17.界理奪剣
『壊滅の源弾』の弾丸が放たれ、それと同時に『矛盾概渦』の渦が周囲一帯を巻き込む。
その渦に呑まれ、弾丸は壊滅の権能の効力を失った。
ノアは何の力も持たないただの金属の塊となった弾丸を素手で掴み取り、握り潰す。
「……なるほど」
アルファルドはノアがこの魔法を展開している限り『壊滅の源弾』は無意味と判断したのだろう。
黒死銃に壊滅の魔力を込めるのは同じだが、今度は自分自身が動き始めた。
その速度は光速の数倍……依然としてノアより遅く、その程度なら簡単に対応されるというのはアルファルドも解っているはず。
つまり、何かしらの策があるということだ。
(アルファルドが理力を扱える可能性がある以上、下手に手出しはできない……こちらも、切り札は絶対的な隙が生じた場面でしか使えない)
現段階で打てる手がないのはむしろノアの方だった。
「……『黒壊合弾』」
空中を移動しつつ、アルファルドは無数の弾丸を発砲する。
その数は秒間に数十発……黒死銃、そしてアルファルドの連射力から考えるなら、その間隔は長いとまで言える。
(あの魔法は見たことはないが、込められた魔力からして高位の魔法じゃない。それに数も少ない……狙いは……)
一瞬だけアルファルドの狙いを考えたノアだったが……
「……ッ!?」
次の瞬間、ノアは出せる限りの全力の速度でその場から飛び退いた。
そんなノアの頬には僅かな冷や汗が垂れている。
「お前……以前にも増して姑息な手段じゃないか」
「チッ、油断していればいいものを……」
それもこれも全て、『黒壊合弾』という魔法にあった。
跳弾や弾丸同士の接触による軌道変化を読んで次の行動をする……それこそが、アルファルドの戦い方だった。
当然、ノアも戦い方の変化は思考に入っていたが、そもそもとして銃での戦いについては戦闘方法を大きく変えることはそう簡単ではないし、変えるにしても多彩ではない。
だからこそ、黒死銃を見た時点でノアは戦闘方法は基本変わらないと考えていた。
無論、変わってはいないのだろう。その中に、新たな技を組み込んだというだけで。
(弾丸同士を当てるというのはこれまでも見てきた……が、『黒壊合弾』は弾同士が弾かれることなく、融合する……!)
二つの弾丸が弾かれる場合、新たな二つの軌道が誕生する。
そこまではノアも織り込み済みだった。
だが弾丸が融合したことにより、これまでなら有り得なかった第三の軌道が生じる───
そして当然、それだけではない。
融合した瞬間、内包されていた力が飛躍的に上昇するのだ。
「……はぁ、原理は解るが、お前よく開発したな」
「時間はあったのでな」
魔力の性質は権能によって異なる。
虚無と壊滅が違うように、魔力にも属性が付与されている場合があるのだ。
だが、その中でも僅かな違いというものは存在する……否、新たに作り出すことができる。
通常、同属性の魔力が結合した場合、その魔力は加算されていく。
だが魔力の性質を僅かに弄ることで、加算ではなく乗算するように変化させることが可能なのだ。
『黒壊合弾』一発の威力を10とした場合、通常ならば融合しても20になるはずのところを、アルファルドは性質を変化させることで乗算……つまり、100にしているのである。
当然、その僅かな操作は並大抵の技量ではできない。
ノアでさえ、狙って何度も同じ結果を引き出せるわけではないレベルだ。
そう、力も技量もあった前世のノアですらも。
その術をアルファルドは確立している。
(『矛盾概渦』は強力だが、無に帰させる力にも上限はある……一度融合しただけの『黒壊合弾』ですら、その上限を大幅に超えてやがる)
軽減程度ならば融合した『黒壊合弾』でも可能だろう。
その上で白雪や虚無の権能からなる魔法を使って弾くのは不可能ではない。
だが二度三度融合しないとも限らない状態で受ける選択を取るのは些か油断が過ぎる。
