2話 復活の極悪聖女
本日の2話目です
バキバキ! ズシーン!!
「よっしゃー!! 見たかクソ神!! てめえが何をやろうが正義は必ず勝つんだよ!!」
たった一発の素手のパンチで俺は大木を薙ぎ倒した。俺は遂にパワーを手にしたのだ。何処かの阿呆な政治家では無いが、力をパワーに変えたのである。
詳しく言うなら、力の種を俺のパワーに変えたのだ。
あれから何度か実験を繰り返し、最適配分を俺は遂に見つけた。
力の種や素早さの実は、乾燥させてから粉末状にし、その後魔法をかけるのが一番効果が得られた。本当はカプセルのような物に詰めて飲むのが良いが、そんな物はこの世界には無い。なので取りあえず全体的な身体強化をするための分量を小袋に小分けしてある。
親父のように地響きさせるわけには行かないので、取りあえず立木を倒せるほどのパワーと、倍程度の速度が出せる程度の分量に抑えておいた。身体能力もかなり上がっている。
持続時間は3時間程だ。切れたら飲むを繰り返せば良い。またそれを繰り返し行う事で、俺の筋力も少しずつだが上がって行った。
その後俺はこの世界のハーブを研究する事にした。地球では滋養強壮に効く植物や野菜等が有ったし、ビタミンCを取れたりする野菜等がある。また大豆等は発酵する事により、別の効果を得られたりもする。もっと地球で勉強しておくべきだったと今更ながら後悔しているが、俺はまだ六歳だ。どう見ても三歳程度にしか見えねえが・・・・
まあまだまだ時間はたっぷりと有る。
また俺はハーブ園を親父の畑の一角に作らせて貰った。そこで様々なハーブを育てている。親父やお袋は女の子らしく育ったと喜んでいる。真の理由を話す訳には行かない。この両親は本当に俺を愛してくれている。まさか俺が親孝行をしたいなんて思う日が来るとは思わなかった。
そして小遣い稼ぎの手段も得た。そこで育てた薬草を町に売りに行っている。親父が農作物を売りに行く序でに、薬屋に薬草を売っているのだ。俺の薬草は効き目が凄いと評判らしい。
「アリス、そろそろ行くぞ」
「うん、もう摘んだよ」
「じゃあセリーナ、行って来る」
「はい、これお弁当ね。アリス、多少は動ける様になったからって、無理は絶対に駄目よ。辛くなったら直ぐにお父さんに言うのよ」
「うん、解ってる、じゃあ行って来るね、お母さん」
「行ってらっしゃい、迷子にならないようにちゃんとお父さんと一緒にいるのよ」
「うん、でも図書館には行きたいの」
「本当にアリスは勉強熱心だな、お父さんが薬草を売って来てあげるから、図書館で良い子にしてるなら行って良いぞ」
「うん! わかった」
先日俺は迷子になったと勘違いされた。だが別に迷子になった訳ではない。農奴だ貧民だと馬鹿にしてきたガキ共に、裏路地に行って己の立場というものを弁えさせただけで有る。それを親父が迷子だと勘違いしただけだ。
このカイナ村から3時間程歩くと、コードスと言う町がある。そこに親父は月に二回程取れた野菜を降ろしに行く。その時に俺は一緒に行って、育てたハーブを売りに行っている。
そして図書館で様々な知識を得ているのだ。俺が本を読める事に両親は驚いていたが、図書館で待っている時に字を教えて貰ったと適当に嘘を言っておいた。読めるのは当たり前だ、だってどう言う訳か、この世界日本語なのだから。両親は字も読めないし、書くことも当然出来ない。今は俺が教えている。
薬草は奥深い、様々なハーブがあり、それは色々な効果が得られる。また今はポーション作りの勉強もしている。
ポーションには様々な種類が有ることも解った。大別すると4種類、ポーション、ハイポーション、エクストラポーション、フルポーションだ。
基本ポーションとハイポーションは、体力回復と外傷を治す効果がある。この二つの違いは効果範囲と即効性だ。
そしてエクストラポーションは、ポーションの効果の他にも、毒や麻痺毒等を治癒する効果がある。
当然だが毒消しや麻痺解錠でそれ単独のポーションも有るが、エクストラポーションは一気に回復と状態異常を回復すると言う優れものだ。
