14話 アンデット
よし、予約投稿開始
現地に着くと、既にアンデットがダンジョン入り口から溢れ出ていた。
「先ずは入り口付近のアンデットを殲滅する」
「外に溢れたのはどうします?」
「ヴァンパイアを倒すのが先よ。本来中で挟み撃ちされないように殲滅するべきだけど、アンデットはそんなに頭が良くないから、戻って挟み撃ちされることはまず無いわ」
まあ普通はそう考えるだろうが・・・俺にはどうにも嫌な予感がする。
「出番よ、ディオン、ブラッド」
「よ、よし! 任せろ!!」
ディオンとブラッドが飛び出して、溢れてきたアンデットへ攻撃を加える。流石はAランクと言いたいが、剣で切っても直ぐに再生してくる。対アンデット専用でもない武器で攻撃すれば当然ああなる。
アンデッドには本来シルバー合金か、ミスリル銀を使った装備でなければ倒す事が出来ない。そんな事も知らないでよくAランクになどなれた物だ。そろそろ時間切れだ。
「3.2.1.はい時間切れ! ウラ!」
俺はヒールを放った。一瞬でアンデットが消えた。
「な!? ヒ、ヒールだと!」
「付近のアンデットを一掃しますよ、オラ!」
次はエリアヒール、範囲内にいる人には治癒をアンデッドには死を齎す、つまり浄化だ。
「マジかよ!?」
「エ、エリアヒールで、しかも、オラ!って・・・」
「一瞬で無数のアンデットが消滅したわ」
「これが聖魔法よ、アンデットの殲滅をしながら味方をも回復する。水属性の回復魔法でこれは出来ないわ。浄化作用のある聖魔法だからこそこれが出来るの。
これでアンデットに対し、聖魔法の威力が桁外れに高い聖女が天敵と言われる所以が理解出来たでしょ」
「く、反則だぜ」
「そうですね、反則です。でもこれは事実何です。アンデットの弱点をしっかりと勉強していれば、子供でも解ることですよ。冒険者の癖にそれを怠ったあなたが悪い。約束通り報酬は頂きますね」
「くそ!」
「ではダンジョンに入るわ、隊列を組むわよ! 先にも述べたように、アリスを中心にして、兎に角無傷でヴァンパイアの前にアリスを連れて行く。敵を引き付ければ先程のようにアリスがエリアヒールで敵を殲滅、回復してくれるわ。多少の怪我は直ぐに治るからポーションをムダ遣いしないように」
「アリスさんの魔力は大丈夫何ですか?」
「彼女の魔力は無尽蔵、然程気にすることは無いわ。もし魔力がきれそうだったら言ってね」
「魔力ポーションも沢山持ってるから問題無いですよ」
「そんな馬鹿みたいに高価なポーション沢山とか言わないでね・・・・」
まあ俺の魔力がどの位有るのか試してみるのも悪くないな。
その後俺は連発でエリアヒールを使ってみた。ギルマスが不安そうにしてたが全く減った感覚がない。俺の魔力一体どうなってんだ?
