37話 母性と寿司処カツアゲ始動
完全に予約投稿するのを忘れてました。
超絶ゴスロリ装備に身を包んだアリスに待ち構えていた物は、学園内での変態ロリータ貴族達からの、変態的な眼差しであった。アスラン達には最早何を言ってもやっても全てがご褒美になってしまい、最早アリスも諦めたのだが、それ以外の変態貴族達はどうにもならなかった。
たが当然ながらこの男がもうそれ以上にどうにもならなかったのである。
「放せ! くそ! ランスロット様!! いい加減にしろ!!」
「無理だよ、こんなに可愛いアリスを誰の目にも入れたくない」
「父さん、母さんが嫌がってるよ」
「そんな事言ったって、他の奴が嫌らしい目でアリスを見るのは我慢ならん」
「それはそうだけど、母さんが嫌がってるから、僕は母さんの側につく!!」
バキ!!
「んな!?」
トリスタンが何とランスロット様を蹴り上げて、俺をランスロット様から放した。
「ふふふ、息子よ、中々やるようになったじゃないか、だが!!」
と言う事で、帝国最強の3人の内の2人による、恐ろしい程の親子限界が始まってしまったのである。
「あれどうするんだ? お姉様」
「貴女の旦那と息子でしょう、どうにかなさい」
「いや、流石の俺もあの2人の間に入ったら死んでしまうので・・・あ、まあ試してみるか。ランスロット様、トリスタン! 直ぐに喧嘩をやめないともう口を聞いてやらないぞ!!」
「な!? わ! 解った!!」
「母さんそれは無いよ!!」
本当に止まった、これは効果的だ。ランスロット様もトリスタンも、異次元の親子喧嘩で顔面が最早原型を留めていなかったのだが。
仕方なく回復してやった。俺と手を繋いでいる幼女モルドレッドが笑ってそれを見ていたのがシュールではあった、
「なあモルドレッド」
「な〜にママ」
「彼奴等って何時もあんな感じなのか?」
「ママの事になるとみんな直ぐにムキになるから、そうなると何時もああなるの」
「そ、そうか・・・愛されてるって思えば良いのか? これは・・・・だがその度にこうなるのは流石に頂けねえな」
「特にベディビィアお姉ちゃんが酷いよ」
「ベディビィア・・・何かいきなり第一王子を殺そうとしたところ辺りから怪しいとは思っていたが・・・」
周囲は大惨事になっていた・・・完全に部屋の中はゴミ屋敷である。
だが俺の予想以上にベディビィアは酷かった。幼女モルドレッドが恐ろしい程まともに見える。これはどうすれば良いのか、俺は平和に誰かを殴って暮らしたいだけなのだが。
「ではアリスさん、この回答はどうなりますか」
「はい、魔力総量は、かつては生まれながらにより決まっていると言うのが一般的でしたが、ボストニア女王エスメロード様により、それは違い、魔力総量は生涯に渡り、使用頻度や使用回数によって、徐々にでも増えて行く事が示されました」
「そのとおりです」
「おい貴様ら!! お母様が貴様らのために回答をお示しになられた!! 拍手をしろ! 早くしろ殺すぞ!!」
「あ、あ、み、皆様、アリスさんに拍手を・・・」
盛大なスタンディングオベーションが、顔を引き攣らせ恐怖を感じている生徒達によって行われた。だが俺はあまりの恥ずかしさに顔を上げられなかった。ベディビィアの殺気は俺ですら恐怖に思う程の洗練された物だったからだ。死闘を知らないただの生徒や講師達に抗える物ではない。こんな事が一日中行われ、最早限界である。俺の八つ当たりはやはりランスロット様に行ったのである。
「どう教育すればああなるんだ!!」
「いや、流石にそれを僕に言われても」
「彼処まで育てたのはランスロット様だろう!!」
「そ、そうなんだけど、僕達は君の理想の国家を作るのが精一杯で」
「だからといって子供をあんな風に教育するのは違う!!」
「わ、解ったよ、僕もベディビィアには言って聞かせるから」