仮に二度目の融合があった場合、その弾丸の力は更に数倍になるのだから。
(ある程度距離を置かれた状態はやはり危険か……)
ノアの速度であれば一瞬すらもかからずに詰められる距離ではある。
しかし当然、アルファルドもそれに近い速度で引くことができる上、状況を読んだアルファルドに罠を仕掛けられていてもおかしくはないのだ。
屍となって思考の一部が制限されていたガロンや、戦闘狂として戦いを楽しんでいたヴァディアとは違う。
アルファルドはどんな手段を使ってでも確実に勝利を拾おうとしている。
罠も不意打ちも何でもありだ。
そうしないとノアに勝つことはできないと解っている。
それ故の油断のなさと、ノアにとって初見の技を惜しみなく使う戦いの運び方。
(やはりお前が狙うのは短期決戦なんだな……)
以前から変わらないアルファルドの癖……どんな敵でも最短で仕留めるという、効率重視の思考。
ノアはそれを理解した上で───
「だったら、それに乗ってやるッ!」
「ッ!」
───アルファルドに向かって特攻した。
もちろん無策というわけではない。
依然として『矛盾概渦』は展開し続けているし、この渦に触れればいくらアルファルドとて無事では済まない。
当然、アルファルドもそれは理解しているだろう。
故に間違いなくこの特攻は対応される。そんなことはノアも解っている。
だが……否、だからこそこうするのだ。
「……ッ!」
特攻した瞬間、ノアの背後から大きく感じる魔力。
それを感じた瞬間、ノアは速度を緩めずに背後を振り返る。
(お前ならそうするよなッ!)
それは、二度融合させた『黒壊合弾』。
二度目の乗算……現時点でのアルファルドにできる、この魔法での威力限界。
それはすなわち、100だった威力を1000にするという神すらも上回る御業……
たった二万年で会得できる領域を遥かに超えている。
この弾丸を直接防ぐ手段はノアは持たない。
『矛盾概渦』は紙の如く貫かれ、ノアの魂諸共滅ぼし去るだろう。
静滅銀刀や『矛盾界域』であればどうにかできるだろうが、現状ではそれは使えない。
「く……ッ!」
壊滅の弾丸がノアへと迫り、『矛盾概渦』と接触する。
ガガガガ、と削れる音が響くが、削れているのは渦の方だ。
弾丸は無傷のままノアへと迫る。
(躱せ、ない……!)
弾速はノアよりも遥かに速く、横に躱そうとしてもどうしても掠ってしまう。
あの規模の力を秘めた弾丸だ。触れただけで終わりが確定する。
更に言えばこの弾丸が世界に着弾してしまった場合、ノアの守るべき世界の方が滅びる。
つまり、ノア自身が受けざるを得ない。
残された手はたった一つだった。
(この魔法は可能なら使いたくなかったが、仕方ない……!)
瞬間、ノアの紫色の瞳……その左眼の瞳孔に波紋のような模様が現れる。
それは特殊な形状をした一種の魔法陣であり、ノアがこの魔法を意図的に使用したのはこれが初めてである。
そう───意図的には。
「『虚空禍眼』───ッ!」
これをかつて使用したのは屍となったガロンと戦った時。
闇に染まった領域内を掻き乱し、ガロンにすら身の危険を感じさせた力だ。
この魔法は周囲の力を強制的に取り込み、巻き込み、掻き混ぜて全てをなかったことにする。
それは壊滅であっても変わりはない。
「なん、だ……!?その力はッ!?」
アルファルドはこの魔法を見たことがない。
今世のノアが無意識内で新たに開発した魔法だからだ。
今のノアはそれを思い起こしながら模倣しているだけに過ぎない。
だがそれでもノアが使える手段の中で、この状況を打破できる唯一の手だった。
『虚空禍眼』によって畝り、混沌と化した空間は二度融合した『黒壊合弾』に内包されていた壊滅の権能すらも取り込んでいく。
「チッ!『絶滅強いる漠酷の砲』ッ!」
「なッ!?」
『黒壊合弾』に向き直っていたノアの背後……アルファルドが一発の弾丸を装填する。
(まずい……あの魔法はまずい!)