フルポーションと言うのは、ハイポーションの効果の他に、あらゆる状態異常を治癒する効果があり、即効性が一番高い最上級品だ。だが値段はとんでもない。普通の奴にこれを購入するのは無理だ。
ポーション作りに絶対必要なのは、回復魔法だ。最低でもヒールが使えないとポーションは作れない。ヒールの効果を薬草で高めた物がポーションであると言う認識でどうやら問題無い。
ハイポーションと言うのは、このヒールに様々な効果が得られる薬草を混ぜる事により精製される。
エクストラポーションもこれは同様だ。混ぜられる薬草とハイヒールの魔法により精製される。
そして問題がフルポーション、これは聖魔法が必用になる。
ヒールと言うのはカテゴリー的には水属性の魔法で有り、体内の水分にどうやら働きかけるようなのだ。
だが聖属性魔法により施されるヒールと言うのは、どうやらこの水属性魔法とは根本的に違うようなのだ。聖属性と言うのは、破邪の効果があり、使える者が非常に少なく、高位の司祭等がやっと使えるレベルの魔法であり、だからこそ聖属性魔法で作ったポーションは値段が非常に高くなる。
これが聖女ともなると、更に別格となり、その威力が桁外れに高いようだ。親父が地響きや地震を起こしたのも、どうやら俺の聖女の魔力が影響したようだ。
つまり、この聖属性で作るフルポーションの作り方をマスターする事で、俺の薬の持続時間等が大きく変わって来る可能性が有るのだ。今の所3時間しか持続しないが、やはり最低でも一日程度は持って貰いたい。そうすると魔物を狩りに行ける。
魔物を狩りに行ければ材料が売れる。そして新たな知識書が買える。それにより、新たな強敵とも闘える様になる訳だ。なので俺は兎に角知識を欲していた。
「じゃあ後で迎えに来るから、ここで良い子にしてるんだよ? アリス」
「うん! お父さん」
親父を見送って、図書館に入ろうかと思ったら、先日ぶっ飛ばしたガキ共がいた。俺を待っていた様だ。人気者は辛いぜ。
「ようやく遭えたぜ」
「ああ? なんだ、まだこりねえのか? 糞ガキが」
「うるせえ! クソチビのお前にガキ呼ばわりされる筋合いは無いんだよ!
前におまえと遭ったのがここだったからな、ここで張ってればいつか来ると思ったぜ。正解だったようだな!」
「俺はてめえの不細工な面なんて拝みたくはねえんだけどな?」
「女の癖に生意気な奴だ!! こっちに来い!」
「ほう、また殴られたいようだな」
裏路地に行くと、5人ほどがいた。何れも10才くらいの年上のガキだった。
「何!? お、おいカイル、お前こんなチビガキにやられたのか?」
「つ、強いんだよ兄ちゃん」
「しかも女じゃねえか」
「おい、やるなら早く来い、こっちは色々と忙しいんだ。お前らみたいな薄らバカに構ってやれる時間はねえんだよ」
「くそ! 生意気な女だな、言葉遣いもなってねえ」
「こいつアランの親父の所に連れて行こうぜ」
「小遣いくれるかもな、生意気だけど結構可愛いしよ」
アランの親父? 小遣い・・・こりゃもしかして・・・
「よし、気が変わった、お前ら全員ぶっ殺す。来ねえならこっちから行くぞ!! オラァァァ!! 死ねやコルァ!」
バキッ! ドゴ!!
俺は一気にガキ共に殴りかかった。
「がはっ!!」
ガラガラガシャーン!
即座に思いきりハイキックを目の前の奴にぶち込んだ。ガキは吹っ飛んで立て掛けてあった丸太の山に突っ込んでいった。
「てめえ!!」
向かってきた奴の鳩尾にパンチをぶち込み、動きが止まった所で別の奴に向かってそいつを蹴り飛ばす。
「おらどうした、てんで弱えじゃねえか、ちったぁ根性見せてみろや!」
「うがああああ!!」
「あ、骨折れた? まあいいか、痛いの俺じゃねえし」
その後残った奴全員に後頭部へ後ろ回し蹴りを入れ、脳震とうを起こさせた。兄貴と言う奴の髪の毛を掴み、持ち上げる。サンドバッグになって貰う為だ。
「さて、アランの親父って奴の事を聞かせて貰おうか?」
「し、知らない」 バキッ!