確かに勝手に死んで行った俺にはランスロット様にそれを言う資格はないだろう。だが八つ当たりをせずにはいられなかった。子供に罪はない、それくらいは俺にだって解る。だがこの一日中恥ずかしい思いをした・・・・
いや・・・・俺って前世でこんなふうだったか?? いや、完全に今俺の思考は女になっている。流石に男の時はこんな風に八つ当たりはしなかった・・・・・
これは不味い・・・・
ランスロットは気まずい顔をしたアリスに気がついた。
そうか、アリス、君は・・・
「ねえアリス?」
「いや、もういい、俺がどうにかする」
「アリス」
「何だよ」
「良いんだよ」
「何が」
「君は僕にあたればいい、僕が全て何とかする、だから君に我慢して欲しくはない」
「それは違う、ベディビィアの事だってランスロット様に罪はねえ、単なる俺の八つ当たりだった」
「だからそれで良いんだよ、僕はそんな君をとても愛して居るんだから、フィーネの時君は何時も僕にそうやってあたって来た。僕はそれがとても嬉しいんだ」
「い、言ってろ!! 畜生・・・・」
どんどん俺はフィーネに戻りつつあるわけか・・・魔力の成長と伴に。
俺は自分がどんどん女性化している事に、少し焦りを感じている。それはランスロット様も大きな原因だった。彼奴は俺を甘やかし過ぎる、だからどんどん彼奴に俺自身が惹かれて行って居ることが最大の原因だ。
男だった時にはこんな変な悩みは無かった。何か有れば、全てこの拳が解決してくれた。頭にくればその原因を殴れば良かった。そうやって俺は何時も物事を解決して来た。
たが今の俺のこの悩みは拳でどうにか出来る類の悩みでは無い。まるで霧の中で迷走している気分だぜ、畜生。
「しかしこればっかはどうにもならねえんだよな・・・」
「何がどうにもならないのですか?」
「あ、リーザベルト様」
「貴女がこんな風に悩んでいるのはめずらしいと思いまして、よかったら聞かせなさい」
俺は自分の思いをリーザベルト様にダメ元で話してみた。
「それの何処に迷う必要があるのですか?」
「言ったと思いますが、俺の前世は男何ですよ。だけど自分でも怖いくらい女性化してるんです。それが情けないんですよ」
「前世がどうなのかは知りませんが、貴女は今女性です。それに、悪魔王ルシフェルを倒すのではなくて?」
「それと女性化してるのに何の関係があるんですか」
「貴女・・・・・本当に解っていらっしゃらないの?」
「え? 何がですか」
「貴女がルシフェルを倒す為にとても重要で、絶対に必要な資質ですわ」
「俺がルシフェルを倒すのに必要な資質?」
「貴女、聖女の力が何か解っておりますの?」
「聖女の力? 神聖魔力じゃないんですか?」
「それはそうです、ですが何故聖女が膨大な神聖魔力を持っているのだと貴女は思うのですか?」
「それは・・・・わかりません」
「はあ・・・・よろしくて? アリス、自分に興味が無い事をとことんめんどくさがりな貴女が、今回何故ルシフェルを倒そうと思ったんですの?」
「それは、彼奴等ガキ共だけに危ない事をさせる事がムカつくからです」
「それを世間一般では何といいますか?」
「ええ? ・・・何て言うんですかね?」
「母性ですわ」
「ぼ! 母性!?」
「私も貴女の素性を聞いて、理解しましたの。貴女の前世、マーメイドのフィーネはとても強い母性の持ち主でした。何人もの異種族の子供達を救い、育てるなんて、並大抵の事ではありませんわ。だけどそれを貴女の前世は成し遂げた。だからこそフィーネは聖女を超える神聖力の持ち主だったのですわ。一般人には悪事ばかり働いていたフィーネをよく思わなかった者も多くいたようですわね、ですが私は貴女を、フィーネを認めておりますの」
「どうしてですか?」
「其れ等は全て、子供達の為にしたことなのですから、そして今回のランスロット殿下への八つ当たりも、子供達の為だったのでしょう?」