ノアはこの魔法を一度だけ見たことがある。
かつてのアルファルドが最終手段として持っていた隠し玉だ。
全面戦争をした際にはアルファルドにも配下がいたが故に使えなかったこの魔法───
─────
銃口に壊滅の魔力が集う。
込められた魔力量そのものは乗算された『黒壊合弾』程ではない。
だが、概念の密度が違った。
『絶滅強いる漠酷の砲』────
この魔法の真価は、『生命の絶滅』にある。
『生きている』と定義できない存在には一切の効力を及ぼさないことを代償に、『生きている』と定義可能な存在相手には壊滅よりもなお強力な効力を発揮する……
そして何よりも恐ろしい点は、生きているかどうかの定義はアルファルド次第であるということ。
アルファルドが『世界は生きている』と感じていれば、その効力は当然世界にすら及ぶ……
壊滅よりもなお範囲を狭くした絶滅……少なくともアルファルドの中ではその定義に分類されてしまう。
虚無であるとはいえ生命であるノアは当然、その対象内だ。
「……ッ!」
魔力が完全に収束した瞬間、黒死銃の銃口から絶滅の弾丸が放たれる。
その弾丸から放たれる気配は悍ましく、結界門による内部への干渉不可がなければ遥か遠くにあるグラエムの全生物が死滅していてもおかしくはない。
当然、この周辺が死の大地でなければ動植物は一秒とかからずに絶滅していたことだろう。
大地そのものは傷つけることなく、生命だけが瞬時に滅んでいくのだ。
(……クソッ!仕方ない……ッ!)
ノアはこれ以上『黒壊合弾』にかけている時間はないと言わんばかりにアルファルドの方を見る。
その代わりに、ノアは半身になって白雪を『黒壊合弾』へと向けていた。
その刃に纏わせる魔法は『虚構斬』。
虚構によって生じる矛盾ごと斬る斬撃魔法……
白雪の純白の刃に、ノアの灰色の魔力が宿った。
(今取れる最善手はこれのはずだ……)
ノアがアルファルドに向き直った理由は明白だ。
『虚空禍眼』は強力な魔法だが、目という器官を使う以上欠点が存在する。
そう、死角だ。
全てを掻き乱す力は視野外にも効力を及ぼすが、当然背後はその力が弱まる。
魔法を発動している左眼の中央で捉えられる位置こそが、この魔法の真価を発揮する位置なのだ。
『虚空禍眼』と『虚構斬』は同じ虚無の権能でも力の出し方が大きく異なる。
とはいえ、やはりより強いのは『虚空禍眼』だった。
であればより危険な『絶滅強いる漠酷の砲』にそちらを当てるのは何も間違った判断ではない。
そうだったはずなのに───
「───壊滅領域、『万里瞬滅』」
「なッ!?」
突如としてノア本人とその前後にある弾丸ごと赤黒い結界に囚われる。
(アルファルドまで領域を……!?)
