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チンピラ聖女 異世界で道を極める  作者: ザコ3改
第1章 集う仲間達
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1話 バトルジャンキー

本日はこれの他にもう1話投稿予定です、是非ご感想を聞かせてください。

「やれ! 広也」


「大丈夫だ! 広也に勝てる奴なんぞ居ねえよ!」




 小学2年生の時、初めて人を殴った。最もガキのじゃれ合いの喧嘩で、そんな大袈裟な物では無い。


 だがその時俺は感じた、人を殴る喜びをだ。殴った時に拳全体に感じる、ゴキ! と言う感覚。そしてクリーンヒットしたときに相手の口から迸るヨダレ。更に相手が強ければ強いほど、それを制した時の勝利の快感。あの素晴らしい感覚は、死闘を繰り広げた者にしか味わえない喜びである。


 俺はその時から、喧嘩に負けない為に、あらゆる格闘技や剣術を修得し、全てを中途半端で終わらせた。何故なら有段者になると喧嘩が出来ないからだ。

 今日もこうして強い奴を求めて俺は他府県迄遠征している。地元には既に俺の喧嘩相手は居なくなってしまったからだ。


 

「おい、折角ここまで来てまさかもう終わりじゃねえよな? 早く立てよ、続きやろうぜ」


「も、もう良いだろう、あんたの勝ちだよ」


「巫山戯んなこの野郎! 何のために電車代使ってここまで来たと思ってんだてめえ!! てめえが駄目なら先輩でも何でも連れて来いや!!」


 俺は早々に負けを認めた相手に頭に来ていた。


「いや確かあいつこの辺り締めてるナンバー1だよな?」


「まあ、広也だから・・・」


「おい広也、ここいらでもう終わりだよ」


「おい何言ってやがる浩二! 大体お前がこいつ強えって情報仕入れて来たんだろうが!! てんで弱えじゃねえか!! 適当ばっか言いやがって」


「いや、本当にそいつこの辺り締めてた奴なんだって」


「くそおもしろくねえ!! おい! てめえ俺に負けたんだから俺達の飯代と電車代出せや、この野郎!」


「わ、解ったよ」


「仕方ねえ、牛丼でも食って帰るぞ。浩二、今度はもうちっと面白え奴の情報仕入れて来いよな」


「もう無理なんじゃねえの? 広也に勝てる奴なんて居ねえよ多分」



 結局回りの県にも俺とやり合える奴は居なかった。何処かに強い奴はいないものか。


 だが、それは突然起こった。今考えれば、これは必然だったのだろう。だがこの時はまだ、何故この様な事が起きたのか、俺には全くわからなかった。




『二番線に電車が通過します、危険ですので白線の内側までお下がりください』


 その時突然俺は後ろから突き飛ばされた。俺はホームから落下しながら相手を睨みつけた。先程俺が殴った奴、彼奴が俺を突き飛ばしたのがハッキリと見えた。


 そして電車が通過する瞬間



『マジかあの野郎! って・・・・何!? 時間が、止まった!?』



 周囲の色が全て無くなり、全てが灰色の世界となり、俺以外の全てが停止している。ホームの人間も、そして俺を今にも跳ね飛ばそうとしている電車も。だが一人だけ、鮮やかな色を纏った女がいた。



『誰だ!?』


『伊藤広也、貴方はここで命を落とし、またこの世界で生まれ変わります。ですが、私は何度も貴方の人生を繰り返し見て来ました。

 貴方は何度生まれ変わっても、喧嘩に明け暮れ、他人に暴力を与える事を喜びとしてしまう。

 私はもうこのまま貴方を野放しにして置くわけにはもう参りません。よって貴方を異世界に追放致します』



「え? ちょっ!! ちょっと待て。別に異世界でも良いんだけどさ? 強い奴居るの?」


『この後に及んでまだその様なことを言って居るのですか・・・貴方には反省を促す必用が有りますね。良いでしょう、次の転生先では思いきり闘いなさい。それができるのであれぱ、ですが。

 もう貴方を許すわけには行きません。なので思う存分闘いなさい。そして反省なさい。貴方は今の記憶を持ったまま転生し、過去の自分の愚かさを猛省するのです』




 そして俺は、地球では無い何処かの世界に記憶を持ったまま転生した。最後の神らしき女の意味深な言葉は引っかかるが、まあ生まれ変わってまたガキからやるのも良いだろう。レベル1になればまた鍛えてやり直せる。


 と・・・そんな事を思っていた時もありました。あのクソ女神、巫山戯た真似しやがって。クソ野郎、絶対に許さねえ!!