「!?・・・・・」
俺はこのリーザベルト様の言葉にまるで電撃を食らった様だった。そしてリーザベルト様はやはり凄いと思ってしまった。
「良いですか、アリス。聖女の力は深い愛なのです、そしてその愛の究極は母性なのです。貴女は誰よりも強い母性を持っている、ですから貴女の神聖力はとても強いのですよ。認めたくない気持ちは解ります、前世で男性だった記憶が無くなる物ではありませんから。ですが、貴女の本体、その魂は紛れもなく女性なのです、それをいいかげんお認めなさい」
「・・・解りました、ありがとう御座います、リーザベルト様、少し頭冷やして考えてみます」
もう答えは出ていた、ただそれをどうしても認めたくない俺がそこには居た。
しかしここまで見事に俺の悩みを解決してくれたリーザベルト様には、やはり恩を返さなければいけない。俺は早速動く事にした。
「お米?」
「ああ、イーパンで食べられている事までは解っているんだ。それを安定的にこの国に仕入れたいんだよ、前にランスロット様言ってたろ? 俺の作った寿司が食べたいって」
「それに必要何だね?」
「そうだ、仕入れられたら幾らでも作ってやるよ」
「解った、僕に任せて」
ランスロット様は直ぐに大量に米を仕入れてくれた、俺はその間にリーザベルト様達料理研究会の面々に、寿司の作り方を教えていた。
「そうです、先ず美味しい寿司を作る為には、米の研ぎ方からしっかりとやらないと駄目なんです。米は直ぐに水を吸います、だからこの最初に出る米糠を直ぐに吸ってしまいます。これを米が吸うと、とても臭い不味い米になってしまいます」
「難しいのね」
「最初はそう思いますが、米の性質を解ってくれば、自然と米を炊く時どうすれば良いか解るようになりますよ」
「こんな感じかしら?」
「駄目ですね、研ぎすぎです。みてくさい、米が割れてしまっています、力の入れ過ぎです。言ったでしょう? 米は直ぐに水を吸う、だから柔らかくなってしまい、この様に割れやすくなるんです。一度俺が研ぎますから、それを参考に練習してください」
こうして先ず米の研ぎ方から教えた。次にシャリの作り方だ。
「おいしいシャリを作るには、少し硬めに米を炊き、熱いうちに合わせ酢を回しかけて、切るように素早く混ぜ合わせるのがコツです。出来るだけ米を潰さない様に、本当に米を切る様に混ぜ合わせるのがコツです。そしてこのしゃもじを寝かせるようにして、合わせ酢を全体に回すのもコツの一つですね」
「そのままかけては駄目なのですか?」
「出来るだけご飯を潰さない様にと言ったでしょ? つまりなるべくかき回さない事が必要になるんです」
「成る程、まんべんなく合わせ酢をかければ、それだけ混ぜる必要は無くなるってわけね」
「その通り」
米が炊ければ次はシャリの握り方である。
「先ず手水を作ります。この容器の水に、お酢大さじ1〜2を混ぜたものを手水と言います。そして手に軽くつけて、握る時米粒がつくのを防ぎます」
「普通の水では駄目なのね?」
「そうです、シャリが水っぽく、不味くなります。そしてご飯を潰さない様に、軽くふんわり握る事が必要です、これは練習有るのみですね。先ずは俺が握るのを見ててください。先ずこのくらいのシャリを右手で取ります。そして左手にネタを乗せ、親指でこんな風にワサビを塗ります。この量は本当に薄くって感じで構いません。ワサビが好きな奴は自分で、よこわさ! って常連になると頼んで来ますから。そしてネタの上に右手のシャリを乗せ、こんな感じで軽く成形して終わりです」
「早過ぎて解らなかったわ、もう一回ゆっくりとやって見せて」
「ああ、これって握るテンポも重要何ですよね、身体が勝手に動く感じ何で。意識してゆっくりともう一回やって見せますね」
この後研究会の面々は、俺が合格を出すまで毎日練習に明け暮れた。