「ぐへ!!」
「そうかそうか、なら今思い出させてやるよ、何本まで耐えられるかな? 指は10本有るからな、10回まで耐えられるそ?」
地面に降ろし、右腕を押さえつけた。そして指を持ち上げる。
「や! やめろ!!」
「はあ? お前まだ自分の立場が解ってねえようだな? 言葉遣いがなってねえ!! やめてくださいだろ? まあやめねえけど」
ボキッ!
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「大袈裟に騒いでんじゃねえよ。ホラ、早く話さねえと次行くぞ」
「痛い! 痛い! 解ったよ、話すから!!」
「あぁ? 話させてくださいお願いしますの間違えじゃねえのか? 殺すぞ」
「は、話させてください!! お、お願いします!」
「よし、聞いてやろう」
ガキの話によると、アランと言うのはこの町の代官の息子らしい。そしてその代官と言うのは、どうやら町の子供を組織的に攫わせ、人身売買を行っているようだ。確かにカイナ村の俺より少し上の女の子が行方不明になったと村中総出で探していた事が有った。
そしてどうやら代官は、アランを使って女子を効率的に集め、攫うと言う事を繰り返しているらしい。このガキどもは、そのアランの金魚のフンと言うことだ。
俺は予めそのアランがよくいる場所を聞き出した。その後色々と面倒くさいので、俺はガキ共を半殺しにし、裏路地の奥まった場所に捨てておいた。
翌日俺は、遊んで来るとお袋に言い、アランの溜まり場に出向いた。素早さを上げた薬で全力で走れば、30分程度で町にはつく。
その後効果が切れるまで適当に町をぶらぶらし、バランスが良い薬を飲んでから、アランの所へと出向いた。バランスが良い薬と言うのは、全体的にある程度の身体能力が上がる薬の事だ。
俺が作った薬は素早さ、力、と、ある程度の身体能力を上げる特化型と、バランスよく全体的に全ての能力を底上げするバランス型がある。
「しかしガキの癖にこんな所でたむろってんのか。ここ夜になると酒場になる店だろう?」
中に入ると10人程、15才くらいのガキ共がたむろっていた。
「邪魔するぞ」
「ん? なんだこのガキ」
「アランてやつはどいつだ?」
「はあ? なんだこのガキ」
「おい、舐めた口聞いてんじゃねえぞコルァ!」
バキッ! ガラガラガシャーン!
俺は転生前から概ね口と手が同時に出る癖がある。
「糞が! 死にたく無かったら口の利き方に気いつけろや」
「んな! て、てめえ!!」
「は? 死にてえのか? なら死ねや!!」
向かってきた奴を全員ボコボコにした。弱すぎる。しかも武技の欠片も見られなかった。
「ほう? お前がアランだな? 身形が一人だけ良い」
「お、お前、こんな事して、た、ただで済むと思うなよ!? 俺の親父はこの町の代官だぞ!!」
「その代官様に話が有るんだよ、お前からも色々と聞きたい事もあるけどな」
「な、何!?」
「昨日聞いたんだけどさ? この町で今子供が行方不明になる事件が多発してるって事で、領都から騎士団が派遣されてるの知ってるか? 今憲兵隊の詰め所に何人か来てるんだよ。さっき俺さ? 代官邸に忍び込んで地下室見て来ちゃった。いっぱい子供がいたな?」
「な!? ・・・・」
「さて、アラン君、直ぐに親父の元に向かって、俺の伝言を伝えてくれるか? 今から全力で走って行って、親父にこう伝えるんだ。
20分だけ待つ、20分以内にお前が一千万リグ持って来れば、俺は何も見なかった事にしてやる。20分経って来なかったら、俺は憲兵隊の詰め所に行き、地下室の子供の話をし、邸の地下室に憲兵隊と騎士団を連れて行く。
待ち合わせ場所は憲兵隊の詰め所の前のリリムって言うスイーツ店だ。俺はそこで待っている。20分以内に金を持って一人でそこに来い。金は見えないようにアイテム袋に入れて持って来い。これが伝言だ。
アイテム袋くらいお代官様なら持ってるよな!? おら行け! 今から20分だ!」
「お、覚えとけよ!!」
「忘れた」
アランはダッシュで走って行った。俺はぶっ倒れてる奴等の懐から金をふんだくって、スイーツ店に向かった。他人の金で食うスイーツは非常に美味い。この身体になってから、俺の好みは完全に変わってしまった。スイーツ大好き人間になってしまっている。