領域というのはノアが開発した術……前提知識があったとしても、模倣するのは並大抵の技量ではできない。
だが同時に合点がいく点もあった。
(そう、か……アルファルドが使えるようになったから、屍のガロンも……)
屍となって自らの意志を事実上失くしていたガロンが新たな術を学ぶなどおかしな話だ。
それは一重に、アルファルドの存在があったから。
ならばアルファルドはどうやってこれを会得したのか───
「……ッ、天殺領域、『裂殺侵空』」
それを考えている暇が、今のノアにあるわけがない。
ノアは『虚空禍眼』と『虚構斬』を維持しつつも殺意の権能を活性化させ、それによる領域を構築する。
ノアは未だに虚無の権能による領域については会得できていない。
意志の権能と概念の権能では勝手が違うからだ。
意志の権能で重要なのは意力……だが概念の権能であればそれは魔力や理力に置き換わる。
その場合、構築方法や考え方など、全てが別物となるのだ。
その点においては間違いなくアルファルドに分があると言っても過言ではないだろう。
だが領域であることに違いはない。
そこには意志の権能であるかどうかは関係なく、起こる結果が全てだ。
『万里瞬滅』と『裂殺侵空』……それに加えて『黒壊合弾』、『絶滅強いる漠酷の砲』、『虚空禍眼』、『虚構斬』。
それら全てが干渉し合い、空間そのものが崩壊する───
「これは……!」
「チィ……ッ!?」
領域も魔法も全てが瓦解し、二人は空間の崩壊に巻き込まれる。
が、今の二人はその程度で傷を負う程脆くはない。
「『無の混沌』」
「『瓦解せし衝波』」
ノアの拳に纏われた灰色と、アルファルドの拳に纏われた深紅が同時に空間を打ち、二人は同時に弾かれる。
「お前───」
「貴様───」
今の一撃で二人は全く同じ傷を右肋骨に残した。
この一瞬の間に起きた全ての攻防において、二人は完全に同じだけのダメージを互いに与えたのだ。
(やはり対等か……だが、領域の構築速度は俺の方が上だ)
魔力による領域の構築はまた別物とはいえ、ノアは『万里瞬滅』の効力が降りかかる前に『裂殺侵空』を完全に構築させた。
やはり速度だけならばノアの方が速い。
身体的な速度も、魔法や領域の構築すらも……速度という観点ならば間違いなくノアが上。
だが、アルファルドは当然それも解っているはずだ。
逆に手札を読めていなかったのはノアの方である。
アルファルドからすればノアの力は『虚空禍眼』を除き、全て知っている手に過ぎない。
逆にノアはアルファルドが領域を使えることを知らず、『黒壊合弾』や魔力の性質変化も初見だった。
ノアの手札の大半はアルファルドにバレており、アルファルドの手札の多くをノアは知らない状態にある。
これではいくら速度が上でもノアが一方的に不利だ。
(手の内はほぼ全て筒抜けだ……ならばそれを超える奇策が必要となる……)
権能による力には限界がある。
アルファルドに向ける殺意はグリアノスに向けていたそれよりは弱い為、あの時程の出力が出ることはない。
虚無に関しては前世とは比べるまでもなく弱化している。
故に、アルファルドを出し抜くには前世から衰えていない力でありつつ、まだ伸びる余力を残している力だけとなる。
そんな力はたった一つしかない───
「───『絶壊死龍弾』」
次に仕掛けたのはアルファルド。
放たれた壊滅の弾丸はまるで龍のように畝り、空間を喰らいながらその力を増幅させていく。
そうして『壊滅の源弾』よりも大きな力を宿した状態でノアへと襲いかかり……
「───『絶羅』」
ノアは一太刀のもと、それを斬り滅ぼした。
「……今の魔法に何の意味がある?」
今の二人の強さから考えて、『絶壊死龍弾』を放つというのはどう考えても無意味な行動だった。
確かに攻撃そのものを防ぐ難易度だけならば間違いなく『壊滅の源弾』よりは高いだろうが、当たった際の魂への損傷まで考えるならばどう考えてもこちらの方が弱いのだ。
『壊滅の源弾』は当たってしまえば今のノアであろうとも重傷は免れない……だが、滅ぼされる程の攻撃ではない。
ならば、宿る力だけが多い程度の魔法を使うことに、何の意味が───
「……貴様は学ばんな」
「何を───」
ノアが言いかけた途端、斬り滅ぼしたはずの弾丸が二つに分断されたまま再度龍を形作る。
「これは……?」
ノアはこれに近い現象に見覚えがあった。