だが下層付近に来たときに、やっと魔力が減って来た事が感覚で解った。
「あ!!」
「どうしたの?」
「魔力が少し減りました!」
「はあ!? 少しって、少し?」
「ちょっと、あれだけエリアヒールなんてとんでもない魔法連発しておいて、少し!?」
「初めて何ですよ、小さい頃からヒールを100回近く使っても全然減ること無かったんです。今初めて魔力が減った感覚を掴みました」
「なんて馬鹿げた魔力量なのよ」
よし、魔力ポーションを飲んでみよう。
「ちょっと実験してみますね」
「ちょっと、少しだけなら寝れば回復するわ! 魔力ポーションなんて勿体ない!」
「簡単に作れるから問題無いですよ」
魔力ポーションを飲んでみた。少し増えた・・・
「え? これだけ?」
「どうしたの?」
「すみません、何方か魔力もうスカスカって人いますか?」
「私もうスカスカよ、後ファイアボール一発位が限度」
「これ飲んでみて貰えます?」
「良いの!?」
「私の実験ですから」
「なら、遠慮無く頂くわ」
俺の魔力ポーションは効くと評判だが、実際使っているところを見たことが無い。
「凄い!! このポーション凄いわ!! 全回復した」
「てことは、アリス、全回復してないのよね?」
「はい、減った分の一割程度しか」
「なんて規格外な魔力量なのよ」
「魔力強度もとんでもないわ、いくら聖女だからって、エリアヒールであれだけの魔物を軽々と一掃するなんて非常識過ぎる」
「これもう少し実験して見た方が良さそうですね。今まで聖女好捕だからと片づけてたけど」
その後俺は更にエリアヒールを連発し、減らしてはポーションで回復というのを繰り返してみた。
実はその後出て来たアンデットは全て俺が倒していた。そしてようやくヴァンパイアが数体現れた。
「おあつらえ向きなのが出て来ましたね。一掃します。皆さん私から出来るだけ距離を取ってください!!」
「な! ちょっと待てアリスちゃん、まさかあれをやるつもりか!? って、うわ! 魔方陣出てるじゃねえか!」
「クロス!? ちょっと何よこれ!!」
「全員兎に角その魔方陣の外に出ろ!!」
俺は攻撃魔法をぶっ放した。巨大なクロスが強烈に光り輝き、物凄い熱量がヴァンパイア達を飲み込んで行く。
「こ、こんな魔法、本当に反則だろ!?」
「こ、これが聖女ぉぉぉ!?」
「うわ! やべぇ続出これ!!」
悪いが少し実験させて貰う。何となくだが俺が何でこんな膨大な魔力量が有るのかが解って来たからだ。こいつはかなりの魔力を使う。糞神、お前の魂胆が解って来たぞ畜生!!
ヴァンパイア達が猛烈な光りの中に一瞬で消えて行った。地面には緑色にガラス質と化した土が残る。
「こ、これが聖女の攻撃魔法・・・」
「何だよ聖女って・・・」
「大悪魔ルシフェルを倒す力か・・・」
「あれはセイクリッドクロス、聖女の使う、上級光波系攻撃魔法よ。まさかあの歳でこれが出来る何てね。本当にあの子、アストライアの生まれ変わりなのかもしれないわ」
「聖女アストライア様って、ギルマスが大悪魔を倒した時に、中心となった聖女様ですよね?」
「ええ、あの子、幼い頃のアストライアの面影があるの。でもあの歳でこれが出来た聖女は、アストライア以外一人も居なかったわ」
全く魔力が減らない、やっぱりそうだ。俺の魔力はまだ成長段階にある。って、あ! レベルが8になった。魔法も・・・マジか、これ凄いな。
「さてアリス? 貴女の力なら、こんな魔法使わなくてもヴァンパイアを倒せた筈だけど、何故こんなの使ったのかちゃんと説明して頂戴ね」
「いや~何となく何でこんな膨大な魔力量が有るのか解って来たんで、ちょっとその答え合わせがしたくて」
「それで? 解ったの?」
「はい、魔力が成長段階にある状態で、魔力を大量に使うと、総量が増えて行くみたいです」
「え!? 嘘、だって魔力量って産まれた時に決まってるんじゃ無いの?」
「そうなんですか? でも現に私今の魔法で殆ど魔力消費しなかったですよ? 前は消費した感覚が有りましたけど、今は全然。これってさっき私がエリアヒール連発して、減ったら回復を繰り返したから、総量が増えたって事ですよね? つまりまだ私の魔力量が成長段階に有るって事で合ってますよね」
「そ、そうね・・・確かに魔力適性は5才の時に初めて技能神により啓示を受け、そこで解る。だけど実際に魔法を使いはじめるのは魔法学園に入学してから。貴族はその前に家庭教師を付けられて習う者が多いけど・・・」