「さあアリス、おっぱいの時間ですよ!」


「君に似てなんて可愛い子だ。きっと大きくなったら美人になるぞ」


「まあ、貴方ったら、早く大きくなってね、アリス」




 あの野郎、俺を女にしやがった!! そしてもっとムカつく事に、この世界は剣と魔法の世界。つまり、日常的に命のやり取りが出来る凄く素晴らしい世界だ。両親の話から魔物だって居るらしい。

 文化レベルも大体中世初期程度、なら戦いは殆どが白兵戦だ。

 生殺しだ、こんな素晴らしい世界で何で俺を女にしやがった!! くそう、これがあの言葉の意味か!!


 良いだろう、こうなったら女でもかまやしねえ。やってやる、鍛えて鍛えまくって、思いきり鍛え抜いてやる!! 俺はこの世界でも絶体喧嘩は止めねえぞ!!



 そう自身に誓った後、俺はまず魔法を覚えた。やはりこう言う世界だ。魔法を討ちまくる喜びを味合わなければいけない。

 魔力を鍛えまくる、そう、魔物に極大攻撃魔法をぶっ放しまくるんだ。


 

「ヒール!」 ホワン


 「ヒール!」 ホワン


  「ヒール!」 ホワン


   「ファイアボール!!」 シーン・・・



 何故だ、何故回復魔法しか使えない。何故攻撃魔法が使えない!!

 俺は回復魔法なんてつかいたかぁねえんだ。派手な攻撃魔法が使いてぇんだよ。


 たが仕方ねえ。よくアニメで幼い頃から魔法を使いまくると魔力が高くなるなんて定番な話もあった。なので俺は暇さへあれば今できるヒールを使いまくった。

 やがて俺は5才になった。俺の魔力適正をようやく見ることが出来る。この身体にはかなり気に入らない所が実はあったが、攻撃魔法が使えるなら我慢しよう。

 さあ俺の適正は何だ、火か、水か、土か、それとも風か!!



「アリスももう5才だ。魔法適性が見れるんだよ」


「神父さんに見て貰いましょうね」


 これで俺がどんな魔法適正が有るのかわかる。呪文形式が違うのかもしれない。回復はヒールであってるが、攻撃魔法は呪文形式が違うのだろう。諦めるにはまだ早え。



「おお!! この子は聖魔法の適性がある!! 聖女候補だ!! この村から遂に聖女候補が出だぞ」


「凄いわアリス! 貴女は聖女候補よ!!」


「アリス、まさか聖魔法の適性が有るなんて!! これは神様がアリスに与えてくれた祝福だ!!」



 俺は膝から崩れ落ちた。巫山戯んな!! 聖魔法なんていらねえんだよ!! 何が聖女だ!! 俺は人を殴りてえんだよ!!

 祝福!? ざけんな! たんなる嫌がらせじゃねえか!!


 だがあのクソ女神が俺に与えた舐め腐った試練はそれだけでは終わらなかった。


 腕立ては10回が限界。腹筋は5回で目が回る。村のガキ共と走れば15歩で息が切れる。更に月に一度は高熱を出す。

 恐ろしく脆弱、そして病弱。これじゃ鍛える事が出来ねえ。


 そして体が小せえ、周りはどんどん成長していくのに、俺の成長は恐ろしく遅い。


 だが魔力は腐る程ある。赤子の頃から魔法を連発していても、一度も魔力切れは起こさなかった。だがその無尽蔵に放出出来る魔力の使い道は、全てが回復や状態異常を癒す事にしか使えねえ。

 俺は絶望に打ちひしがれた。何か方法は無いのか? この無尽蔵に有り余る魔力を攻撃に使える方法は。




「アリス、どうしたんだい?」


「お父さん・・・」


「暗い顔して、折角アリスはとても可愛いんだから、笑顔でいた方が何倍も可愛いんだよ?」


「笑顔で何て無理だよ」


「何でだい?」


「私は体が弱くて小さいから、村の子達とも一緒に遊べないし、駈けっこやっても直ぐに息切れ起こすし」


「そうか、アリスは頭もいいし、魔法も得意だけど、確かにそっちの方がな。でもねアリス、アリスにはその魔力がある」


「魔力があっても友達と遊べないもん」


「友達を喜ばせる事は出来るだろう?」



 俺が喜ばなきゃ意味がねえんだよ!



「アリスが作った食事でお父さんは何時もより何倍も働けるようになったんだよ。だからアリス、アリスは友達にそうしてあげることで、皆を喜ばせてあげればいい」


「え!? お父さんはアリスが作る食事で元気になるの?」


「そうだよアリス。神父さんが言ってたよ。聖女の力は祝福の力、全ての生きとし生けるものを活性化させる事が出来る」




 待て・・・・ちょっと待て。てことはその対象には俺自身も入るんじゃねえのか?