「これはまさか、『追跡の死弾』と同じような弾丸魔法……?」
かつてデュランが使用していた、斬っても弾丸が追尾してくる魔法。
今の状況はあの時と酷似していた。
そして、あの時と同じならば───
「───『崩滅強いる灰獄の砲』」
───それに対応しようとした瞬間に、強力な弾丸が来る。
「……なるほど」
『崩滅強いる灰獄の砲』は、『絶滅強いる漠酷の砲』と対を成す物質を壊滅させる魔法。
簡単に言うのならば、『非生命体を滅ぼす弾丸』だ。
そしてこの魔法もまた、非生命体かどうかを判断するのはアルファルド本人である。
使われている魔法の威力の桁がいくつも違うという点はあるが……
(……まるで再現だな)
斬っても斬っても分裂してノアの魂を狙う弾丸と、一撃でノアを滅ぼしかねない弾丸。
かつては『追跡の死弾』と『惨死の魔弾』だった。
そしてノアは『惨死の魔弾』を防ぐ為に、『追跡の死弾』を受けなければならなかったのだ。
確かに、この状況を見ればノアは特に考えることもなく弾丸を斬り、敵の攻撃を増やしたことからもデュランの時の失敗を学んでいないようにも思える。
「……その程度、俺が考えていないとでも思ったか?」
「……」
だがノアは戦闘の天才だ。
アルファルドが事前準備も込みで敵を確実に滅ぼすように、ノアは戦闘の最中で全てを分析し、それを直後に活かす。
時間が経っているのであれば、その対策法などいくつも思いついていても不思議ではない。
「初披露だ───『界理奪剣』」
「ッ!貴様ッ!?」
それは『光の剣戟』───今のノアがアルファルドを出し抜ける唯一の手段。
その新たな剣技を、ノアはたった今完成させてのけたのだ。
この剣技は文字通り世界の理を一方的に剥奪し、切断という事象を強制させる。
強制された切断はあらゆる魔力や魔法すらも斬り伏せ、その全てを消し去るのだ。
例え壊滅の権能が相手であろうとも、それは例外になり得ない。
「……驚いた」
全ての弾丸を斬られ、魔法を消滅させられたアルファルドはノアのその様子に警戒心をより一層強めると共に、予想外の方向に強くなっているという事実に感心していた。
「ただ弱化しているだけだと思っていたが、存外に強くなった面もあるらしい」
これまで使えていた剣技については以前の方が強かっただろうが、新たな剣技という強みは確実かつ明確に存在している。
「弱くなったから、だろ。あの時にはこんな剣技はそもそも必要なかった」
「そう、か……」
アルファルドは警戒を解かないながらも少しだけ考え込み、数秒して顔を上げた。
上げたその顔にはノアという武人への敬意が明確にあった。
「認識を改めよう。これまでは貴様を以前より弱くなった存在と考えていたが、これからは未だに格上として、本気で滅ぼすと約束する」
「はっ、いらねぇ約束だなッ!」
今度は白雪に常闇と鮮血が宿る。
星闇神ガロンの権能と破壊神リオエスタの権能を刀身で掻き混ぜているのだ。
「虚無よりは弱い……とはいえ、私に傷をつけられる程の権能か。戦い方も多彩になったようだな」
白雪と黒死銃がぶつかり合い、滅びの火花が散った。
ガロンの常闇はアルファルドの壊滅を覆って全てを混沌へと還元し、リオエスタの破壊は混沌で覆いきれなかった壊滅と真っ向から衝突する。
その力は拮抗しているが───
「残り滓とはいえ、破壊が壊滅に敵う道理は───ない」
「ぐ……ッ!」
破壊の権能は一秒も持たずに壊滅によって滅ぼされ、白雪は黒死銃に一方的に弾かれる。
「この……ッ!」
「これは防げまい───」
アルファルドの魔力の流れが変わる───
あくまでも魔力、されどその流れ方はノアにとって最悪な状況を生じさせていた。
「───『開闢穿滅せし痕跡の銃砲』」
「そ、れは……!?」
見覚えのある青い魔力。
それはかつて、デュランやラフィナがこの世界の核である霊域核を利用して発動させていた世界を穿ち抜く弾丸魔法……『穿界の痕弾』。
それすらも凌駕する、一撃で世界を幾度となく消し飛ばせる力を秘めた穿界魔砲だ。
壊滅の権能とは異なるが、内包された力はこれまでの魔法と比べても桁外れ。
体勢的に『界理奪剣』を使う余裕すらもない。
ノアは防ぐ手段を持たず、その青い光に呑み込まれ───
青き光は全てを穿ち───
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