「アリスちゃんは詐欺で魔法書を買って独学で勉強してたんだったよな?」
「はい、だから私毎日猛烈に魔法使いまくってました。5才の時にも毎日ヒール100回位は使ったんじゃないですか? 恐らくそれで魔力量が増えたんじゃないですかね?」
「これは根本的に今の教育制度を見直す必要が有りそうだわ」
「しかし5才でヒールって、普通何処かであそぶだろう?」
「無理だったんですよ、私極端に病弱で、10歩走ると死にそうになってた程です」
「「「はあ~!?」」」
「本当ですって、今だって自分で造った強化ポーション飲んでるから動けてるだけですよ? 3日に一度それを飲まないと直ぐに寝込んじゃいます」
「それ本当なの?」
「はい、だからヒール使ってたんです。走って倒れそうになったらヒール、それを繰り返して生活してたんです。ポーション作りを勉強したのも、元々はこの体をどうにかしたくて幼い頃から勉強したんです」
「アリスちゃん、とても苦労してたのね」
「まあ今はポーション有るから全然平気ですけどね」
その後ダンジョンの奥まで行き、俺はヴァンパイアを全て殲滅した。それなりにドロップ品も出たが、俺には必要無さそうな物ばかりだったので、全部ギルドに売ることにした。かなり金が稼げたと思う。
そしてダンジョン攻略が終わり、翌日案の定俺はエリザベートから呼び出された。場所は裏生徒会の地下室、そこには王子や第二王女もいた。
「先ずはアンデットの異常発生の件、ご苦労様。君には陛下から何れ何らかの形で報酬が出ることになるだろう
それとは別に、エザリア様から魔力について、教育制度の助言があった。詳しくは君から聞いた方が良いとね」
「まあ、そうなるでしょうね」
「実際魔力量や魔力強度を計測する物は入学準備の時に君も使ったと思うが、あの計測板しか無い。今思えば君の魔力量や魔力強度が膨大過ぎて、あの計測板が割れたんだろう。
そしてエザリア様から効いたんだけど、アリス、君は5才の時から魔法を使いまくっていた。そう言う事だね?」
「そうですよ、昨日ダンジョンで実験してハッキリと解りました。魔力は成長段階で使えば使うほど、大きくなる。私はまだ成長段階にあり、昨日魔力量が増えた事を確認しました。そして魔力強度も、セイクリッドクロスの威力が増大していることで強くなった事を確認してます。それと、聖魔法のレベルが8になりました」
「本当なの!? それで得られた魔法は」
「ふふ~ん、聞きたいですか?」
「その勝ち誇ったような顔凄くムカつくわね、良いから教えなさい」
「凄いの覚えましたよ! まだ試してはいないですけどね」
「もったい付けずに早く教えなさい!」
「リジェネレイトとクルセイドです」
「リジェネレイト!?」
「どんな魔法何ですか?」
「あらゆる方面の自然回復能力を向上させる魔法です。怪我や傷はもちろん、状態異常の効果も薄れさせる力ですね。勿論アンデッドには逆効果があります」
「凄い! それでクルセイドと言うのは?」
「味方や自身のステータスを大幅に向上させます。あらゆるステータスです」
「補助魔法か、まさか聖女の魔法に補助魔法が有ったなんて」
「お兄様、今の話しをちゃんと聞いてましたか?」
「え?」
「補助魔法にあらゆるステータスを向上させる物などございますか?」
「あ! ・・・・無い」
「聖女、本当に化け物ですわね・・・」
「教えなさいアリス! どうやったらそんなに早くレベルが上げられるの?」
「だから言ったじゃないですか、魔法レベルを上げるには、魔力強度と魔力量を上げれば自然とレベルが上がります。だから使いまくるんですよ。魔力枯渇を起こすまで魔法を使う、そして魔力ポーションを私から買って、それを飲む。それを繰り返すんです」
「む、自らの商売に結び付けるところが更にムカつくわね」
「でも私のポーションて効き目が良いって噂ですよ?」
「あるだけ降ろしなさい! ちゃんと貴女の貯金に納金しておきます」
「くださいよ!」
「あげますよ? 貯金の方に」
「それじゃ意味ないじゃないですか!!」
「毎月貴女の実家に仕送りしていますし、必用な時は渡しているでしょう?」
「何にいくら使うか話してからじゃないですか!」
「そう、なら貴女のご両親にお金の監理について一度相談をしたほうが良いかしら?」
「ひ、必要ありません、貯金しておいてください!!」
くそう悪女め、地獄に落ちろ!




