね!!」
バキ!!
「ぐふぅ!!」
「ちげえ!! 売るのはあのガキ共のやつだ」
「あ、あの娘達の・・・」
「そう、だけどなるべく裏稼業で行いバレない様にする。理由は表向き懐石料理店として出店するからだ。貴婦人が来る店でブルセラショップは流石に不味い」
「でもどうやって下着を売るの?」
「大まかな構想はこんな感じにしようと思う。あの看板娘達をウエイトレスにするんだ。そして貴族達には裏からコソッとブルセラショップの宣伝もする。つまりその上手い方法を皆で考える」
様々な方法を皆で考え、ようやくそれなりに納得出来る方法が出来た。
先ず店の名前をブルセラにする。この意味が解る者は限られる。俺とセリーヌ、そしてアスラン達だけと、後は実際に顧客となった者達だけだ。
そしてメニュー票は別にする。実際の懐石料理のメニュー票の他に、ブルセラメニュー表を作り、そしてそれを頼んで来た者達だけに販売する。そして今回は下着一本に絞る、流石に食い物屋であれは不味いからだ。
販売された物は、食い物と偽って、同じ様に持ち帰り袋に包装し、あくまでも食い物として渡す。
次に店の制服は、俺のロリータドレスを作ったデザイナーに頼む事にした。ハッキリ言ってロリータドレスはあのデザイナーに作らせるのが良いだろう。変態貴族達は間違いなく、あのガキ共が彼奴のデザインしたドレスを着れば、股間を思いきり膨らませるに違いない。
店の方は一応和風にはしたが、あまりそれっぽさを全面に出さない様にした。理由はシンプルであり、寿司屋との差別化を図る為だ。懐石料理屋と言うのは、和風の高級な飲み屋みたいな物だ。皆で一つのテーブルを囲んで面白可笑しく時を過ごす。そこにあまり堅い感じをだしたくない。
だからこそ制服は和服ではなく、ドレスにした。それでも違和感を感じない様に店作りをしたのである。和洋折衷と言う感じで、和風の良い所、洋風の良い所を程よく調和した作りにした。
そしてセリーヌには、ガキ共へ貴族風の接客を教えさせた。アスラン達は過去の顧客、特にガキ共の顧客に声をかけさせた。しっかりと奴等は過去の顧客を取り戻してくれた。
店の近くには、そこで働く従業員宿舎を作った。そこの監理や食事はやはり貧民街の者達にさせた。料理は俺が貧民街で料理経験がある者に、しっかりと叩き込んだ。貧民街の奴等は皆真面目に、そして真剣に取り組んだ。奴等には仕事が貰える事、それ事態が生き抜く惟一のチャンスだからだ。
更に俺は米麹を使った酒作りをランスロット様に頼んだ。やはり懐石料理屋に日本酒が無いのは味気ない。ビールも良いが、やはりメインは日本酒である。
それをお試しで飲ましたら、あまりにも美味すぎたみたいでランスロット様はベロンベロンになり、俺を強姦しようとしたが、トリスタンとベディビィアが酔っ払い親父を早々に撃退してくれた。やはりランスロット様と言えども、泥酔状態ではトリスタンとベディビィア二人がかりでは手も足も出ない様である。
2人が居なければ確実に俺は強姦されていただろう。泥酔状態でもランスロット様には流石に俺では太刀打ち出来ない。それ程この男は強い。
こうして懐石料理ブルセラの開店準備が整った。