 試す価値はある。そうだ、絶望するにはまだ早え。




 その後俺は発想の転換をした。直接の攻撃は無理でも、間接的にならどうにか成るんじゃないかと考えた訳だ。

 地球では栄養ドリンクとか、プロテンイ何かがある。そう言った効果を使い、もし俺が身体力を上げる事が出来るなら。そう、身体強化が出来るのではないかと思った訳だ。


 俺の聖魔法は基本的に回復や状態異常の解除とか呪い解除何かがある。だがその外に、他の系統には無い重ねがけや魔法その物の威力を高めるブーストなどがある。


 その後俺は一心不乱に自身の魔法を研究した。そして何度か試し、わかった事がある。

 俺の魔法の重ねがけに回数制限は無い、何度でも重ねがけが出来る。また重ねがけした物にブーストをかけてもその効果は重ねがけした状態でブースト効果を得る。


 ブーストにも回数制限は無いが、ブースト状態に更にブースト効果は得られなかった。つまり意味は無い。

 だが重ねがけは無尽蔵に出来ることから、その効果は同じであり、ブーストを重ねがけする事には意味が無いと言った所だろう。

 つまり、仮に100回重ねがけが出来るとすれば、100回分の重ねがけ効果に、更に倍になるブースト効果を得る訳だ。

 あくまでも俺の感覚で言えば、重ねがけは大体1.5倍の効果で、ブーストは倍になる。

 これは対象の放つ魔力を俺自身が感じとる事で、どの位の効果が得られたかを知ることが出来た。

 例えばヒールにブーストをかけたときに、対象が俺の魔力でどの程度の回復効果を示したかを感じ取る事で、効果範囲を知る事が出来る。


 もしだ、仮に親父が言うように、俺が飯を作った時、野菜等が持つその栄養科に、効果を魔法で上げる事が出来るとすると、重ねがけやブーストをかけて作れば、その栄養科が何倍にも跳ね上がるのでは無いだろうか? 俺は早速それを試してみることにした。


 この世界には某ゲームに有るような、力の種や素早さの実何かがある。一度試したが、確かに微量に上がったりはするが、俺ほど貧弱だと上がった効果はゴミレベルでしか無い。だがブーストすればどうだろう?


 これは人体実験してみるしかねえ。俺自身でやるのは嫌なので、先ずは親父に試してみることにしよう。



 早速俺はお袋と一緒に親父に持って行くお菓子を作った。


「お父さん!」


「アリス、どうしたんだい?」


「お母さんと一緒にお菓子作ったの、少し休憩してこれ食べて!!」



 親父は農夫だ。今畑仕事をしていた。親父は俺の事が可愛くて仕方ねえ様だ。なので俺の言う事は先ず聞いてくれる。



「アリスが作ってくれたのかい?」


「うん、これ食べて! こっちのが私が作ったの」


「そうか! じゃあアリスが作ってくれたやつを父さんが貰おうかな」


「うん! 食べてみて」


 そのクッキーには素早さの種に10回重ねがけをし、更にブーストをかけた実が混ざっている。更に力の種のクッキーも食わせた。同じだけ魔法をかけてある。


「‰Å:-*#%$€№‰№€」


{あ~美味しかった。何か体が急に軽くなったようだよ。やっぱりアリスが作ってくれたからかな?}


 親父の話し方が早回しの用になった。そう、早速効果が出たのだ。何とか聞き取れ、多分こう言っているのだろうと理解した。ひとまず会話にならないので、俺は早々にきり上げる事にした。


「う、うん! じゃあお仕事頑張ってね!」


「:-**\0/*:-!‰」


{よし! アリスの為に頑張ろう}


 多分こう言っている。


 最早何を言っているのかわからねえ・・・・・自分では気づかないのか?

 俺は帰るふりをして、影から親父の様子を観察する事にした。




 親父が再び畑を耕しはじめた。


 ズゴーン!! ズゴーン! ズゴーン!


 物凄い地響きが起こり、大地が激しく揺れた。親父が鍬を畑に入れた時だった。鍬を振る親父だが、残像を残す速度である。付近のおっさん達が


「じ! 地震だんべ、逃げろ!!」


 と言って慌てふためいている。だが親父は感じないらしく、一心不乱に畑を耕している。親父はどうやら鈍感らしい。


 そして都合3発で鍬が折れた、親父はまるでこま送りのような速度で動きながら、折れた鍬を家に変えに行った。


 何度か地響きをさせ、結局鍬が全てぶっ壊れた。親父は道具を使うのを諦め素手で畑を耕し始めたが、その日の内に、親父は全ての畑を耕した。最早耕運機を遥かに超える速度だ。実験は見事成功したのである。


 その後俺はこっぴどくお袋に怒られた。親父の為に一生懸命作ったんだと嘘泣きしながら言ったら、親父がしっかりと庇ってくれた。とても人体実験をした等と言える状況じゃねえ。


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